その恋、チロが全力で応援します。

Bu-cha

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『花音、タオルを振り回してジャンプしてるぞ。』



「うん、分かるよ・・・。
何度も何度も応援して貰ってたから分かる・・・。
花音に”ありがとう"って伝えておいて。」



俺の恋をここまで拗らせた原因みたいな存在である花音が、死亡していた俺のことを立ち上がらせた。



両足でしっかりと立ち、チロほどの輝きはない”星"を見詰める。



見詰めた、その時・・・



切ったばかりのスマホが音を鳴らした。



見てみると、そこにはチロの名前が・・・。



”野々村 千尋"と、チロのフルネームが表示されていて・・・。



震える手で通話ボタンを押し、死ぬほど気合いを入れまくって普通の声を出した。



「もしもし。」



クリスマスに消えた俺の”星"とまた会う為に、これから俺はサッカーボールではなく”星"を追い掛けまくる。



チロに会う為に・・・。



チロに謝り、この気持ちを伝える為に・・・。



でも、それよりも何よりも・・・



全然タイプではないはずのチロのあの顔を、今は見たくて仕方がなかった。



"野々村チィロです!!!"
初めて出会った時の悶絶するくらいの可愛さの衝撃を思い出し、大昔からチロは可愛かったと気付く。



”私は守のお兄ちゃんよりも守の方が好きだよ!!
だから私は守の恋を全力で応援する!!”



花音が選んだ兄貴よりも俺のことを好きだと言ってくれ、傷付きまくっても俺の恋を全力で応援し続けてくれていた俺のエースで、俺の"星”に、この指輪を渡す・・・。



「青君の従弟の守君ね。
指輪に刻印をしたいんだよね?」



青兄に"めちゃくちゃ早く指輪に刻印をしてくれる奴”を紹介して貰うと、そこにいたのはめっっっっちゃ俺のタイプの顔の女で。



でも・・・



「はい、1秒でも早くお願いします。」



1秒でも早くチロにこの指輪を渡すことしか今は考えられない。



花音にめちゃくちゃよく似た目の前の女よりも、俺はチロの顔が見たい。



チロの顔がどうしても見たい。



クリスマスはとっくに過ぎてしまったけれど、この指輪を見て喜んだ顔をしてくれるチロの顔を見る為に、銀から無理矢理聞き出したチロが住むアパートへと今日初めて行く。



「今からそっち行っていい?」



どんな口実を並べても会ってくれなくなってしまったチロに会いに、今から行く。



俺はチロに会いたい・・・。



俺は昔から、チロに会いたかった・・・。



だから必ず会いに行く。



クリスマスに消えた、俺の"星”に・・・・・・。





end………………………………

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