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第九話
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午後4時。
授業自体はとっくに終わってるんだけど、俺は、先日の事故の件で職員室に呼び出されていた。
「…じゃ本当に身体には異常が無いんだな?頭とかも調べてもらったか?」
「大丈夫ですって、病院からのお墨付きですよ。」
「じゃ帰って良いぞ。なんか問題あったら報告しろよ。」
「はーい。じゃ帰りまーす。」
俺は帰宅部だから放課後これと言ってやる事がない。
いや…今までは無かったと言い換えるべきか?
今日からはエリーの面倒…と言うより監視活動を開始しないといけない訳だ。
それはそうと『面倒』って言葉はホントによく出来てるな。
世話をしたり、相手をしたり、対象の人物を要は構ってやるって事だろ?
本当に『面倒』だ。
本来やんなくて良い事や考えなくて良い事が、めちゃくちゃ増える。
そー言えばミヨからまだ連絡が来ないままだった。
あれから何度かメッセージは入れてるんだけど、最終的には既読すら付かなくなった。
いったいいつまでエリーの面倒を見れば良いのか、まったく予定が立たない。
来週からは夏休みなんだけどなぁ。
帰り道…朝学校に行く時とはいつも違う道を通っている。
家から学校まで徒歩で20分、まぁゆっくり歩いても30分程の距離、この高校を受験した最大の理由はコレだった。
朝は学校までの最短距離を歩くようにしている。
でも、帰りはコンビニなんかがある道を通るため、ちょっとだけ遠回りをして帰っていた。
そしてあのコンビニ。
見ると自動ドアのあたりから正面のガラスの殆どが割れたんだろう、その前に作業車が横付けされた状態でガラスの交換作業を行っていた。
そんなさなかでも、逞しく営業しているコンビニってマジ凄いわ。
コンビニを通り過ぎ二つ目の交差点を右に曲がるとウチのマンションが見えてくる。
ウチのマンション以外に何本か高層マンションはあるけど、周りには普通の戸建が多く、田んぼなんかもチラホラ見える。
まぁ田舎なんだよココは…。
そうこうしてるとマンションの玄関エントランスに到着した。
マンションの入り口はオートロックになっている。
それも最新式。
指紋認証と虹彩認証だ。
まず目の前にあるテンキーの下に右手の人差し指を突っ込む。
次にテンキーの上に設置された小さなカメラ付きモニターに右目を近づけた。
すると何とも形容し難い機械音が鳴って自動ドアが開く。
…ん?
そう言えば…。
エリーのヤツ…マンションから出る事は問題無く出来たんだろうけど…どうやって帰ったんだ??
まさか中には入れずに、まだその辺に居るってことはないよな?
念のためエントランス周辺をグルリと見渡してみた。
居ないようだ。
何と無く気になるが、とりあえず一度部屋に戻ることにした。
玄関の鍵を開け、中に入ってみるとエリーが居た。
「お前、どーやって出入りしたんだ?」
指紋認証も虹彩認証も登録した覚えはない。
家に居ろって言ったから鍵も持たせて無かった訳だけど…いったいどうやって…。
「あぁこの魔道具でな…。」
近くに置いてあった大きめの皮のカバンから、どー見ても『タブレット』の様な、でもだいぶ分厚くお世辞にも洗練されたデザインとは言えないモノを取り出して俺に見せてきた。
そこには、地図にしては頼りない感じの…でも地図なんだろうと思われる絵と幾つかの光るマークが映っていた。
これって、コイツ等の世界じゃオーバーテクノロジーなんじゃないのか?
「コレはだな…。」
エリーはそのタブレットにしか見えないモノの説明を始めた。
要約すると、この魔道具を持っていると、一度通った道や場所がきろくされるらしい。
そして自分のいる場所が常に中心に表示されており、数人分だが登録した誰か…例えば俺の位置情報も分かるらしい。
ナビと言うより地図作成ソフトみたいだな。
更に驚くべきは、自分が行ったこともない場所にその誰かが居る場合、その周辺に瞬間移動できる機能があると言うのだ。
ただ誤差があるらしく、なるべく使わない様にしているらしい。
なので誰かの居る場所が解っても、建物の構造や周辺の情報が解らない場合、無闇に移動するととんでもない事になるらしい。
とんでもない事…想像しただけで恐ろしい…。
勿論一度行った場所には誤差無く瞬間移動は可能だと言う事だ。
なのでエリーは、まず昨日行ったショッピングモールに移動し、そこから俺の位置を目指して歩きまわって学校を探し出したらしい。
でもコレ…使い方によっては、幾らでも犯罪に使えてしまうじゃないか…。
物騒なモノ持ちやがって…。
そうか瞬間移動って事は玄関エントランスを通る必要が無いって事か…。
コレを使えば遅刻も無いって事だよな。
…いやいや…便利だとか思っちゃいけない。
どんな原理で瞬間移動してるのか解らないモノに命を預けるのはヤバイだろ…。
ブーッブーッブーッ。
ポケットの中で突然スマホが鳴り始めた。
学校に行ってる間マナーモードにしてたから、バイブだけがブルブル鳴り続けている。
画面も見ずに慌てて出てみるとミヨだった。
『さっさと出ぬか!馬鹿者!』
「てっ…てめー!俺のメッセージ散々無視しやがって!」
『なにを!せっかくメッセージじゃ無くて電話してやってんのに、なんだその言い草は!』
ブチッ
あまりにま腹が立ったので通話を切ってやった。
すかさず着信が入ったので一応出てみる。
『○☆£▽仝◇;!!』
ブチッ
何を言ってるのか解らないので無言で切ってやった。
次は数十秒置いて再び着信があった。
とりあえず出てみる。
「………。」
しかしあえて返事はしない。
『おい!…聞いているのか?…先程はすまなかった。…謝るから話をしようじゃ無いか。』
謝ってるのに、相変わらず上からな感じの喋り方に謝られている気がしない。
「話ってなんだよ。こっちも色々聞きたい事があんだよ。」
『では先に、お前の問いに答えてやろう。』
「偉そうだな…。」
『偉いからな!』
「また切るぞ!」
『わー!解った解った、切るんじゃ無い!』
「まぁいい…まずエリーの処遇について聞きたい。いつまでコイツの面倒をみればいい?」
『もうちょっと待ってくれ…その女魔導士はイレギュラーな状態だが一度そちらの世界に転生してしまっているので、次の受け入れ先がまだ見つかってないんだ。もうしばらく頼む。その代わり此方から幾らかの援助を約束しよう。』
おっ!思わぬ収穫。
援助して貰えるなら、もうちょっと面倒見てやってもいいかもな。
「解った。じゃ次の質問。エリーの故郷ってどこなんだ?本当に余所の世界なのか?日本語とか喋ってるし…。」
『あぁ、その事か。エリーの住んでた世界は紛う事無き、そことは別の世界だ。私が管理している50ある世界のひとつだ。ちなみに私のような管理者は他にも巨万と居るぞ。』
巨万と…って無茶苦茶いっぱい居るって事だよな…いったい異世界ってどれだけあるんだ?
『そして言語の事だが、その女魔導士が喋っているのは、間違いなくお前達の使っている日本語というものが元になっている。お前の住む世界と向こうの世界では時間の流れが違っててな、数年前にお前の住む世界からひとり召喚されてしまったヤツが居たんだ。』
転生じゃなくて召喚?
やっぱ魔法の類なのか?
『その時はまだ文明が芽生え始めたばかりで、言葉でのコミュニケーションが難しい状態だったんだ。そこでその召喚された日本人が言葉を教えてしまったお陰でな、それが元で向こうの世界で日本語が根付いてしまったという訳だ。』
まてよ…じゃあのタブレットみたいなヤツってもしかして本当にタブレットなのか?
もしかしたら、その召喚されたヤツが持ってたとか?
まさかそのタブレットと魔法の融合の産物なのか?
もしかしたら、それってもの凄い発明なんじゃね?
だってエリーを使えばこっちの世界の機械なんかを『魔道具』に作り変えることが可能って事だよな?
…まぁコイツにそんなレベルの能力が有ればの話だけど…。
『そろそろ、私の話も聞いて欲しいのだが?』
「あぁ悪ぃ、で、話って?」
『昔、そっちの世界に行ってたことがあってな、帰る時に忘れ物をしてしまったんだ。』
「忘れ物?」
『あぁ、大事にしてたお気に入りのブレスレッドなんだが…。後で写真を送っておくから見ておいてくれ。』
「頼み事ってそれか?…って言うか、お前こっちの世界に来てた事あるんだな。」
『うむ、そちらの時間で1800年ほど前にな。』
「…せ…せん。」
『修行のために訪れたんだが、いつの間にか巫女として崇められてしもーての。』
「巫女って…。」
『国も大きくなって行って、色んな外国とも貿易したりしてな。なんて言ったかなぁ…たしかヤマァ…。』
「邪馬台国かよ!」
『そうそう邪馬台国だ。』
「卑弥呼様ぁーーー!」
『その呼ばれ方、懐かしいのぉ。私の名前はヒミルコン・ミヨ・タナトスと言うのだかな、発音が悪かったのか、ちゃんと名前を教えた筈なんだかな…いつの間にか卑弥呼と呼ばれておった。』
マジか…マジなのか?
それとも俺の事からかってんじゃないだろーな…。
『まぁそんな話しはいい…。ブレスレットを忘れて来たと思われる場所の目星は付いている。後で地図も送っておくから週末にでも探しに行ってきてくれ。どーせ暇じゃろ?』
「あのなぁ…なんでそー偉そうなんだよ…全く…。」
『だから偉いからだと言うておろう。』
「そもそも1800年も前のモノがそう簡単に見つかる訳ないだろ?」
『いや、なんと無くだが、お前なら大丈夫だ。』
「根拠無しかよっ!」
『じゃ頼んだぞ。』
ブツッ
結局最後は自分の話だけして、一方的に切りやがった。
程なくして2枚の画像が送られてきた。
一枚目の画像はブレスレット…手首に付けてる写真だろう、紅い丸で囲って『こんなヤツ』って書かれてる。
へー凄い綺麗なブレスレットだなぁ。
青いガラス質の管か何かを何重にも繋いだ感じのブレスレット。
これって管玉ってヤツかな?
もう一枚の画像…航空写真かな?かなり古い感じだけど明らかに九州って解る。
ちょうど佐賀の辺りに矢印が付いてて『このへん』って書かれてた。
こんな写真で解るかよ…って…コレ…吉野ヶ里の辺りかな?
…卑弥呼様ぁーーー!
授業自体はとっくに終わってるんだけど、俺は、先日の事故の件で職員室に呼び出されていた。
「…じゃ本当に身体には異常が無いんだな?頭とかも調べてもらったか?」
「大丈夫ですって、病院からのお墨付きですよ。」
「じゃ帰って良いぞ。なんか問題あったら報告しろよ。」
「はーい。じゃ帰りまーす。」
俺は帰宅部だから放課後これと言ってやる事がない。
いや…今までは無かったと言い換えるべきか?
今日からはエリーの面倒…と言うより監視活動を開始しないといけない訳だ。
それはそうと『面倒』って言葉はホントによく出来てるな。
世話をしたり、相手をしたり、対象の人物を要は構ってやるって事だろ?
本当に『面倒』だ。
本来やんなくて良い事や考えなくて良い事が、めちゃくちゃ増える。
そー言えばミヨからまだ連絡が来ないままだった。
あれから何度かメッセージは入れてるんだけど、最終的には既読すら付かなくなった。
いったいいつまでエリーの面倒を見れば良いのか、まったく予定が立たない。
来週からは夏休みなんだけどなぁ。
帰り道…朝学校に行く時とはいつも違う道を通っている。
家から学校まで徒歩で20分、まぁゆっくり歩いても30分程の距離、この高校を受験した最大の理由はコレだった。
朝は学校までの最短距離を歩くようにしている。
でも、帰りはコンビニなんかがある道を通るため、ちょっとだけ遠回りをして帰っていた。
そしてあのコンビニ。
見ると自動ドアのあたりから正面のガラスの殆どが割れたんだろう、その前に作業車が横付けされた状態でガラスの交換作業を行っていた。
そんなさなかでも、逞しく営業しているコンビニってマジ凄いわ。
コンビニを通り過ぎ二つ目の交差点を右に曲がるとウチのマンションが見えてくる。
ウチのマンション以外に何本か高層マンションはあるけど、周りには普通の戸建が多く、田んぼなんかもチラホラ見える。
まぁ田舎なんだよココは…。
そうこうしてるとマンションの玄関エントランスに到着した。
マンションの入り口はオートロックになっている。
それも最新式。
指紋認証と虹彩認証だ。
まず目の前にあるテンキーの下に右手の人差し指を突っ込む。
次にテンキーの上に設置された小さなカメラ付きモニターに右目を近づけた。
すると何とも形容し難い機械音が鳴って自動ドアが開く。
…ん?
そう言えば…。
エリーのヤツ…マンションから出る事は問題無く出来たんだろうけど…どうやって帰ったんだ??
まさか中には入れずに、まだその辺に居るってことはないよな?
念のためエントランス周辺をグルリと見渡してみた。
居ないようだ。
何と無く気になるが、とりあえず一度部屋に戻ることにした。
玄関の鍵を開け、中に入ってみるとエリーが居た。
「お前、どーやって出入りしたんだ?」
指紋認証も虹彩認証も登録した覚えはない。
家に居ろって言ったから鍵も持たせて無かった訳だけど…いったいどうやって…。
「あぁこの魔道具でな…。」
近くに置いてあった大きめの皮のカバンから、どー見ても『タブレット』の様な、でもだいぶ分厚くお世辞にも洗練されたデザインとは言えないモノを取り出して俺に見せてきた。
そこには、地図にしては頼りない感じの…でも地図なんだろうと思われる絵と幾つかの光るマークが映っていた。
これって、コイツ等の世界じゃオーバーテクノロジーなんじゃないのか?
「コレはだな…。」
エリーはそのタブレットにしか見えないモノの説明を始めた。
要約すると、この魔道具を持っていると、一度通った道や場所がきろくされるらしい。
そして自分のいる場所が常に中心に表示されており、数人分だが登録した誰か…例えば俺の位置情報も分かるらしい。
ナビと言うより地図作成ソフトみたいだな。
更に驚くべきは、自分が行ったこともない場所にその誰かが居る場合、その周辺に瞬間移動できる機能があると言うのだ。
ただ誤差があるらしく、なるべく使わない様にしているらしい。
なので誰かの居る場所が解っても、建物の構造や周辺の情報が解らない場合、無闇に移動するととんでもない事になるらしい。
とんでもない事…想像しただけで恐ろしい…。
勿論一度行った場所には誤差無く瞬間移動は可能だと言う事だ。
なのでエリーは、まず昨日行ったショッピングモールに移動し、そこから俺の位置を目指して歩きまわって学校を探し出したらしい。
でもコレ…使い方によっては、幾らでも犯罪に使えてしまうじゃないか…。
物騒なモノ持ちやがって…。
そうか瞬間移動って事は玄関エントランスを通る必要が無いって事か…。
コレを使えば遅刻も無いって事だよな。
…いやいや…便利だとか思っちゃいけない。
どんな原理で瞬間移動してるのか解らないモノに命を預けるのはヤバイだろ…。
ブーッブーッブーッ。
ポケットの中で突然スマホが鳴り始めた。
学校に行ってる間マナーモードにしてたから、バイブだけがブルブル鳴り続けている。
画面も見ずに慌てて出てみるとミヨだった。
『さっさと出ぬか!馬鹿者!』
「てっ…てめー!俺のメッセージ散々無視しやがって!」
『なにを!せっかくメッセージじゃ無くて電話してやってんのに、なんだその言い草は!』
ブチッ
あまりにま腹が立ったので通話を切ってやった。
すかさず着信が入ったので一応出てみる。
『○☆£▽仝◇;!!』
ブチッ
何を言ってるのか解らないので無言で切ってやった。
次は数十秒置いて再び着信があった。
とりあえず出てみる。
「………。」
しかしあえて返事はしない。
『おい!…聞いているのか?…先程はすまなかった。…謝るから話をしようじゃ無いか。』
謝ってるのに、相変わらず上からな感じの喋り方に謝られている気がしない。
「話ってなんだよ。こっちも色々聞きたい事があんだよ。」
『では先に、お前の問いに答えてやろう。』
「偉そうだな…。」
『偉いからな!』
「また切るぞ!」
『わー!解った解った、切るんじゃ無い!』
「まぁいい…まずエリーの処遇について聞きたい。いつまでコイツの面倒をみればいい?」
『もうちょっと待ってくれ…その女魔導士はイレギュラーな状態だが一度そちらの世界に転生してしまっているので、次の受け入れ先がまだ見つかってないんだ。もうしばらく頼む。その代わり此方から幾らかの援助を約束しよう。』
おっ!思わぬ収穫。
援助して貰えるなら、もうちょっと面倒見てやってもいいかもな。
「解った。じゃ次の質問。エリーの故郷ってどこなんだ?本当に余所の世界なのか?日本語とか喋ってるし…。」
『あぁ、その事か。エリーの住んでた世界は紛う事無き、そことは別の世界だ。私が管理している50ある世界のひとつだ。ちなみに私のような管理者は他にも巨万と居るぞ。』
巨万と…って無茶苦茶いっぱい居るって事だよな…いったい異世界ってどれだけあるんだ?
『そして言語の事だが、その女魔導士が喋っているのは、間違いなくお前達の使っている日本語というものが元になっている。お前の住む世界と向こうの世界では時間の流れが違っててな、数年前にお前の住む世界からひとり召喚されてしまったヤツが居たんだ。』
転生じゃなくて召喚?
やっぱ魔法の類なのか?
『その時はまだ文明が芽生え始めたばかりで、言葉でのコミュニケーションが難しい状態だったんだ。そこでその召喚された日本人が言葉を教えてしまったお陰でな、それが元で向こうの世界で日本語が根付いてしまったという訳だ。』
まてよ…じゃあのタブレットみたいなヤツってもしかして本当にタブレットなのか?
もしかしたら、その召喚されたヤツが持ってたとか?
まさかそのタブレットと魔法の融合の産物なのか?
もしかしたら、それってもの凄い発明なんじゃね?
だってエリーを使えばこっちの世界の機械なんかを『魔道具』に作り変えることが可能って事だよな?
…まぁコイツにそんなレベルの能力が有ればの話だけど…。
『そろそろ、私の話も聞いて欲しいのだが?』
「あぁ悪ぃ、で、話って?」
『昔、そっちの世界に行ってたことがあってな、帰る時に忘れ物をしてしまったんだ。』
「忘れ物?」
『あぁ、大事にしてたお気に入りのブレスレッドなんだが…。後で写真を送っておくから見ておいてくれ。』
「頼み事ってそれか?…って言うか、お前こっちの世界に来てた事あるんだな。」
『うむ、そちらの時間で1800年ほど前にな。』
「…せ…せん。」
『修行のために訪れたんだが、いつの間にか巫女として崇められてしもーての。』
「巫女って…。」
『国も大きくなって行って、色んな外国とも貿易したりしてな。なんて言ったかなぁ…たしかヤマァ…。』
「邪馬台国かよ!」
『そうそう邪馬台国だ。』
「卑弥呼様ぁーーー!」
『その呼ばれ方、懐かしいのぉ。私の名前はヒミルコン・ミヨ・タナトスと言うのだかな、発音が悪かったのか、ちゃんと名前を教えた筈なんだかな…いつの間にか卑弥呼と呼ばれておった。』
マジか…マジなのか?
それとも俺の事からかってんじゃないだろーな…。
『まぁそんな話しはいい…。ブレスレットを忘れて来たと思われる場所の目星は付いている。後で地図も送っておくから週末にでも探しに行ってきてくれ。どーせ暇じゃろ?』
「あのなぁ…なんでそー偉そうなんだよ…全く…。」
『だから偉いからだと言うておろう。』
「そもそも1800年も前のモノがそう簡単に見つかる訳ないだろ?」
『いや、なんと無くだが、お前なら大丈夫だ。』
「根拠無しかよっ!」
『じゃ頼んだぞ。』
ブツッ
結局最後は自分の話だけして、一方的に切りやがった。
程なくして2枚の画像が送られてきた。
一枚目の画像はブレスレット…手首に付けてる写真だろう、紅い丸で囲って『こんなヤツ』って書かれてる。
へー凄い綺麗なブレスレットだなぁ。
青いガラス質の管か何かを何重にも繋いだ感じのブレスレット。
これって管玉ってヤツかな?
もう一枚の画像…航空写真かな?かなり古い感じだけど明らかに九州って解る。
ちょうど佐賀の辺りに矢印が付いてて『このへん』って書かれてた。
こんな写真で解るかよ…って…コレ…吉野ヶ里の辺りかな?
…卑弥呼様ぁーーー!
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