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須崎社長に、私は真正面から向き合う。
困ったように笑い続ける須崎社長に。
そして、その向こうでは心配そうな顔で私を見詰めている板東社長・・・。
私がこの会社に入った時、企画部の課長だった板東社長・・・。
厳しくも優しく、愛を持って中卒の私に指導をしてくれた板東社長・・・。
その2人を見て・・・
この2人の組み合わせを見て・・・
私は、泣いた・・・。
泣いて、泣いて、泣いた・・・。
そして、口を開く・・・。
「ぶちょ~!!!かちょ~・・・っ!!!」
当時、企画部の部長だった須崎社長。
そして、課長だった板東社長。
桂木課長による私へのパワハラとセクハラ・・・。
それは日に日に酷くなった。
そして、女性の板東課長にまで飛び火した・・・。
板東課長にまで酷いセクハラ、そして仕事ではわざとミスをさせるようなことを何度も仕掛けてきた。
巧みに、仕掛けてきた。
それらの証拠を板東課長が必死に集め、そして当時の須崎部長へと提出した。
私には愛のある指導をしていた須崎部長だったけれど、板東課長とは犬猿の仲だった。
仕事でも板東課長にだけは当たりが物凄く強かった。
信じて貰えないと思っていた。
板東課長の訴えを、須崎部長は信じてくれないと思っていた。
須崎社長は桂木課長のことを可愛がってもいたから。
でも、須崎部長は信じた。
板東課長の話を全て聞いたかと思ったら、証拠の資料は一切見ることなくそのまま社長室へと飛び込んでいった。
おじいちゃんはいなかったけれど、渡がいて・・・。
渡にウワッと話して、鬼の形相で激怒しながらも私に何度も謝罪をして、「何でもっと早く言わない!!」と板東課長には怒りまくり・・・。
社長室内は須崎部長と板東課長の大喧嘩が始まって・・・おじいちゃんが戻るまで、続いた。
そんな2人のタッグを見ながら、私は泣きながら・・・
でも、笑いなら言う・・・。
ずっと2人に首を横に振り続けていたことを、今度は自分から言う・・・。
「幸せになりたいです・・・。
私も、1人の女として幸せになりたいです・・・。
シングルで子持ちで、酒呑みにまでなってしまった32歳の女ですけど・・・。
私も・・・私も、幸せになりたいです・・・。」
同じような顔で驚いている2人に、私はもう1度口を開く・・・。
「ぶちょ~!!かちょ~!!
喧嘩にしてください、闘争はやめて・・・。
試合でもなくていいので、喧嘩にしてくださいよ~!!」
2人の前でたまに出してしまっていた“桃子”の姿でそう言う。
昔は“喧嘩は止めてください”と言っていたのに、今は“喧嘩”でいいと思う。
喧嘩でもいいと思う。
この2人なら、喧嘩でもいいと思う。
抱き付いた板東社長からは、優しく私の背中を擦られた。
昔みたに、擦られた。
その横で、随分と太ってしまった須崎社長が困った顔で笑いながら頭を掻いている。
でも、優しい顔をして私のことを見てくれている。
そんな須崎社長に、私は板東社長に抱き付きながら小さく頷いた。
シングルで2人の子持ち、中卒で夜間の高校に通いながら社会人になった私。
そんな私の企画を、この2人は“面白い”と言って認めてくれた。
夜間の高校で出会った人達・・・。
本当に、色々な境遇の人達と出会い・・・。
その人達と話すことで私の中で生まれてきた企画。
そんな、“普通の女の子”にはなれなかった私の企画を、この2人は認めてくれた。
私の存在すらも認めてくれなかったような社内の人達の中、この2人だけは認めてくれていた。
そんな2人・・・。
そんな2人が、この会社の社長に選ばれた・・・。
2人で、選ばれた・・・。
困ったように笑い続ける須崎社長に。
そして、その向こうでは心配そうな顔で私を見詰めている板東社長・・・。
私がこの会社に入った時、企画部の課長だった板東社長・・・。
厳しくも優しく、愛を持って中卒の私に指導をしてくれた板東社長・・・。
その2人を見て・・・
この2人の組み合わせを見て・・・
私は、泣いた・・・。
泣いて、泣いて、泣いた・・・。
そして、口を開く・・・。
「ぶちょ~!!!かちょ~・・・っ!!!」
当時、企画部の部長だった須崎社長。
そして、課長だった板東社長。
桂木課長による私へのパワハラとセクハラ・・・。
それは日に日に酷くなった。
そして、女性の板東課長にまで飛び火した・・・。
板東課長にまで酷いセクハラ、そして仕事ではわざとミスをさせるようなことを何度も仕掛けてきた。
巧みに、仕掛けてきた。
それらの証拠を板東課長が必死に集め、そして当時の須崎部長へと提出した。
私には愛のある指導をしていた須崎部長だったけれど、板東課長とは犬猿の仲だった。
仕事でも板東課長にだけは当たりが物凄く強かった。
信じて貰えないと思っていた。
板東課長の訴えを、須崎部長は信じてくれないと思っていた。
須崎社長は桂木課長のことを可愛がってもいたから。
でも、須崎部長は信じた。
板東課長の話を全て聞いたかと思ったら、証拠の資料は一切見ることなくそのまま社長室へと飛び込んでいった。
おじいちゃんはいなかったけれど、渡がいて・・・。
渡にウワッと話して、鬼の形相で激怒しながらも私に何度も謝罪をして、「何でもっと早く言わない!!」と板東課長には怒りまくり・・・。
社長室内は須崎部長と板東課長の大喧嘩が始まって・・・おじいちゃんが戻るまで、続いた。
そんな2人のタッグを見ながら、私は泣きながら・・・
でも、笑いなら言う・・・。
ずっと2人に首を横に振り続けていたことを、今度は自分から言う・・・。
「幸せになりたいです・・・。
私も、1人の女として幸せになりたいです・・・。
シングルで子持ちで、酒呑みにまでなってしまった32歳の女ですけど・・・。
私も・・・私も、幸せになりたいです・・・。」
同じような顔で驚いている2人に、私はもう1度口を開く・・・。
「ぶちょ~!!かちょ~!!
喧嘩にしてください、闘争はやめて・・・。
試合でもなくていいので、喧嘩にしてくださいよ~!!」
2人の前でたまに出してしまっていた“桃子”の姿でそう言う。
昔は“喧嘩は止めてください”と言っていたのに、今は“喧嘩”でいいと思う。
喧嘩でもいいと思う。
この2人なら、喧嘩でもいいと思う。
抱き付いた板東社長からは、優しく私の背中を擦られた。
昔みたに、擦られた。
その横で、随分と太ってしまった須崎社長が困った顔で笑いながら頭を掻いている。
でも、優しい顔をして私のことを見てくれている。
そんな須崎社長に、私は板東社長に抱き付きながら小さく頷いた。
シングルで2人の子持ち、中卒で夜間の高校に通いながら社会人になった私。
そんな私の企画を、この2人は“面白い”と言って認めてくれた。
夜間の高校で出会った人達・・・。
本当に、色々な境遇の人達と出会い・・・。
その人達と話すことで私の中で生まれてきた企画。
そんな、“普通の女の子”にはなれなかった私の企画を、この2人は認めてくれた。
私の存在すらも認めてくれなかったような社内の人達の中、この2人だけは認めてくれていた。
そんな2人・・・。
そんな2人が、この会社の社長に選ばれた・・・。
2人で、選ばれた・・・。
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