unseen hero 〜魔法が使えない異能者と魔術師の戦いに目の見えない魔術師が戦いに終止符を打つ話。

雷出午吉

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第一章 運命

第五話 仲間 弐

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俺たちのいがみ合いが終わって暫く経った。
気まずい。
このままこんな凍りついた空気を継続させるのが厭だった俺は、この空気を崩そうと彼女に質問する。
「あの、お名前は?」
「・・・希望のぞみ。君は?」
「・・・光彩ひかり。」
「っぷ。女の子みたいな名前だね。」
「はぁ?」
「まぁまぁ落ち着いてよ。光彩君。君は気になることがあるんじゃないかい?」
俺は、何の事かわからなかった。
尋ねたいこと?
そんなのあったか?
彼女は「はぁ。」とため息を吐いて、口を開く。
「君はさ、私の仲間になりたいんじゃなかったの?」
その台詞で、俺はハッと思い出す。
そうだった。俺はこいつの仲間になりたかったのだ。
「嗚呼、そうだった!俺をアンタの仲間に入れてくれ!」
俺は思い出したように、まぁ、本当に思い出したから言ったのだが。
その言葉に対しての返答は思ったよりもすぐに返ってきた。
「厭だ。」
俺はその台詞に困惑する。
その感情の赴くまま、言葉にする。
「じゃ、じゃあ何で!俺にもう一度仲間になりたいなんて言わせたんだ!保護したとしても、置いていけばよかったじゃないか。」
彼女は呆れた様子で俺の問いに答える。
「じゃあ聞くけどさ。君は私がそのまま何も言わずに何処かに行ったら、君は納得するの?」
「・・・」
俺は、何も言い返せなかった。
その通りだ。
俺はそのまま納得するほど物分かりが良いわけではない。
彼女なりの気遣いだったのだろう。
「因みにだけど、どうして・・・えぇっと、ひ、ひか、」
「・・・光彩ひかり。」
「そう!光彩!どうして光彩は、私の仲間にして欲しかったの?」
「そ、それはさ。ウォーロックは殆どがソーサーズに加入しているし。」
彼女・・・希望のぞみは溜息を吐きながら俺の台詞を遮って言葉を発する。
「あのさぁ・・・私、ソーサーズの人間じゃないんだけど。」
聞いたことがあった。
ソーサーズに加入していないウォーロックが存在しているという事を。
噂程度でしか聞いたことがないが、まさか目の前の女性がそのウォーロックだなんて、信じられない。
だが、その話が本当ならば希望の言う通りだ。
希望の仲間になってもソーサーズに加入できる確証はない。
希望は言葉を紡ぎ続ける。
「それに、ソーサーズを目指しているのであれば尚更私の仲間になるメリットがない。違うかな?」
何も違わない。
しかし、それはソーサーズに加入してエリート街道を進みたいような夢であればの話。
俺は違う。
俺には、ケイパブルにかなりの私怨がある。
それは、仇。
家族の仇。
俺は、口調を強くして希望に本心をぶつける。
「俺は、強くなりたいんだ!だから、お前の仲間になりたい!」
希望は少し黙った後、俺の気持ちに応える。
「気持ちは伝わった。でも、その気持ちは一体どこから湧いて出てくるの?ただ単にケイパブルに対する憎悪だけならこうはいかない。さぁ、教えてくれないか?」
俺に対する希望の疑問はごもっともだ。
魔術師は、ケイパブルを恨んでいる人間が殆どだ。
だが、殆どの連中の憎悪は微々たるものだ。
例を挙げようとすると山程ある。
その為、ここまでする程の理由を持つ連中はかなり少数だ。
だからこそ、気になったのだろう。
俺は、自分がどうしてここまでケイパブルに執着するのかを一部始終話した。
自分の過去を、ケイパブルのせいで自分の故郷を失い、家族がいなくなった俺の過去を。

       ※※※

私は、自分が保護した少年の話を聞いた。
その話は、まるで自分の過去を話しているようだった。
家族を目の前で失った。
故郷も滅茶苦茶にされ、自分1人だけが残る。
どう頑張っても埋めきれられない、自分にポッカリと空いた穴。
そんな過去を、思い出した。
私は、少年の話が終わったのを確認して、口を開く。
「君のケイパブルに対する気持ち。理解したよ。復讐したいんだね。ケイパブルに。」
目の前の少年、光彩ひかりはコクンと頷く。
少年からは冷や汗が額から垂れている。
今、仲間に入れてくれるか否かの応答を待っているのだ。
かなり不安なのだろう。
私は、答えを言う。
「分かった。仲間に入れてあげるよ。」
光彩はその言葉を聴くと喜びと驚きが混じった、複雑な表情を浮かべる。
「ほ、本当!?」
「しかし。」
私は間髪入れずに続ける。
「正式な仲間になるにはまだまだだ。君はまだC-。毎日私と魔術のトレーニングをして、ある程度強くなったと私が認めたら、正式な仲間とする。これでいいかい?」
光彩は、そんな言葉に落胆しないで「はい!!」と力強い、希望に満ちた応答をする。
正直、仮の仲間だとしても、何故こんなに未熟で幼気な少年を仲間にしたのか自分に驚いている。
復讐心に駆られた人間は恐ろしい程に強い。
だが、その分敗北しやすく、墜ちやすい。
だから、普通であれば私は認めるべきでは無いのだろう。
しかし、私は認めた。
理由は分かっている。
自分と同じ境遇にいた少年の意を尊重してやりたかったのだ。
今は亡き私の師と同じように・・・
それから、私は少年に手を伸ばし、言葉を続ける。
「これから仲間として宜しく頼むよ。光彩ひかり。」
光彩は私の手を取り、同じように言葉を続ける。
「これから仲間として宜しく。希望のぞみ。」
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