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「カルティーヌ姫!!?
何でこんな所に・・・!!!」
クレハを倒しながら“その中心”に近付いていくと、ケロルドが戦いながらも驚いた顔で私に気付いた。
「エミリアに教わったような貴族の女ごっこが私には出来ないからね・・・!!
私はインソルドの女・・・!!」
そう叫びながらクレハを倒していく。
「とんでもない聖女様が来てくれましたね・・・!!
“死の森”の番人では女性も子どもも本当の意味で魔獣と戦っているとは思いませんでした・・・!!」
「戦えない人間から殺されていく・・・!!
あそこは強くないと生き抜くことが出来ない場所!!
全員が生き抜く為に武器を持つ・・・!!」
殺意を強く持ってクレハと向き合うけれど、私の殺意など無視するかのように“その中心”に駆けていくクレハもいる。
個体によって知能や本能の度合いが違うのが分かる。
「全員が民を守る為に魔獣と戦う・・・!!」
“その中心”に駆けていくクレハを背中から斬り付けトドメを刺した。
「命の重さに変わりはないはずだけど・・・!!
でも、変わる場合がただ1つだけある!!」
クレハが集まりすぎている“その中心”を目指しながらクレハの背中にナイフを斬り付けていく。
「国王陛下の命・・・!!」
“自分の命だと思って守り続けろ。
戦うよりも守り続けろ。
その命はお前の命1つよりもいずれ多くの命を救える命になる。”
インソルドでいつもいつも私達に言い聞かせていた“チチ”の声が今日も聞こえる。
「もっと早く向かうのが最善だった・・・っ!!
また判断を間違えた・・・っ!!」
クレハが集まりすぎている“その中心”に対して、自分の間違えた判断に対して、舌打ちをした。
それからグースの身体を両足で刺激し、クレハの群れよりもずっと高く浮上した。
そして空高くから“その中心”を見下ろす。
“その中心”を確認して私は大きな声で笑ってしまった。
「私の判断は間違えてなった!!
まだまだ疲れてないね!!
物凄く強い男になったね!!」
身体も五感も全てを使い、最善を尽くしながらクレハの中心で1人戦っているステル殿下。
そんなステル殿下に叫ぶ。
「ステル殿下!!」
私の声はクレハの群れや騎士団の声にかき消される。
それでもステル殿下を呼び続け、呼び続けていた時・・・
黒い雲が、割れた・・・。
私の背中から太陽の光りが射し込んできたのを見下ろしながら、クレハよりもグースよりも漆黒の色を持つステル殿下を見下ろす。
そして、口を開いた。
大きく大きく開いた。
大きく大きく開いて、呼んだ。
どんなに厳しい戦況だとしても短く呼び合い意志疎通が出来る呼び方で。
どんな雑音の中でも“その音”が聞こえたらその耳に入るように訓練されている呼び方で。
呼んだ。
呼んだ。
「ソソ!!!!!」
ステル殿下のことを、“ソソ”と呼んだ。
何でこんな所に・・・!!!」
クレハを倒しながら“その中心”に近付いていくと、ケロルドが戦いながらも驚いた顔で私に気付いた。
「エミリアに教わったような貴族の女ごっこが私には出来ないからね・・・!!
私はインソルドの女・・・!!」
そう叫びながらクレハを倒していく。
「とんでもない聖女様が来てくれましたね・・・!!
“死の森”の番人では女性も子どもも本当の意味で魔獣と戦っているとは思いませんでした・・・!!」
「戦えない人間から殺されていく・・・!!
あそこは強くないと生き抜くことが出来ない場所!!
全員が生き抜く為に武器を持つ・・・!!」
殺意を強く持ってクレハと向き合うけれど、私の殺意など無視するかのように“その中心”に駆けていくクレハもいる。
個体によって知能や本能の度合いが違うのが分かる。
「全員が民を守る為に魔獣と戦う・・・!!」
“その中心”に駆けていくクレハを背中から斬り付けトドメを刺した。
「命の重さに変わりはないはずだけど・・・!!
でも、変わる場合がただ1つだけある!!」
クレハが集まりすぎている“その中心”を目指しながらクレハの背中にナイフを斬り付けていく。
「国王陛下の命・・・!!」
“自分の命だと思って守り続けろ。
戦うよりも守り続けろ。
その命はお前の命1つよりもいずれ多くの命を救える命になる。”
インソルドでいつもいつも私達に言い聞かせていた“チチ”の声が今日も聞こえる。
「もっと早く向かうのが最善だった・・・っ!!
また判断を間違えた・・・っ!!」
クレハが集まりすぎている“その中心”に対して、自分の間違えた判断に対して、舌打ちをした。
それからグースの身体を両足で刺激し、クレハの群れよりもずっと高く浮上した。
そして空高くから“その中心”を見下ろす。
“その中心”を確認して私は大きな声で笑ってしまった。
「私の判断は間違えてなった!!
まだまだ疲れてないね!!
物凄く強い男になったね!!」
身体も五感も全てを使い、最善を尽くしながらクレハの中心で1人戦っているステル殿下。
そんなステル殿下に叫ぶ。
「ステル殿下!!」
私の声はクレハの群れや騎士団の声にかき消される。
それでもステル殿下を呼び続け、呼び続けていた時・・・
黒い雲が、割れた・・・。
私の背中から太陽の光りが射し込んできたのを見下ろしながら、クレハよりもグースよりも漆黒の色を持つステル殿下を見下ろす。
そして、口を開いた。
大きく大きく開いた。
大きく大きく開いて、呼んだ。
どんなに厳しい戦況だとしても短く呼び合い意志疎通が出来る呼び方で。
どんな雑音の中でも“その音”が聞こえたらその耳に入るように訓練されている呼び方で。
呼んだ。
呼んだ。
「ソソ!!!!!」
ステル殿下のことを、“ソソ”と呼んだ。
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