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そんな言葉に愕然としていると、シルエットが続ける。



「桃子も俺のこと、“息子”に見てないだろ。
悪いけど、俺だって“母ちゃん”だなんて心から思ったことは1度もねーし、これからもねーよ。」



そんな・・・



そんな言葉には、ショックを受ける・・・。



「私は光一を“息子”だと思ってる・・・。
“息子”として見てる・・・。」



私がそう答えると、シルエットは少し黙った。
そして、そのシルエットが下を向いたのが分かる。
珍しく、光一が下を向いた・・・。



「本当に・・・?
本当に・・・本気で、俺のこと・・・」



少し震える声でシルエットが喋り、言葉を切った。



そして・・・



「じゃあ、裸になれよ・・・。」



「え・・・?」



「今、裸になれよ・・・。」



「なんで裸になるのよ・・・。」



「見られてもどうってことねーだろ?
息子に裸見られても、どうってことねーだろ?」



「・・・母親にだって羞恥心くらいはあるから。」



「ババアが何言ってるんだよ。」



「・・・うるさい、悪ガキ。」



私がそう返すと、光一が小さく笑った。



小さく笑いながら・・・



「昔から羞恥心ありすぎだろ、姉ちゃん。」



“姉ちゃん”と・・・



私を、“姉ちゃん”と・・・



そう、呼んだ・・・。
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