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3 旅路
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木の下闇に2つの瞳が紅く光る。
「なに!?」
グルルルルルルァ………
唸り声まで聞こえてくる始末だ。
「ちょうどいい、ユーリ。見てみるといいよ、今隠れてるあの魔物のデータをさ」
「えぇー………できるかなぁ……。あ、あれ………?うわ、見える!見えるよレイン!」
「当たり前さ。ボクの鑑定結果を疑ったのかな?」
「そういうわけじゃないけど………うわ、なにこいつ気持ち悪っ!」
「なんだったんだ?」
「ご、ゴライアスラビット?危険度B、危険レベル12……小さな赤い目と体の数倍ある超巨大なキバが特徴………ってよ!」
「そうかー、そいつは見たことがあるね。まだユーリには荷が重いかなぁ」
「じゃあよろしくっ!」
ユーリは5歩ほど下がった。
ギリギリの危機察知能力は非常に高い、レインは感嘆するばかりだ。
「ゴライアスラビットはキバが高く売れるんだ。肉は筋張ってて美味しくないけど酒のつまみにはなる」
「私お酒飲めないからね!」
「んー?センター法では16歳から酒飲めるだろ」
「そんでもダメなの!いいの!?酒乱が片っ端から人のプライバシー暴露してって!」
「おっと……それはいけない。ユーリがそういうスキル持ってるって忘れてたよ」
ガアァァァァァアッ!
ついにゴライアスラビットが草むらから飛び出した!
ポケ◯ンか。いやポ◯モンではない。
「うーん………こいつは……」
「なにしてんのレイン!襲ってくるよ!」
「んー?うん………うーん……。よし!」
レインが手をポンっと鳴らすのとゴライアスラビットの豪傑なキバがレインに食い込むのが同時だった。
ユーリはとっさに目を塞ぐ。
「うわぁ…………」
「ユーリ、この子は見逃してあげよう。まだ子供なんだ……この森は危険区域だから人も来ないし異質な存在だったんだろうボクらは」
軽快にそういうと、「風魔法・ウィンドカプセル」「風魔法・ウィングバーン」と立て続けに杖も使わず詠唱も唱えず魔法を唱えた。
「うわー………私には絶対できない!」
結果として、ゴライアスラビット(の子供)はレインの作り出した風のカプセルの中に入れられ、丸くなったところで遠くに飛ばされた。
「まぁ、かわいそうなことしたけどボクらのが歩く場所に放ってもね………ユーリ、覚えておくといい。これがボクら人間のエゴだ。人間ファースト、当たり前っちゃ当たり前だけど………彼らもまた命なのにな」
そういうレインの横顔はやけに寂しげだ。
「ねぇ、それよりさ」
「それより!?」
ガビーン、と聞こえてきそうながっかり具合だ。
「だって難しいことわかんないもん。大丈夫。いつか行動で表してくれるんでしょ?レインは」
「……………………………」
「照れくさいのか?このやろー」
「やめっ……やめな…こら、やめなさい」
ツンツンはかなり効くようです。
「まぁ、それはいいとして。なんでさっき噛まれてたのに平気な顔してたの?めっちゃ噛まれてたよ」
ガブーッ!って。
そういうとレインは笑った。
「ボクは傀儡魔法ってのを使ってるんだよ。別の場所にボクの代わりになる人形を置いて、攻撃をそいつに代わりに与える。結果、ボクは無傷というわけさ。ボクが使ってるのは鬼神傀儡といって最上級に位置する人形なんだよ。特注だし、さっきの攻撃でもビクともしない」
「へぇ、便利だねそれ」
「うん、でも辛いよ」
「え?」
「知ってるでしょ?上位の魔法、スキルは会得のためになにをしなきゃいけないか」
「えと………儀式?」
「そう、儀式だ。供物を捧げたり、特定の素材を集めたり、それはもう色々だ」
「さっきの傀儡魔法?の最上位?のはどんなのしたの?」
「あぁ………傀儡魔法の上位魔法を会得するにはね、3日3晩のあいだに使用する傀儡の耐久力を超えるダメージを受けなきゃなんないの」
「うわぁ………さっきのウサギの攻撃がビクともしないような人形が破壊されるダメージを?」
「受けたよー」
サラッと言いやがった。
「さて、ここからは少し楽をしよう」
「え?」
「ここね、言ったように火竜ヴァルグラが眠ってるんだよ。文字通り、今もね………なるだけ刺激は与えないほうがいいでしょ?世界、消えるよ」
「え、えええええぇ!?」
「彼らがいた1500年前は彼らの魔力で世界は今より強固だったからね。今の世界なら九大神の側近で壊されちゃうね。そんなことはしないだろうけど」
そんなことはしなくてもそんなことができる力持ってるんでしょ?
ユーリはもう震えが止まらない。
「もう少し進むとヴァルグラが眠る遺跡がある。ユーリは正直ボクにも分からない力を持っている。もし………それがヴァルグラを刺激するとしたら。いけないね、空を飛んで行こう」
そんな方法あるならさっさとやれや!と思うものの唇が震えてうまく言えない。
「この辺はヴァルグラの魔力で魔法磁場が崩れやすい。万が一マナが弾けたときのために一応かけとこうか」
そういうとレインは立て続けに、
「防護魔法・アクリュガード」
を2人にかけた。
「風魔法・勝利の竜巻」
さらにレインが唱えると、強固な透明の壁に守られた2人は激しく浮かび上がった。
そして。
なにかが弾ける音。
ついさっきの会話がユーリの耳に残っていた。
「…………万が一マナが弾けたとき……」
弾けたのはマナか。
だとしたらなんで。なんでいま。
震えはいまだ止まらない。止まらないままレインと離れていく。
反対方向に飛ばされていくレインがスローに見えて、唇がなにごとか叫んだ。
「………………ユーリッ!」
「レインっっっ!」
そして2人はそれぞれ別の方向に飛ばされた。
「なに!?」
グルルルルルルァ………
唸り声まで聞こえてくる始末だ。
「ちょうどいい、ユーリ。見てみるといいよ、今隠れてるあの魔物のデータをさ」
「えぇー………できるかなぁ……。あ、あれ………?うわ、見える!見えるよレイン!」
「当たり前さ。ボクの鑑定結果を疑ったのかな?」
「そういうわけじゃないけど………うわ、なにこいつ気持ち悪っ!」
「なんだったんだ?」
「ご、ゴライアスラビット?危険度B、危険レベル12……小さな赤い目と体の数倍ある超巨大なキバが特徴………ってよ!」
「そうかー、そいつは見たことがあるね。まだユーリには荷が重いかなぁ」
「じゃあよろしくっ!」
ユーリは5歩ほど下がった。
ギリギリの危機察知能力は非常に高い、レインは感嘆するばかりだ。
「ゴライアスラビットはキバが高く売れるんだ。肉は筋張ってて美味しくないけど酒のつまみにはなる」
「私お酒飲めないからね!」
「んー?センター法では16歳から酒飲めるだろ」
「そんでもダメなの!いいの!?酒乱が片っ端から人のプライバシー暴露してって!」
「おっと……それはいけない。ユーリがそういうスキル持ってるって忘れてたよ」
ガアァァァァァアッ!
ついにゴライアスラビットが草むらから飛び出した!
ポケ◯ンか。いやポ◯モンではない。
「うーん………こいつは……」
「なにしてんのレイン!襲ってくるよ!」
「んー?うん………うーん……。よし!」
レインが手をポンっと鳴らすのとゴライアスラビットの豪傑なキバがレインに食い込むのが同時だった。
ユーリはとっさに目を塞ぐ。
「うわぁ…………」
「ユーリ、この子は見逃してあげよう。まだ子供なんだ……この森は危険区域だから人も来ないし異質な存在だったんだろうボクらは」
軽快にそういうと、「風魔法・ウィンドカプセル」「風魔法・ウィングバーン」と立て続けに杖も使わず詠唱も唱えず魔法を唱えた。
「うわー………私には絶対できない!」
結果として、ゴライアスラビット(の子供)はレインの作り出した風のカプセルの中に入れられ、丸くなったところで遠くに飛ばされた。
「まぁ、かわいそうなことしたけどボクらのが歩く場所に放ってもね………ユーリ、覚えておくといい。これがボクら人間のエゴだ。人間ファースト、当たり前っちゃ当たり前だけど………彼らもまた命なのにな」
そういうレインの横顔はやけに寂しげだ。
「ねぇ、それよりさ」
「それより!?」
ガビーン、と聞こえてきそうながっかり具合だ。
「だって難しいことわかんないもん。大丈夫。いつか行動で表してくれるんでしょ?レインは」
「……………………………」
「照れくさいのか?このやろー」
「やめっ……やめな…こら、やめなさい」
ツンツンはかなり効くようです。
「まぁ、それはいいとして。なんでさっき噛まれてたのに平気な顔してたの?めっちゃ噛まれてたよ」
ガブーッ!って。
そういうとレインは笑った。
「ボクは傀儡魔法ってのを使ってるんだよ。別の場所にボクの代わりになる人形を置いて、攻撃をそいつに代わりに与える。結果、ボクは無傷というわけさ。ボクが使ってるのは鬼神傀儡といって最上級に位置する人形なんだよ。特注だし、さっきの攻撃でもビクともしない」
「へぇ、便利だねそれ」
「うん、でも辛いよ」
「え?」
「知ってるでしょ?上位の魔法、スキルは会得のためになにをしなきゃいけないか」
「えと………儀式?」
「そう、儀式だ。供物を捧げたり、特定の素材を集めたり、それはもう色々だ」
「さっきの傀儡魔法?の最上位?のはどんなのしたの?」
「あぁ………傀儡魔法の上位魔法を会得するにはね、3日3晩のあいだに使用する傀儡の耐久力を超えるダメージを受けなきゃなんないの」
「うわぁ………さっきのウサギの攻撃がビクともしないような人形が破壊されるダメージを?」
「受けたよー」
サラッと言いやがった。
「さて、ここからは少し楽をしよう」
「え?」
「ここね、言ったように火竜ヴァルグラが眠ってるんだよ。文字通り、今もね………なるだけ刺激は与えないほうがいいでしょ?世界、消えるよ」
「え、えええええぇ!?」
「彼らがいた1500年前は彼らの魔力で世界は今より強固だったからね。今の世界なら九大神の側近で壊されちゃうね。そんなことはしないだろうけど」
そんなことはしなくてもそんなことができる力持ってるんでしょ?
ユーリはもう震えが止まらない。
「もう少し進むとヴァルグラが眠る遺跡がある。ユーリは正直ボクにも分からない力を持っている。もし………それがヴァルグラを刺激するとしたら。いけないね、空を飛んで行こう」
そんな方法あるならさっさとやれや!と思うものの唇が震えてうまく言えない。
「この辺はヴァルグラの魔力で魔法磁場が崩れやすい。万が一マナが弾けたときのために一応かけとこうか」
そういうとレインは立て続けに、
「防護魔法・アクリュガード」
を2人にかけた。
「風魔法・勝利の竜巻」
さらにレインが唱えると、強固な透明の壁に守られた2人は激しく浮かび上がった。
そして。
なにかが弾ける音。
ついさっきの会話がユーリの耳に残っていた。
「…………万が一マナが弾けたとき……」
弾けたのはマナか。
だとしたらなんで。なんでいま。
震えはいまだ止まらない。止まらないままレインと離れていく。
反対方向に飛ばされていくレインがスローに見えて、唇がなにごとか叫んだ。
「………………ユーリッ!」
「レインっっっ!」
そして2人はそれぞれ別の方向に飛ばされた。
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