【完】死神にウェディングドレスを

Bu-cha

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それを見た瞬間、ヒュッと心臓が縮んだ・・・。
呼吸も止まり、恐る恐るそれを確認することしか出来なかった・・・。



それくらいしか、出来なかった・・・。



桃子のソコから出たであろう血が、シーツに残っていた・・・。



鮮明に、残っていた・・・。



「あいつ、マジかよ・・・。」



していなかったらしい・・・。



渡は、“桃子”としていなかったらしい・・・。



溢れてきた冷や汗を拭うことなく渡を思い浮かべていると、渡によく似た豊の顔がパッと出てきた・・・。



現れた豊の顔を見ながら笑う・・・。



冷や汗を流しながら笑う・・・。



そういう奴だった・・・。



豊も、そういう奴だった・・・。



最後までは絶対に手を出さない、そういう奴だった・・・。



それが分かった時、俺は両手で頭を抱えて項垂れた・・・。



「結婚するまで・・・待ってたか・・・。」



破壊してしまった・・・。
俺がまた破壊してしまった・・・。
“桃子”の人生を、破壊してしまった・・・。



今度は理子と俺の2人ではなく、俺だけが・・・



俺だけが、破壊してしまった・・・。



そう思いながらも、頭を回す・・・。



天野さんから一生分は言われ続けたから・・・。



“どんな時でも頭を回しておけ”と・・・。



“絶対絶命の時でも、頭を回すことを止めるな”と・・・。



“ゼロだろうとマイナスだろうと、そこから何を生み出してみせろ”と・・・。



天野さんの言葉を頭の中で響かせながら、俺は頭を回す・・・。



回し続ける・・・。



絶対絶命の中、回し続ける・・・。



そして、起き上がった・・・。



起き上がった・・・。



綺麗な裸のまま目を閉じて幸せそうに寝ている“桃子”を見て、最後に見て、目に焼き付けて、“桃子”の身体を綺麗にした・・・。



残さないように・・・。



何も、残さないように・・・。



俺が汚してしまったこの綺麗な身体に、スーツを着させた・・・。



ダサいスーツを、着させた・・・。



「ウェディングドレス、着せてやるから・・・。
絶対に、着せてやるから・・・。
ごめんな・・・。」



ごめん・・・。



ごめん・・・。



ごめん・・・。



こんなに気持ち悪いことをして、ごめん・・・。



ごめん・・・。
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