非オタな僕が勇者に転生したら、オタな彼女が賢者に転生してサポート万全だった。

ケイオチャ

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第二章 異世界の価値観を知る。

ほんわか精霊使いと刺々しい回復士〜精霊使いは探しに行くと湖の町の災い〜

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 次の日…
 ユウたちは食堂でゆっくりしていた。
「そろそろ湖の町ラーゴへ行こうか。
 ギルドの人がこの先の分かれ道を右に行って、
 湖が見えてきたら、すぐ着くって。」
 食堂を出ようと立ち上がるユウ。
「そうだな、この町は情報集めに来たような
 もんだしな。ハーブは良かったが。」
 ハーブは気に入っているレン。
 ドンっとドアを開けた音がする。
「わぁ!」
 全員がビクッとして音がした方を見る。
 さっさっとユウたちの方に近づく。
「大変です!ハナがいなくなりました!
 この町から!」
 フウカは必死な顔でユウに顔を近づけながら
 言う。
「うん…?」
 唖然とした顔をするユウたち。
「別に冒険者なら、普通じゃない。
 旅するのが冒険者の本望でしょ。」
 反論するルカ。
「いえ…ハナはいつも…出る時は私に…報告する。
 だから…何も言わないのは…異常。」
 真剣なフウカ。
「そうなんだ、協力する!聞き込みしよう!」
 やる気満々なユウ。
「その必要はない…ラーゴにいることは…
 分かっている。」
 キリッとした顔で言うフウカ。
「俺たちが行く予定のとこだな。
 ちょうど良いな、一緒に行こうぜ。」
 提案するレン。
「そうですね、フウカさんどうしますか?」
 聞くマユミ。
「行く…ありがとうございます。」
 (ハナ…迎えに行くから。)
 丁寧に礼をするフウカ。
「礼儀はしっかりしてますね。
 普段はふわふわしていますが。」
 感心するマユミ。
 こうしてフウカは一時的に仲間になった。

     ~湖の町ラーゴ~

「わぁー、綺麗だな。湖がキラキラ輝いてる。
 災いがいるようには見えないよ。」
 太陽が湖を照らして反射でキラキラしている。
 それを見て、災いがいることをありえないと
 思うユウ。
「ユウはそのままで判断しがちだな。
 湖の深さがどれくらいあるかは知らないが、
 隠されている可能性の方がある。
 見た目だけで判断するのは危険だぞ。」
 忠告するレン。
「そうだけど…この風景が綺麗なことに関係は
 ないよ。どんなに暗いことが隠されていても…」
 笑顔で風景を見たまま言うユウ。
「そうか。」
 納得して、同じように隣で風景を見るレン。
「お二人さーん!行くよ!」
 呼びかけるルカ。
「あっ!待って~置いてかないで。」
 慌てて追いかけるユウ。
「おっ、俺を置いてくなー。」
 ユウに続いて追いかけるレン。
 湖に面してあり、淡水魚が多く売られていた。
 段々になった畑もあった。
「あの畑…もしかして…茶畑!…かも?」
 少し希望を持つフウカ。
「似てますね、遠くからでは判断しかねますが。」
 共感するマユミ。
「そうだね…。」
 落ち込むフウカ。
「後から見に行こうよ。今は災いのいる湖に
 行かなきゃ!」
 見に行きたい気持ちもありつつ、やる事を先に
 やるユウ。
「はい、災いを倒せば…安心して見に行ける!」
 やる気満々になるフウカ。
「災いを倒して、畑を見に行くのよ!」
 早く行きたいルカ。
「そうだな、行くぜ!」
 準備万端なレン。

       ~ラーゴの湖~

 湖の近くまで来たユウたち。
 特に変なところがなく、至って大きいだけの
 綺麗な湖である。
「うーん?前はいるぞーって感じだったのに、
 なんも感じないや。どうすれば良いかな?」
 ユウはいつも気配を感じていたものの、今回は
 なくて困惑している。
「寝てたりしてな、そうしたら気配もないもん
 じゃないか。もしくはあえてひそんで気配を
 消してる可能性もあるな。」
 考えるレン。
「そうね、じゃあ刺激を与えれば出てくるかも
 しれないわね。」
 レンの答えから意見を出すルカ。
「刺激ですか、そうですね。」
 考えるマユミ。
「ならば、私が…水の精霊よ、
 私の声に答えたまえ…」
 そう言って祈るフウカ。
 すると…水面から透き通る青色の精霊が現れた。
 ゆっくり目を開けて、話し始めた。
「精霊使い…初めまして珍しく、ここに来られる
 方は少ないもので…。」
 ひどく驚いた顔で言う。
「私はフウカと申します。
 突然のお呼び出しに応じていただき感謝いたし
 ます。」
 丁寧な口調と動作で言うフウカ。
「いいえ…いつも平和な町で久々に出てきて見た
 かったからちょうど良いですよ、フウカ。
 私はアクアと申します。
 どのようなご用件ですか?」
 笑顔で楽しそうに話すアクア。
「聞きたいことある…災いはここにいる?」
 いつもの口調で言うフウカ。
「えぇ…おります。湖の底で眠っていて、
 最近動きがあり、そろそろ目を覚ます頃かと。
 あっ!それはまずいですね。
 もしかして倒しに?」
 自分で説明して、自分で危機に気づくアクア。
「そうです!アクアさん!倒しに来ました!」
 勢いよく言うユウ。
「えっと…どなたですか?フウカ様のお仲間で
 あることは分かりますが…。」
 戸惑うアクア。
「ん…失礼しました。私はユウ・ブレイブと
 申します。異世界からやってきた勇者です。」
 自己紹介するユウ。
「勇者様でしたか…久しぶりですね。
 この世界の勇者ビトリア様と賢者アポロ様が
 来た以来でしょうか。最近ですけどね。」
 うふふと笑うアクア。
「名前を聞けたわ!久しぶりに聞いたの!
 この世界の勇者と賢者の話!」
 キラキラな目になるルカ。
「あの…自己紹介をお願いしたく思います。」
 戸惑うアクア。(2回目)
「あっ…おっほん。私は賢者のルカ・ピースです。
 失礼しました。」
 恥ずかしくなりつつ、自己紹介するルカ。
「賢者様でしたか…お揃いだったのですね。
 今日は運がいいみたい…後ろのお二人方は?」
 今、気付いた感じで聞くアクア。
「私はレン・アポテカと申します。薬師です。」
「わたくしは弓使いのマユミ・アローと申します。」
 自己紹介するレンとマユミ。
「そうでしたか…お仲間がたくさんいて良いです。
 刺激を与えればよいのですよね。
 頑張ります!オンデ デル アクア!」
 すると水面が揺れ出して波紋が出ている。
「おー!これはすごい綺麗だね。」
 ユウは感動している。
「感動してる場合じゃないのよ。
 戦う準備して!みんな!」
 構えながら大声で言うルカ。
「はーい…頑張るね。アクアも協力してくれる?
 刺激してくれただけでも大変ありがたかった
 ですが、お願いできますか?」
 真剣に言うフウカ。
「えぇ…もちろんですよ。湖は平和が一番です。」
 真剣に返すアクア。
「水中爆弾を試すいい機会だ!腕がなるぜ!」
 楽しそうなレン。
「美しいものですが、楽しんでいる時間は
 なさそうですね。」
 構えるマユミ。
 ゴゴゴーと水面と地面が激しく揺れ、上半身は
 人間のような下半身は魚のような姿の大きな
 魔物だった。
「うるさいなぁ、せっかく気持ちよく目覚めよう
 と思っていたのに…なんかいっぱいいるし。
 でもちょうどいいや、暴れはじめには!」
 やんちゃな少年のような口調で勢いよく
 襲いかかる。
「ふん、水の精霊の水の覆いアクア スピリットベール。」
 自信満々に唱えるフウカ。
 するとアクアが攻撃を水のベールを作り防いだ。
「ちっ、精霊使いがいるのかよ。面倒だな。
 なんかしらけたから、自己紹介でもするか。
 俺は湖の災いカッテボだ。
 また寝よーかな。」
 自己紹介した後、寝ようと湖の中に戻ろうとする
 と弾き返された。
「わっ、痛、なんか覆われてるじゃん。
 メンド。こいつら倒さないと帰れないの。
 マジかよー。」
 がっかりしてるカッテボ。
「そんな簡単には戻しません。
 もう町の人たちを恐怖におとしめるわけには
 いかないのです。」
 アクアは覚悟を決めて言う。
「はぁ、俺の勝手じゃん。あんな弱いやつらは
 強い俺のおもちゃでしかないわけ。
 楽しければそれで良いわけ。
 わかるっしょ。君ら頭ないわけ?」
 煽りに煽るカッテボ。
「あームカつく!なんなんの。
 煽るの好きなの?!ウィンドカッター!」
 煽りにまんまとはまり魔法を使うルカ。
「ルカ!?それは乗っちゃいけないよ。
 てっ…もう遅かった。」
 反射的に言うユウ。
「行くぜ!水中爆弾!」
 勢いよく投げるレン。
「レン!?聞いてた?ダメだって~。」
 止められないユウ。
「煽るとはいい度胸ですね。」
 怒ってるマユミ。
「マユミは留まってくれるかな?」
 なんとか止めるユウ。
「はい、留まりませんよ。」
 留まる気はなかったマユミ。
「うん、良かった…じゃないって。
 なんで~。」
 悲しんでるユウ。
「シャイニングアロー。」
 空から無数の光の矢がマユミからの一本の矢から
 生まれていき、カッテボに落ちていく。
「へへーん。」
 ヒュっと避けていくカッテボ。
「全部避けた!遊ばれてる?」
 楽しそうに避けるカッテボの姿を見て疑問に思う
 ユウ。
「お前も何かしないのか。遊んでやる!
 楽しそうだ。」
 ノリノリになるカッテボ。
「本当に遊んでるんだ。僕はカッテボを倒さないと
 いけないからね。」
 剣をかまえるユウ。
「勝負か、それも面白そう。乗ってやる!」
 臨戦体制になるカッテボ。
「ふぅ、グレートフット!はぁ。」
 勢いよく飛び上がり、剣を振るユウ。
「そんな真っ直ぐなんだ、つまんない。」
 ヒョイと避けるカッテボ。
「あれ?あわわ落ちる~。」
 そこまでは考えてなかったユウ。
「あっ、大変。アクアお願い!」
 お願いするフウカ。
「はい、えい。」
 ユウを優しく受け止めたアクア。
「あ、ありがとう、フウカ、アクア。」
 ほっとするユウ。
「それを足場に使ってください。
 戦いやすくなるはずです。」
 アドバイスするアクア。
「分かった、これで差は縮まったよ。
 カッテボ!えーい。」
 足場を上手く使いながら、攻撃していくユウ。
「だから、単純すぎだってば。それじゃ
 つまんないわけ。」
 避けながらつまんなそうに言うカッテボ。
 すると後ろから風の刃が襲ってきて、
 カッテボに当たる。
「いて。あれ、一撃で終わりじゃなかった。
 まぁ面白くなりそうだからいっか。」
 ルカの方に向くカッテボ。
「あんまり効いてないみたいね。
 まぁ魔法はいっぱいあるから、やっていくの。」
 気合い十分なルカ。
「俺もいるぜ!」
 体制を組み直すレン。
「わたくしも負けてはいられません。」
 弓を構えるマユミ。
「アクア、作戦はね。」
 ゴニョゴニョとアクアに耳打ちするフウカ。
「分かりました。」
 納得するアクア。
 魔力を込めてはじめ、時間がかかりそうである。
「みんな、アクアが湖全体を覆うベールを張ってくれる…でも時間が必要だから稼いで欲しい。」
 大声で言うフウカ。
「うん!」
 同時にみんなが返事をして、
 カッテボに立ち向かう。
「よし!ホールスピリットベール!」
 フウカとアクアが同時に唱えると
 湖の周りが覆われた。
「なんだ?てーい、(ゴン)痛い!
 マジかよ閉じ込められた。」
 閉じ込められたカッテボ。
「今ですね、一発必中!」
 マユミが矢を打つ。
「ぐわぁ。」
 大ダメージ受けるカッテボ。
「最後だ!スパーダシャイニング!」
 ユウがとどめをさした。
「わぁー、楽しかったぜ!」
 感想を言って消えていったカッテボ。
 みんなで喜びあい、災いは無事に倒されたの
 であった。




























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