異世界に転生した私は薬剤師の助手です!?

氷雨 いぶき

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本編

2、薬剤師レイン・オクシィ

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「あ~~~も~~~~疲れたぁ!」

杖代わりにしていた木の枝がボキッと折れて「おぶっ!」とうら若き少女らしかぬ悲鳴をあげる。

「てか、不可視のものが見えるってなんやねん!なんも見えんわクソが!」

口をついて出る悪態も男らしい。

ここで死んだらまたあの場所に行くのかとか、それは嫌だなとか考えてる内に、なにやらひらけた場所にでた。

「あ、家だぁ!助かった!」

小さいが生活感のある小屋を発見した。

思わず4本目の枝を投げ捨てて駆け寄る。

「あのー、すみません!だれかいませんか!」

返事がなければ勝手に入ろうとか思いながらノックを続けること6回。

ガチャリとドアが開いた。

「あ、あり………?」

たしかにドアノブが回ったのに、誰もいない。

「まったく、誰だ?私のかけた隠密ステルス魔法を解いたバカ者は」

なにも無いはずの空間から若い男の悪態が聞こえた。

その声をたどって、スゥーっと目線を下にやると。

「え、ちっさ!」

1メートルもあろうかというほど小さな子供が顔だけは一丁前にイケメンにこちらを睨んでいる。

「私を愚弄する元気があるならこのドア、閉めても構わんな?」

「あぁー!!!ごめんなさいごめんなさい!ちっさく無いです全然!」

「……………………ちっ、入れ」

招き入れられたのは、小さなワンルームの部屋だった。

小綺麗、といえばいいのか。

赤いカーペットを引いた上に柔らかそうなソファ。
灯りは天井の電球?(四角い板が光っている)とソファの横のロウソク。

キッチンの木のテーブルの上になにやら白い四角い箱。

テレビとかは無く、あぁそういう世界に来たのだと思い知らされる。

「コーヒーかココア、どっちがいい」

よく見ると割とかわいいが顔と体の比率が微妙にあっていない子供がだるんだるんの白衣を着たまま言う。

「あ………ココア、で」

ソファに招かれ、腰を下ろすとカップが空のまま出てきた。

これは何かの嫌がらせか。

「ココアだったな」

子供がそういった次の瞬間、カップがココアで満たされたちまち湯気を立てる。

「え、え!?」

「魔法だ。そんなことも知らずにここに来たのか?いや、ならば高等な隠密ステルス魔法で隠されたココをどうやって見つけた」

「いや………ふつうに立ってましたけど。それはもう堂々と」

「いや、そんなはずはない。魔法が解けているなら私に知らせが来る」

子供かアゴに指を当てる。

「ふむ………………」

ハルをちらりと見て、少し驚いたように目を開く。

「なるほど………赤髪に赤い瞳か…、よしお前!ウチの助手になれ」

「は、はぁあ!?」

状況がつかめない。

「お前が疑問に思っていることを教えてやる。まぁ座れ」

いつのまにやら立っていたらしい、おどおど座り直す。

「まず、私の名はレイン・オクシィ。国家薬剤師が1人。そして、こう見えて27だ」

「は、はぁぁぁぁあぁぁ!?」

「この姿は魔力の消費を抑えている時の姿だ。省エネだ、省エネ」

そんな言葉がこの世界にもあるのかと、へんな共通点を見つけた。

「………信じてないな、お前。よろしい、私の本当の姿を見せてやろう」

まばたき、1つ。

その間に子供は大人になっていた。

銀髪が混じった黒髪。
好奇心にあふれた瞳と、不敵に笑う口元。

白衣のサイズが合ったのか、なかなかの爽やかイケメンになった。

「どうだ、分かったか。これが国家薬剤師レインの本当の姿よ」

どうしよう、思ったよりイケメンで内心引いてる。

「あの………薬剤師って?」

「なんだ、そんなことも知らんのか。その名の通りだ、世界中を周り万病に効く薬を探して人々の安全を守るのよ」

「へぇ………」

「国の重鎮クソどもは自分が可愛いからな。私みたいに薬剤師を雇って身の安全を守ってるのさ」

レインはふところからタバコを取り出して加えた。

「それでお前を助手にした理由だが………お前、髪と瞳が赤いな」

コンプレックスをズバッと言われて、泣きそうな顔になるハル。

「いや、実に美しい」

「………………………………え」

「見れば見るほどうっとりする。私は美しいものに目がなくてね」

私の………髪が、美しい?

忌々しい足枷でしかなかったこの髪と瞳が?

「お前を助手にした理由なんてそんなもんだ。どうせ行くあてもないのだろう?」

「あ、あぁ、あぁぁあぁあぁぁあぁ」

どうしようもなく涙が溢れた。

本当は、本当は好きだった!

この髪も瞳も。

でもどんなに好きでも、どんなに頑張ってもマイナスにしかならなくて……………あぁ私なにいってるんだろう!

「………………ぁ、………は、ハル…」

「ん?」

「あたしの…………ッ!名前!………アカマ………ハルッ!」

「あぁ、よろしくハル」

突然泣き出して困惑しているだろうか。

しかし、そのぎこちない優しさがとても嬉しくもあった。


だから、少しだけ甘えさせてもらうことにして、思いっきり声をあげて泣いた。



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