unseen hero 〜魔法が使えない異能者と魔術師の戦いに目の見えない魔術師が戦いに終止符を打つ話。

雷出午吉

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第一章 運命

第七話 弟扱い

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「はぁ~、眠たい。」
私は光彩の部屋にあるソファに座って、ため息をついた。
私はこれからについて考えていたのだ。
今後ずっと光彩の寮に泊まり続けるのか、今後の資金はどうやって調達するのか、光彩との特訓メニューとか色々。
光彩はというと、今は風呂に入っている。
疲労しきった私を見兼ねて先に入れてくれたのだろう。
私は食事を済ませた後、通販サイトで寝巻きを購入し、家事といった身の回りのことを終わらせた。
後は寝るだけ。
しかし、今の私には寝る気が起きなかった。
何故なら、光彩ひかりと話さないといけない事があるからだ。
その為、私は本を読んで光彩を待つ事にした。
私の読んでいる本は「本」というより「教材」という方が正しいだろう。
私が家事を済ませていた時に、光彩が使っているであろう教材が目に入ったので、何冊か拝借させて貰った。
大体は魔法の会得方法とか魔法の歴史だとか、ソーサーズの社会の仕組みだとかだ。
魔法の会得方法が書いてある教材には様々な魔法が記述されており、初級魔法が主軸で、中級がそこそこ、上級は殆どない。
私が全体的に目を通したところで光彩が風呂場から上がってきた光彩がやってくる。
それを確認した私はゆっくりと立ち上がり、冷蔵庫の方へと向かった。
そして、飲み物を注いで光彩に渡す。
「はい、どうぞ。」
「お、おう。」
「あ、後はこれ!」
その言葉と共にアイスを差し出した。
光彩は怪訝そうな目でこちらを見つめてくる。
「何か、適応早くないか?後、俺を弟扱いしてないか?」
私は惚けるとぼけるように言う。
「さあ、何のことやら。気のせいじゃない?」
「嫌、気のせいも何も、ちゃんと答えろよ。」
「まぁまぁ、細かいことは置いといて、私は光彩と話があるから起きてたんだよ。別に光彩を弟扱いするために起きてたんじゃない。光彩を弟扱いするのは本題のついでだよ。」
「やっぱり弟扱いしてたんじゃねえか!」
「だーかーらー、その話一旦終わり。もう良いの?話さないよ?」
光彩は納得してない事が見て取れる表情で、ソファーに座る。
納得しないのが普通だけどね。
そんな事を思いながら、私は神妙な面持ちで光彩に告げる。
「今から特訓メニューの大まかなことを発表します。」
光彩は先程の弟扱いに対して何か言おうとしていたが、そんな事はやめ、此方こちらの話に集中しているようだった。
光彩の固唾を飲む音が、ここまで伝わってきそうな雰囲気だ。
私は少し息を吸い、トーンを下げ、厳かな表情で話す。
「まず、明日は学校が終わったら光彩の今までの成績表を見せて。」
「え、今じゃないのか?」
「今じゃない。その成績表から明日の特訓メニューを考えるのだが、今は考えたくないんだ。」
「面倒臭いだけかよ。」
「次、明日特訓をする。先程も申し上げた様に、明日に受け取る成績表次第でメニューを決める。覚悟のの準備をしておいた方が良いよ。」
「そんなの既に出来てるよ。で、次は?」
光彩の顔が私に少し迫ってくる。
私は神妙な面持ちからいつもの表情に戻し、雰囲気も通常通りにして答える。
「そんなものない!おやすみ!」
それだけ言うと、私は布団の中に入ろうとする。
光彩は、私の肩を掴んで入るのを阻止する。
光彩の妨害のせいで私は布団に入り損ねた。
「え、いやいやいや。え?それだけ?話って。じゃあ明日の朝とかでもよかっただろ!それに、勝手に布団に入ろうとするな。」
「別に明日でも良かったんだけど、明日言うより今言った方が良いかなって思ってさ。後、私はこれでもれっきとしたレディーだ。こんな中性的で、男か女か分かんない顔してるけど。布団の中で寝ないで、一体何処で寝るって言うのさ。まさかとは思うが、床でとか言わないでくれよ。」
「は?そんな至極真っ当な事言ってる様な雰囲気出してるけど、女だからって布団に入れる理由にはならないだろ。」
「はぁ?君、そんなこと女の子に言ってごらんよ。絶対に引かれるよ。」
「あぁ?こういうのはじゃんけんで決めるもんだ。買った方が布団で寝れる。良いな?」
急に始まったじゃんけん大会に脳の処理が追いつかない。
だが、逃げるわけにもいかない。
私は「別に良いけど、男に二言はないからね。」と言った。
光彩は「当たり前だ。」と答える。
そして、私は考えた。
どうやったら勝てるだろうか。
相手は光彩。
力んでグー出すだろ。
私は安直に考えた。
つまり、グーに勝つにはパーを出す必要がある。
出す手を決めた私は、「最初はグー。じゃんけんぽん。」というリズムと共にパーを繰り出す。
私は、光彩の手を見る。
光彩は、グーを出していた。
「やったー、私の勝ち!」
「畜生、負けた。男に二言はないからな。俺はソファーで寝るとするよ。」
「お、約束守れたの?偉いねー、よしよし。」
「煽んな、そして弟扱いするな!」
光彩は私の手を払い除けて、ソファーへと向かい、ソファーの上に布団を乗せる。
私は、ベットへと向かい、そのまま布団の中にINする。
嗚呼、最高に気持ちがいい。
私は愉悦に浸っていた。
新しい住居を得て、食べ物も手に入って、おまけに勝負にも勝つ。
最高だ。
私はそのまま眠るつもりでいた為、目を瞑っていた。
だが、光彩の一言により私の眠りが妨げられてしまう。
「あ、そういえば明日。希望のぞみは僕と一緒に校長の所に行くから、宜しく。」
光彩はそれだけを言い残して、寝てしまった。
そんなことを言われた私は寝る気が一気に失せた。
今日は光彩のせいで眠れなさそうだ。
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