異世界転生に憧れてたら向こうから来ちゃった件

明紅

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エピローグ

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エリーが居なくなった事実を受け入れられないまま一週間が過ぎた。
あの後ミヨへの連絡はしていない。
神様とは名ばかりだ…困っていても人ひとり助けてもくれない。
ホントに神様なのかも疑わしい。

蒼ネエの落ち込み様もハンパじゃない。
まだウチに居候状態だが、エリーの事を忘れようとしているのか、帰ってきても家に仕事を持ち込んでいる始末だ。

まぁ俺も他人の事言えないか…晩飯様に用意した鶏の唐揚げ…3人分作ってしまった。
「アイツ唐揚げ好きだったもんなぁ…。」
出来上がった唐揚げをテーブルに置いて再び台所へサラダを取りに戻った。
もうすぐ蒼ネエが帰って来るはずだ。
ヤベェ…サラダも3つ用意しちまった…。
エリーのヤツ、どこに転生したんだろうな…。
それよりも、皆になんて説明すれば良いんだろう。
アイツ…学校にも2日しか出てないんだぞ…。

テーブルにサラダを持って行くと玄関のカギが開く音がした。
蒼ネエが帰ってきた。
玄関まで迎えに行くと、やっぱりまだ顔が暗い…。
「お帰り…。」
「うん、ただいま。」
「飯出来てるよ。」
「ありがと…。」
なんか倦怠期の夫婦みたいな会話だな。

ガサッ

ん?
リビングの方で音がした。
なんの音だ?

警戒しながらリビングに戻ると…唐揚げを貪る見覚えのある魔導士姿の女の子が居た…。

「…エリー?」
「…エリーちゃん?」
「ただいま…。」
「ただいまって…。」
「エリーちゃぁーーーん!」

口いっぱいに唐揚げを頬張っているエリーに蒼ネエが飛び付いて抱きしめた。

「お前…死んだんじゃ…。」
「ん?あぁ死んだよ。」
「死んだよって…。」

困惑している所にミヨから着信が入った。
「もしもし…。」
『だぁかぁらぁ…ちゃんと確認して取れよ…私はお前の頭のドアップを見たい訳じゃないんだが?』
「ビデオ通話かよ。それよりどうして…。」
『その説明をしようと思って連絡してるんだか?』
「エリーは死んだんだろ?手遅れだって言ってたよな?」
『あぁ間違いなく死んだぞ。そしてまたそっちに転生したんだ。』
「どう言う事…?」
『鈍いヤツだなぁ、こっちに転送した時点でエリーは絶命していたんだ、たから前回同様ベストな状態で再生されてな…。そしたらエリーのヤツ「他の世界には行きたくない!サトルの所に返してくれ!」って懇願してきたんだ。ルール違反だがまぁ例外があっても良いかなと…。』
「それじゃまた転生せずに、戻ってきたって事か?」
『ホントに鈍いヤツだな、お前は。』
「なにが?」
『エリーはお前の所に戻りたいと言ったんだ。自分の元いた世界じゃ無くて。』
「??」
「サトル、あんたホントに鈍いわね。エリーちゃんが可哀想。」
「え?え?」
エリーが恥ずかしそうにしているのが見える。
『後は自分で考えろ。じゃぁな。』
相変わらず言いたい事だけ言って切るんだな…。

「エリーちゃん、こんなヤツやめといた方がいいよ。」
蒼ネエが耳打ちしている。
ウソだろ?
まさか俺のことそんな風に想ってたのか?
どーする?
受け入れるか?
確かに好みだけど(笑)
でも見た目は普通だけど、異世界から来てて、二度も死んだヤツだぞ…。
いやいや…問題はそこじゃない…。
「あの…またココに住んでも構わないか……?」
「あ…あぁいいよ。」
「仕方ないなぁ、じゃ私もまだ過ちが起きない様に監視しなきゃね。」
「過ちってっ。」
「ほらほら唐揚げ冷えちゃうよ、晩御飯にしよ!なんでか知らないけど3人分用意してるみたいだし(笑)」

その後、深夜遅くまで蒼ネエにからかわれ続けたのは言うまでもない。



…to be continued

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