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1年後、7歳になってすぐ・・・。



土曜日、空手道場に行こうとしていたら、じいちゃんから桃子と理子と出掛けるように言われた。
不満を言いながら桃子についていったら・・・



いた・・・。



いた・・・。



めちゃくちゃ男らしくて格好良い男が、いた・・・。



「渡!!すっげーーーーー!!!!」



芝生がどこまでも広がる公園で、渡がバク転をしていく。
それを興奮した気持ちで見ていると・・・



綺麗に着地した渡が俺のことを満足そうな顔で笑いながら見てきた。



「すげーだろ!!光一!!」



「すげー!!マジですげー!!
じいちゃんの空手道場で空手も習ってたんだろ!?強い!?」



「来いよ、相手になってみろよ。」



渡がそう言って、俺と同じクラスの自分の息子は木の下で本を読ませたまま俺と取っ組み合いの喧嘩をしていく。



これが・・・



「じいちゃんより強い!!!」



「松居先生も歳だからな!!
昔は鬼神と言われてた人だぞ!?」



「鬼ハゲだろ!!」



「お前、松居先生にハゲって言うなよ!?」



俺の攻撃を綺麗に受けてかわしながら渡に言われ、俺は大笑いをしていく。



「とっくの昔から言ってるに決まってるだろ!!」



「・・・話に聞いた通り、獰猛な珍獣だな!!
お前、母親が死んだ時に鮫を持ったらしいぞ!!
それも、金色の鮫!!」



そんな訳の分からないことを言ってきて、俺は跳び蹴りを渡にした。
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