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第一章 異世界を知る
平穏に過ごしたい薬師と仲間にしたい勇者〜初めての宴と二人の会話〜
しおりを挟む~祠の洞窟の入口の前~
「まだ出てこないな、さすがに心配になって
きた。静かになったから戦いは終わった
っぽいんだけどな。」
二人のことが心配なレン。
「レンさん、信じて待ちましょう。
きっと戻ってきます。選ばれた存在ですから。」
(伝承は間違えたことがない)
確信を持って答えるキアラ。
~祠の洞窟の出口近く~
「もうすぐ外だね。意外と長かったなー。
でも無事に倒せて良かった。」
ユウは回想しながら、話す。
「でも、異世界って感じだったわ。
影の災いは物々しく威厳あるような雰囲気
出していたし。とても楽しかったわ。」
充実したと思いながら話すルカ。
少し歩くと外に出た。
「レン、キアラさん、無事に戻ったよー。」
ユウはレンの元に走っていき、抱きに行った。
「ちょっ!ユウ。やめろって…うぅ。
良かった、良かった、生きて戻ってきてよー。」
レンは最初戸惑いつつ、親友が生きて戻って
きたことに感動し、抱き返した。
「良かったわ。感動の再会ね。」
遠くで眺めながら、自然に笑みがこぼれるルカ。
「そうですね、お二人が嬉しそうで何よりです。
あっ、おじぃ…村長に報告しないといけません。
行ってきますね。
落ち着いたら、来てください。」
キアラはほののんな空気に飲まれそうに
なりつつ、思い出したように話し、村長の元へ
向かって行った。
「分かったわ。ユウ!レンくん!
村長に伝承の結果を報告しに行くわよ。
そろそろお互いに泣いてるのやめられる?」
大声で、二人を呼びながら近づくルカ。
しかし、二人は気づいていない。
「ふん!」
思い切り二人の頭を平手打ちするルカ。
「痛い!」「痛ぇ!」
二人は頭に両手を押さえる。
「二人で夢中になってるからよ。
村長にほ・う・こ・く行くの!」
ルカは報告の部分を強調して怒る。
「はーい、分かった。」
先まで泣いてたのが嘘のようにレンと離れる
ユウ。
「お、おぅ。分かった。」
少し恥ずかしそうにしつつ、ユウから離れる
レン。
三人は村長の家に来た。
トントンとドアを叩くとキアラが出て、
「どうぞお入りください。レンさんも
来たんですね。」
レンを見ると嬉しそうに顔が赤くなった。
「おぅ、ユウとルカの冒険譚を聞きたいからな。」
元気に答えるレン。
村長は奥の部屋で座っていた。
「おぉ、勇者様と賢者様が帰ってきたのう。
聞かせておくれ、祠であったことを。」
村長は、ほっとした顔しつつ、伝承のことを
聞く。
ルカが詳しく話し、ユウはクオーレスパーダを
見せた。
「おお!これは初代勇者イニジオ様が持っていた
剣(つるぎ)ではないかのう。」
驚いた顔で話す村長。
「たしかに、これは伝説の勇者の剣ですね。
まさか存在しているとは。」
ありえないと言った感じで話すキアラ。
「そうなんですか。立派な勇者に大きく近づいた
ってことかぁ。」
わくわくするユウ。
「そうなんですね。」
(来たー!伝説の勇者って言葉来たー!)
心の中では興奮状態なルカ。
「すごいじゃないか、ユウ。一番の親友なだけ
あるぜ。」
素直に喜ぶレン。
「これは宴じゃ、新たな伝説の誕生じゃ。」
村長は興奮した様子で、話す。
「キアラ、村の皆に今夜は伝説の勇者の誕生した
から宴を開くと伝えてくれ。」
「村長、分かりました。準備します。」
(おじいちゃん、本当気まぐれだけど、
明るくて素敵でずっと好き。)
キアラは少し面倒くさそうにしつつ、笑顔で
答えた。
村に伝えに行った。
その後は、夜になるまで村の人々は忙しなく
動いていた。
村の真ん中にはたくさんの肉と野菜が積み上げ
られ、周りは彩豊かな花が並べられている。
家々にもガーランドが、飾られている。
「わぁ、すごいやぁ。こんな宴?ってものは
日本のお祭りに似てるな。」
キラキラした瞳で村をみるユウ。
「そ、そうね。宴はお祝い行事って意味なの。
こうやって、飾り付けしたり、たくさんの料理
を食べたりするの。」
(はわぁ、ユウくんと二人きりじゃない。
ドキドキするよー。ユウはいつも通りだけど。)
少し俯き、顔を少し赤くしながら話すルカ。
「どうした?顔赤いよ?疲れて熱出した?
休む?」
ルカの顔をのぞいて心配そうな顔で話すユウ。
「はわぁ、違うっ違うからぁ。元気だからぁ。」
顔を隠して反論するルカ。
「ほぉ?そっかぁ。なら良かった。元気なら
良いんだけどな。」
安心した顔になって話すユウ。
「えぇ、心配無用よ。だってユウのことを
支えるためには元気でいなきゃだもの。」
勢いづいて話すルカ。
「そ、そうだね。いつもありがとう。」
(なんだろ、ちょっとルカの顔見るの
恥ずかしい、嬉しいのに。)
顔を少し赤くしながらも、しっかりした口調で
返事をするユウ。
夜になって、宴が始まった。
村長が挨拶をする。
「村に伝説の勇者の誕生を祝い、そして平和が
続くことを願って、宴の始まりの挨拶とする
のじゃ、乾杯!」
「乾杯!」
村長の元気な言葉と共に、村の人々もユウもルカもレンも元気に言う。
肉と野菜は、挨拶の後に炎で焼かれて、
皆に順々に配られた。
「ユウ、久しぶりに二人でゆっくり話しないか。
積もる話があるからよ。」
肉と野菜をもらった後にユウの所に来て誘う
レン。
「うん、しよう。僕もたくさんあるんだ。」
レンの誘いに喜んで受けるユウ。
「ルカさん、二人でお話ししましょう。」
キアラは物々しい雰囲気を醸し出してルカに
話しかける。
「えっ?はい、話しましょう。じっくりとね。」
最初は戸惑いつつ、負けないぞと言う勢いで
答えるルカ。
~ユウとレンの会話~
レンの家の前まで来ている二人。
「ここがレンの家だね、研究所っぽい。」
煙突がついていて、縦に長く、窓は大きいのが
2階に、1階は小さい窓が二つがある家だった。
「そりゃあ、家兼研究所だからな。
屋根に登るぞ!ハヤブサフット!」
そう言って2回ジャンプして、あっさり登る。
「入らないの?まぁいいや。よーし僕も!
グレートフット!」
ユウはそう言うと一回でたどり着いてしまった。
「え!単純の名前なのに俺のスキルより上だと。
いや、ステータスが上だもんな。」
レンは少し腰を抜かしつつ、ステータスを考えて
納得した。
「ほぇ、いつステータス見たんだ?
そうだ、見てみよう、自分のステータス。」
『ステータスオープン』
NANE ユウ・ブレイブ 転生前 真忠悠太
Lv. 20
HP 500 AK 100 装備 革の靴
MP 100 GD 100 革の服
SP 0 SD 100 革のズボン
クオーレスパーダ
『ステータスクローズ』
「レベル20になってる。目標の100の5分の1だ。
影の災い強かったからなぁ。」
屋根の上に座った後、ステータスを見て、
回想するユウ。
「ユウ、相手のステータスが見れたのはな。
クラスメイトのステータスは全員見れるように
なってるからだぞ。」
ユウの話を聞いてから説明し始めるレン。
「そうなのか?どうやって知れるんだ?」
興味津々に聞くユウ。
「それはな。『ステータスオープン』してから…」
NANE レン・アポテカ 転生前 玉理 錬
Lv. 15
HP 150 AK 15 装備 革の靴
MP 300 GD 15 布の服・白衣
SP 0 SD 15 布のズボン
薬品類
『スキルオープン』
メインスキル《薬師》
メインサブスキル《サッカー》
転生者共通スキル《クラスメイト鑑定》
「こんな感じでスキル自体は見れるぞ。
『ステータスクローズ』。」
実際に操作を見せつつ、ゆっくり分かりやすく
話すレン。
「へぇー、知らなかった。
ルカは知ってるのかな?後で聞いてみようっと。
ありがとう、めっちゃ参考になった。」
納得した表情で、お礼を言うユウ。
「そうだ、レン。僕たちの仲間になって
旅しないか?レンがいたらより一層楽しい旅に
なると思うからさ。」
キラキラ目を輝かせて、提案するユウ。
「断る。俺はここで平穏に静かに暮らしたい。
魔物退治とか、戦闘職じゃないから
向いてないしな。」
きっぱり断るレン。
「うーん、そっかぁ。でも、サポートだったら、
戦わなくても良いし、もしかしたらここの辺り
にはない植物とか発見できると思うけど、
それでもダメかな?」
これからの可能性を考えて、提案をし直すユウ。
「うっ、それは…未知なる植物との出会いだと。」
(良いとこつきあがって。迷うじゃねぇか。)
動揺して考え込み始めるレン。
ユウはじっーとレンの顔を見つめて、答えを
待っている。
~キアラとルカの会話~
一方、ユウがレンに仲間に勧誘するとは
知らないルカとキアラの間にはみょーな
緊張感があるまま、テーブルでお互いに
黙っていた。
(誘われてそのままこの席に座って、キアラさん
は黙ったまま…どうしろっていうのよ。)
嫌われていると思っているのもあり、話が
切り出せないルカ。
(どうしよう、質問したいことがあるけど、
どう話を始めれば…。)
こちらも誘ったは良いものの、話の始め方が
分からなくなっているキアラ。
「あの…私のこと,嫌いなの?」
「レンさんのこと恋愛的に好きなんですか?」
同時に話し始めた二人。
「うん?」
二人ともうまく聞こえず、疑問符で出てしまった。
「えっと…私から良いですか?」
一回話始められたことで少し緊張がほぐれた
キアラ。
「どうぞ…。」
少し俯きつつ、返事をするルカ。
「レンさんを恋愛的に好きなんですか?」
今度は勢いよく話すキアラ。
「えっ!違うわ。クラスメイトってだけで、
友達として信頼はしてるだけよ。」
(そんな誤解をしてたのね。)
「そうなんですね、良かったぁ。」
(めっちゃ誤解してしまった。恋敵だと
ずっと思ってた。)
ほっとした表情で、力抜けたように、
胸に手を当てるキアラ。
「じゃあ、私のこと嫌いではない?」
(別問題なのか?ただの嫉妬なのか?)
緊張が解けて、自信満々に質問するルカ。
「はい、嫌いじゃないです。
あまりにも最初からレンさんに親しげだった
ので、恋敵だと勘違いしてました。
ごめんなさい、今までの悪態を
許してください。」
イスから立って、謝るキアラ。
「嫌われてないなら良かったわ、許すわ。
これからも仲良くしましょ、キアラ。」
イスから立って、手を差し出すルカ。
「はい、よろしくルカ。」
手を握るキアラ。
~ユウとレンの会話の終わり~
「ユウ、明日でもいいか?答えが今日中は
難しすぎる。」
悩みに悩んで出なかったレン。
「分かった、今日はもう遅いし、村長の家に
泊まることに元からなってるから、行くね。
じゃあまた明日、答えまってるからな。」
割とあっさりして了承するユウ。
ユウは、軽ーく屋根を飛び降りて、村長の家に
向かって走って行った。
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