その恋、チロが全力で応援します。

Bu-cha

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「でも・・・・っ、俺、また会いたくて・・・っっ。
またチロに会いたくて・・・っっ。
クリスマスは終わったけど、どうしても会いたくて・・・っっ。」



『でも、まずは電話が来るのを待つしかないんじゃない?』



「その時にはもう終わってるだろ!!!」



『え~!?今ももう終わってるじゃん!!
あ、始まってもなかったかぁ!!』



「ムカつく・・・・っっ!!!
初めて花音のそういうやつにムカついた!!!」



『いつもは笑ってくれるのにね?』



「それは・・・まあ、アレですから。」



『でも、私に笑う顔よりもチロちゃんにニッコニコで笑ってる顔の方が、どう見ても好き好きオーラが出てたよ?』



「いや、そんなはずはなかったんだけど・・・。」



『でも守君ってやっぱり星野君の弟だよね。
チロちゃんがいなくなったらヘニョヘニョになっちゃってね。
星野君なんて私と別れてた期間、シュートがぜんっっっっぜん入らなくて大変だったんだから!!!』



『俺の話しはいいから。』



花音からスマホを奪ったのか兄貴の声がまた聞こえ、俺にいつも以上の真面目な声で言ってきた。



『チロとどうにかして会え。
それで会ったら格好なんてつけずに謝って、自分の気持ちを素直に伝えるしかない。』



兄貴からの大真面目なアドバイスに下を向き続けたまま頷き、すぐ目の前にある砂浜を眺めながら指輪の箱を握り締めた。



「でも・・・それで・・・・・ダメだったら・・・?
チロの気持ちがもう、俺に何もなくなってたら・・・?」



泣きながら聞いた俺に、兄貴が普通の声で言った。



『そんなの、もう1度好きになって貰えるように頑張る以外何もないだろ。』



当たり前かのようにそう言われ、それには思わず声を出して笑った。



「そうだよな、それしかないよな。」



膝をついたまま顔を上げると、見えた。



青い空の下で星のように輝く海が。



綺麗なはずなのに全然綺麗にな見えないその輝き。



それはチロが俺の隣にいないからだけではなく、俺にとっての”星"はチロだったからだと気付いた。



”守!!!!"



俺の名前をめちゃくちゃ楽しそうに呼びながら、朝から晩までサッカーボールを追い掛け続けていたチロが、俺の”星"だった。



どんなにピンチな時でも誰よりも力強い目でサッカーボールを追い掛け続け、その顔で俺の名前を呼ぶチロは”星"でしかなかった。



だから、あんなに綺麗ではなかったあの空と海をバックにしても、チロは輝いて見えた。



あの横顔から目を離すことなんて出来ないくらい、俺には昔から輝きまくっていた・・・。



『守く~~~~ん!!!!
頑張れ~~~~~~~!!!!』



久しぶりに聞いた花音の応援の声がスマホの向こう側から聞こえてくる。
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