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2 黒印旅団
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2杯目のカモミールティーはやけに甘くてほんのりしょっぱかった。
「なんにせよ、こんな異質な人間は見たことがないね。個人的にも興味があるし、なにより「世界樹の守り人」として見逃せない………」
「えっ、レイン………すごい!私はじめて見たよ!」
世界樹。
それは、8000年の時を生きる超巨大樹木。
全世界のすべての「魔」の源であり、還る場所。
経済、宗教、魔法具の最先端を行く街「央都センター」の中心にそびえ立ち、高さは200メートルを超え、夏にはぶいぶいと葉が生い茂る。
そして1500年もの時、世界樹を守って来たのが9人の「世界樹の守り人」である。
「九大神」は1500年前、聖戦によってその身を滅ぼした。
戦争はいまだ根強く残る。
神頼みとは大変情けないが、九大神の力はあまりに大きい。
再臨まで守り人が守るというわけだ。
「まずはセンターを目指そう。知り合いに封印魔法のスペシャリストがいるからさ。………まぁ、ユーリの封印はどちらかといえば「呪術」に近いんだけども」
「呪術………?な、治らないの?」
「いやいや。ある一定の条件を満たさないと解けない「縛り」だよ…故に強力なんだけどね。魔法じゃなくてスキルの一種だしね………」
「そっかー、私大変なんだなぁ」
「そうだよ?ボクもユーリみたいなのは見たことな」
レインはそこで言葉を止め、素早く振り向いた。
「なに、どしたの」
「シッ!ボクのかけた魔法結界をいともたやすく破った……?」
「やぁ、お2人さん。お楽しみのトコ悪いねぇ?」
何もない空間から声がする。
背筋を冷たく這い回るような声だ。
「………どこから………入った?」
「まぁまぁ、そう警戒なさらずに。私はケンカを売りに来たわけじゃありませんから」
「じゃあ………帰ってもらえないかな?」
「それもできませんね?私はただ伝えに来たのですよ。そこにいるお嬢さんに」
黒マントはユーリに向かって深々と頭を下げた。
「ユーリ様。16歳の誕生日おめでとうございます。ウチの頭領も喜んでおりますよ」
(何者だ………ボクの仕掛けた隠蔽魔法をすべてすり抜けたのか?)
「いずれ、またお会いしましょう」
「まてッ!何者だ!?」
「あぁ、私としたことが。私らは旅団。黒き印に集う旅団。………黒印旅団です。そして私はシグ。シグ……ザウエルと申します」
そう言い、凍るような笑みを浮かべて消えた。
そう、まさにその空間から消え失せた。
「………急ごう。すぐにセンターへ向かうんだ……ヤツはボクが本気で仕掛けたトラップや隠蔽攻撃をすべて躱した……。あれはボクの手に負えない……ここではね」
その横顔には緊張と冷や汗がベッタリと染み付いていた。
「黒印旅団だと………?あの黒印旅団?…………1500年前の産物ではなかったか……!」
レインは鋭く呟き、ふと顔を上げると手に集中を集める。
「さぁ、もう出かけるよユーリ。キミはもうボクらの保護対象だ。……家を片付ける!」
「え?え?い、家を?」
「さぁ、怪我をしたくなければすぐに家の外へ!」
慌てて扉をあけて外へと飛び出す。
目の前で古びた洋館が次々と姿を変え、形を変えて消えた。
「………黒き魔性の闇よ……それは闇より来たりて闇より深き深淵………下ろせ、エクストラスキル・夜の帳」
レインは呟くと、ユーリを振り返ってにっこり笑った。
「さて、行こうか」
こうして私たちの央都センターを目指す旅は始まった。
「ねぇ、さっきの何?家消えたよ?」
「うーん………ふふふ。そう見えたんなら成功だね。あれはボクのエクストラスキルで消えたように見せたんだ。かなーり強めにかけたからね、まぁさっきのやつでも入れないよ」
「ふーん………なんかさ、意味ありげなこと言ってたじゃん?」
「ん?何か言ったかな」
「ホラ、あの……「ここでは力が出ない」的なことを」
「あー、そりゃね。ボクもユニークスキルを持ってるんだけど……世界樹付近じゃないと全力は出ないよねー。そういうスキルなもんで」
「ふーん」
深くは聞かない。
今は興味がないともいえるし、レインならいずれ話すべき時に話すだろうと思ったからだ。
「さて、少し気持ち切り替えよっか。ここから先は「ヴァルグラの森」。かつて九大神の側近を務めた「火竜ヴァルグラ」の眠る森だ。1500年、途切れたはずの魔力はいまだこの森の魔物を活性化させている……」
「う、嘘……1500年前のマナがまだ魔物に影響を与えてるの?」
「うん、ここは危険度アベレージA。危険レベルにして50クラスの魔物がうろうろしてるからね?封印されてるヴァルグラに至ってはSSSだ………危険レベルではもはや測れない」
危険度はギルド協会が定めたモンスターの強さを表すものだ。
D~SSSまであり、Sランク以上は人間の討伐が不可能とされる。
さらにそれを細かく分けたのが危険レベルで、0~99まで。
ヴァルグラを表すとしたら約800。
「わー………私戦えないよ?」
「大丈夫だよ。ボク、結構強いから」
その時、後ろでなにか光った。
「なんにせよ、こんな異質な人間は見たことがないね。個人的にも興味があるし、なにより「世界樹の守り人」として見逃せない………」
「えっ、レイン………すごい!私はじめて見たよ!」
世界樹。
それは、8000年の時を生きる超巨大樹木。
全世界のすべての「魔」の源であり、還る場所。
経済、宗教、魔法具の最先端を行く街「央都センター」の中心にそびえ立ち、高さは200メートルを超え、夏にはぶいぶいと葉が生い茂る。
そして1500年もの時、世界樹を守って来たのが9人の「世界樹の守り人」である。
「九大神」は1500年前、聖戦によってその身を滅ぼした。
戦争はいまだ根強く残る。
神頼みとは大変情けないが、九大神の力はあまりに大きい。
再臨まで守り人が守るというわけだ。
「まずはセンターを目指そう。知り合いに封印魔法のスペシャリストがいるからさ。………まぁ、ユーリの封印はどちらかといえば「呪術」に近いんだけども」
「呪術………?な、治らないの?」
「いやいや。ある一定の条件を満たさないと解けない「縛り」だよ…故に強力なんだけどね。魔法じゃなくてスキルの一種だしね………」
「そっかー、私大変なんだなぁ」
「そうだよ?ボクもユーリみたいなのは見たことな」
レインはそこで言葉を止め、素早く振り向いた。
「なに、どしたの」
「シッ!ボクのかけた魔法結界をいともたやすく破った……?」
「やぁ、お2人さん。お楽しみのトコ悪いねぇ?」
何もない空間から声がする。
背筋を冷たく這い回るような声だ。
「………どこから………入った?」
「まぁまぁ、そう警戒なさらずに。私はケンカを売りに来たわけじゃありませんから」
「じゃあ………帰ってもらえないかな?」
「それもできませんね?私はただ伝えに来たのですよ。そこにいるお嬢さんに」
黒マントはユーリに向かって深々と頭を下げた。
「ユーリ様。16歳の誕生日おめでとうございます。ウチの頭領も喜んでおりますよ」
(何者だ………ボクの仕掛けた隠蔽魔法をすべてすり抜けたのか?)
「いずれ、またお会いしましょう」
「まてッ!何者だ!?」
「あぁ、私としたことが。私らは旅団。黒き印に集う旅団。………黒印旅団です。そして私はシグ。シグ……ザウエルと申します」
そう言い、凍るような笑みを浮かべて消えた。
そう、まさにその空間から消え失せた。
「………急ごう。すぐにセンターへ向かうんだ……ヤツはボクが本気で仕掛けたトラップや隠蔽攻撃をすべて躱した……。あれはボクの手に負えない……ここではね」
その横顔には緊張と冷や汗がベッタリと染み付いていた。
「黒印旅団だと………?あの黒印旅団?…………1500年前の産物ではなかったか……!」
レインは鋭く呟き、ふと顔を上げると手に集中を集める。
「さぁ、もう出かけるよユーリ。キミはもうボクらの保護対象だ。……家を片付ける!」
「え?え?い、家を?」
「さぁ、怪我をしたくなければすぐに家の外へ!」
慌てて扉をあけて外へと飛び出す。
目の前で古びた洋館が次々と姿を変え、形を変えて消えた。
「………黒き魔性の闇よ……それは闇より来たりて闇より深き深淵………下ろせ、エクストラスキル・夜の帳」
レインは呟くと、ユーリを振り返ってにっこり笑った。
「さて、行こうか」
こうして私たちの央都センターを目指す旅は始まった。
「ねぇ、さっきの何?家消えたよ?」
「うーん………ふふふ。そう見えたんなら成功だね。あれはボクのエクストラスキルで消えたように見せたんだ。かなーり強めにかけたからね、まぁさっきのやつでも入れないよ」
「ふーん………なんかさ、意味ありげなこと言ってたじゃん?」
「ん?何か言ったかな」
「ホラ、あの……「ここでは力が出ない」的なことを」
「あー、そりゃね。ボクもユニークスキルを持ってるんだけど……世界樹付近じゃないと全力は出ないよねー。そういうスキルなもんで」
「ふーん」
深くは聞かない。
今は興味がないともいえるし、レインならいずれ話すべき時に話すだろうと思ったからだ。
「さて、少し気持ち切り替えよっか。ここから先は「ヴァルグラの森」。かつて九大神の側近を務めた「火竜ヴァルグラ」の眠る森だ。1500年、途切れたはずの魔力はいまだこの森の魔物を活性化させている……」
「う、嘘……1500年前のマナがまだ魔物に影響を与えてるの?」
「うん、ここは危険度アベレージA。危険レベルにして50クラスの魔物がうろうろしてるからね?封印されてるヴァルグラに至ってはSSSだ………危険レベルではもはや測れない」
危険度はギルド協会が定めたモンスターの強さを表すものだ。
D~SSSまであり、Sランク以上は人間の討伐が不可能とされる。
さらにそれを細かく分けたのが危険レベルで、0~99まで。
ヴァルグラを表すとしたら約800。
「わー………私戦えないよ?」
「大丈夫だよ。ボク、結構強いから」
その時、後ろでなにか光った。
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