その恋、チロが全力で応援します。

Bu-cha

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────────────・・・・



「ハァッ・・・・・・・・・ハァッ・・・・・・」



口から出てくる白い息に光りが差し込んでいく。



黒かった空は段々と明るくなっていき、この地上には朝がやってきた。



眩しいくらいの光りに包まれたこの街には、前にチロと来た時よりも綺麗な朝の空が広がった。



タクシーでは入れない道をダッシュし辿り着いた場所は、チロの二十歳の誕生日に連れてきた場所だった。



"あんなにちっこかったチロが二十歳とかめでたいし、二十歳の誕生日には何か渡すよ。
何欲しい?”



聞いた俺にチロは何日も何日も悩み、誕生日前日に言った言葉は「青い空の下に広がる沢山の星が見たい」という、ナゾナゾのようなめっちゃ難しいものだった。



青兄の会社の掃除屋の俺がめちゃくちゃ悩んでいると、チロは楽しそうな顔で笑って・・・



"海に行きたいな。
東京周辺の天気は曇りらしいから、どこか晴れてる所にある海。”



そう言われ夜が明ける前から家を出てチロを連れて行った場所は、東京から車で何時間も掛かる場所だった。



俺が運転をする車でチロと色々な話しをした。



ずっと昔から知っているはずのチロのことを俺はそこまで知らなかったことにその時に初めて気が付いた。



誰といても自分の話しはそこまで喋らなくなったはずの俺が、チロと会うと自分の話しばかりしていたことにも初めて気が付いた。



だから俺はチロに色んな質問をした。
どんな高校生活を送っていたのか、大学生ではどんな勉強をしているのか、どんな友達がいるのか、バイトではどんな仕事をしているのか、俺と会っていない時は何をしているのか。



チロと再会をしてからは毎日のように会っているはずなのに俺はそこまでチロのことを知らなかった。



あんなにちっこくて男の子みたいだったチロが普通の女の子になっていたことも、俺はそこまで気が付いていなかった。
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