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そう叫びながら崩れ落ちた理子には笑ってしまう。
項垂れながらもしっかりとカメラは私の方を向いているから。
人事部の部屋の中、1人だけ笑っていると・・・
「ツテがあるって良いですね、黒住さん。
中卒でもこんなに大きな会社に入れて、それも旦那になった人のおじいちゃんが会長の会社。
シングルで子持ちとか、もはや嘘ですよね。
どうせ会長とか会長の奥さんにも色々とやって貰ってたんですよね?
動画見ると、あれ岩渕さんの息子さんだし。
隣に住んで一緒に暮らしてきたとか、岩渕さんからもめちゃくちゃ助けて貰ってるじゃないですか。
死神とか呼ばれてウケますよね。
めちゃくちゃ贔屓されてただけじゃないですか。」
レイラがそう言ってきた。
そう、先手を打ってきた。
興奮しているレイラが口を閉じたので、私も口を開く。
「レイラはよくここまで来たね、大変だった?」
人事部に異動してから見ていた社員情報。
コンサルのチームが集めていた社員情報。
病気のお父さん1人とレイラ1人の家庭。
そんなレイラの隣には、希奈が。
幼馴染みの、希奈が。
2人を見ながら、私は笑う。
「1人では出来ないことも、2人では出来ることもある。
よく2人でここまで来られたね、よかった。
来年の4月、次こそは異動出来るといいね。
大丈夫、良い試合をしていれば必ず見てくれている人はいる。
だって、良い試合だったら思わず見ちゃうからね。」
そう言ってから、佐竹部長の方を見た。
佐竹部長も優しい顔で頷き、そして口を開いた。
「若い子達にどんな噂が回っているのかは想像くらいしか出来ないけどね。
僕達世代の社員達が言っていた黒住さんの“死神”は、君達とは意味が違うよ。」
佐竹部長が急にそんなことを言い出して、急に目を鋭く光らせた。
そして・・・
「新卒大卒殺しの、死神。」
そう、言って・・・。
「中卒であそこまで仕事が出来るなんて、試合どころかボコボコに殺されまくっていたからね、大卒の子達が。
強かったよ、物凄く。強すぎてね。
まさか、松居さんの娘だとは思いもしなかったけど。」
理菜さんの上司でもあった佐竹部長。
そんな佐竹部長が私を穏やかに笑いながら見詰めてくれる。
「それは、強いわけだよ。
凄い子だったんだ、松居さんは。
信じられないような、凄い子だったんだよ。
当時は神を呪ったよね、あんな子を連れていってしまうような神をさ。
でも、こんなに強い子どもを3人も残していたんだね、松居さんは。」
言葉を切った後、理子の方を見た。
「君、お顔は松居さんにソックリなのに、中身は鮫島君によく似ているね。
君のお父さんがこの部屋によく乗り込んできてたよ。
ノックもなしに勢い良くね。
あの2人は、幼馴染みらしいね。」
「うん・・・。
お父さんは、お母さんがいたからここまで来られた。
でも、お母さんもお父さんがいたからここまで来られた。
私は“お兄ちゃん”からそう教えて貰った。」
「岩渕さんの息子さんね。
あの子もまた、凄い子だよね。
あと・・・まり姉も。」
佐竹部長が面白そうに笑うので、私は少し驚いた。
理子の動画を見ていると分かったから。
「それは見るよね。
うちの商品をボロクソに言って、あの時うちの会社は葬式みたいな雰囲気になったからね。
でも・・・珍しく反則をしたのかな、黒住さん。」
「・・・はい。
可愛い後輩の初めての企画だったので。
ちょっと、後押しを。」
豊に頼んだ・・・。
長峰が企画をして形にした初めての商品。
その宣伝の力が弱かった・・・。
でも、理子も真理も知らないこと。
あの子達は常にリアルを配信しているから。
そう思いながらも、理子を見ていると・・・。
めちゃくちゃ・・・めちゃくちゃ怒った顔をして私を見ている・・・。
そして、口を大きく開いて・・・。
「お母さん、死神とか呼ばれてるの!?
何それ!?何で私に言わないの!?
ちょっと今から社内泳いで噛み付いてくるから待ってて!!!!」
そんなことを言い出した理子。
可愛い可愛い、可愛すぎる私の娘。
目に入れても痛くない、私の娘。
私以外のみんなは、焦った顔で理子を止めていたけど・・・。
項垂れながらもしっかりとカメラは私の方を向いているから。
人事部の部屋の中、1人だけ笑っていると・・・
「ツテがあるって良いですね、黒住さん。
中卒でもこんなに大きな会社に入れて、それも旦那になった人のおじいちゃんが会長の会社。
シングルで子持ちとか、もはや嘘ですよね。
どうせ会長とか会長の奥さんにも色々とやって貰ってたんですよね?
動画見ると、あれ岩渕さんの息子さんだし。
隣に住んで一緒に暮らしてきたとか、岩渕さんからもめちゃくちゃ助けて貰ってるじゃないですか。
死神とか呼ばれてウケますよね。
めちゃくちゃ贔屓されてただけじゃないですか。」
レイラがそう言ってきた。
そう、先手を打ってきた。
興奮しているレイラが口を閉じたので、私も口を開く。
「レイラはよくここまで来たね、大変だった?」
人事部に異動してから見ていた社員情報。
コンサルのチームが集めていた社員情報。
病気のお父さん1人とレイラ1人の家庭。
そんなレイラの隣には、希奈が。
幼馴染みの、希奈が。
2人を見ながら、私は笑う。
「1人では出来ないことも、2人では出来ることもある。
よく2人でここまで来られたね、よかった。
来年の4月、次こそは異動出来るといいね。
大丈夫、良い試合をしていれば必ず見てくれている人はいる。
だって、良い試合だったら思わず見ちゃうからね。」
そう言ってから、佐竹部長の方を見た。
佐竹部長も優しい顔で頷き、そして口を開いた。
「若い子達にどんな噂が回っているのかは想像くらいしか出来ないけどね。
僕達世代の社員達が言っていた黒住さんの“死神”は、君達とは意味が違うよ。」
佐竹部長が急にそんなことを言い出して、急に目を鋭く光らせた。
そして・・・
「新卒大卒殺しの、死神。」
そう、言って・・・。
「中卒であそこまで仕事が出来るなんて、試合どころかボコボコに殺されまくっていたからね、大卒の子達が。
強かったよ、物凄く。強すぎてね。
まさか、松居さんの娘だとは思いもしなかったけど。」
理菜さんの上司でもあった佐竹部長。
そんな佐竹部長が私を穏やかに笑いながら見詰めてくれる。
「それは、強いわけだよ。
凄い子だったんだ、松居さんは。
信じられないような、凄い子だったんだよ。
当時は神を呪ったよね、あんな子を連れていってしまうような神をさ。
でも、こんなに強い子どもを3人も残していたんだね、松居さんは。」
言葉を切った後、理子の方を見た。
「君、お顔は松居さんにソックリなのに、中身は鮫島君によく似ているね。
君のお父さんがこの部屋によく乗り込んできてたよ。
ノックもなしに勢い良くね。
あの2人は、幼馴染みらしいね。」
「うん・・・。
お父さんは、お母さんがいたからここまで来られた。
でも、お母さんもお父さんがいたからここまで来られた。
私は“お兄ちゃん”からそう教えて貰った。」
「岩渕さんの息子さんね。
あの子もまた、凄い子だよね。
あと・・・まり姉も。」
佐竹部長が面白そうに笑うので、私は少し驚いた。
理子の動画を見ていると分かったから。
「それは見るよね。
うちの商品をボロクソに言って、あの時うちの会社は葬式みたいな雰囲気になったからね。
でも・・・珍しく反則をしたのかな、黒住さん。」
「・・・はい。
可愛い後輩の初めての企画だったので。
ちょっと、後押しを。」
豊に頼んだ・・・。
長峰が企画をして形にした初めての商品。
その宣伝の力が弱かった・・・。
でも、理子も真理も知らないこと。
あの子達は常にリアルを配信しているから。
そう思いながらも、理子を見ていると・・・。
めちゃくちゃ・・・めちゃくちゃ怒った顔をして私を見ている・・・。
そして、口を大きく開いて・・・。
「お母さん、死神とか呼ばれてるの!?
何それ!?何で私に言わないの!?
ちょっと今から社内泳いで噛み付いてくるから待ってて!!!!」
そんなことを言い出した理子。
可愛い可愛い、可愛すぎる私の娘。
目に入れても痛くない、私の娘。
私以外のみんなは、焦った顔で理子を止めていたけど・・・。
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