異世界に転生した私は薬剤師の助手です!?

氷雨 いぶき

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本編

9、お嬢様

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エリーゼ邸へ向かい、レインとエリーゼが虐殺道化師キル・ピエロの話をしている間、ハルは応接室へと通されていた。


「アールグレイでございますが、お口に合いますかどうか」

「あ、大丈夫です。ありがとうございます」

丁寧な執事が紅茶とケーキを置いて、ご丁寧に1人にしてくれた。


「まぁ、レインのコーヒーに比べればね………」

レインのコーヒーは、日頃ブラックを飲むハルからしても異常に苦い。

こんなに苦くできるのかよ人間の英知ってすげぇな、くらいは思った。


「……………ん?」

不意に、かちゃりと音がしてドアが少しだけ開いた。

見れば10歳くらいであろうか、金髪の少女がこちらを伺っている。

「や、やば…………ッ!可愛すぎ!」

女のハルですらヨダレが出た。

ぱっちりとした大きな目、メイドさんに仕立ててもらっているのだろう綺麗なドレス、絹のようにしっとりとした白い肌。

「やだーーー!可愛い♡」

おいでおいで、と手で招くと緊張の面持ちでやってきた。

「あなた、お名前は?」

少女の頭に手を置いて尋ねると、ぎゅっと抱きついてきた。

「イル~~~~~~!」

名前だろうか、やっばい可愛い。


「あなたが鬼よ」

急に離れたイルが指でこちらを指す。

「え」

「10秒数えてねっ!」

すごい勢いで部屋を出ていくイル。

わぁ、こういう時ってどうしたらいいんだろう?
執事さんかメイドさんに言うべきか。

いや…………「鬼のハルちゃん」と呼ばれた私の実力を見せてやる他あるまい!


「ここかなぁ~?」

廊下のツボの裏。いない。

「鬼さんこちら、手のなる方へ♪」

不意に、小馬鹿にしたようなあどけない声が廊下の奥から聞こえる。

「見つけたよぉ~!」

大人気なく全力ダッシュ。

「キャハハ、捕まっちゃう~」

おいおい待て。
速くない?こいつ。

一向に縮まらない差。

「よぉし、本気出しちゃうぞ~!」

もう一段ギアを上げて追いかけるハル。
これでも陸上部だ。

あと…………もう、少しっ!

不意に、少女がくるりとこちらを向いた。

「炎魔法フレア=バーストっ♡」

いや………………ッ!

可愛らしくねぇよーーーーーー!!!


絶叫しながらイルの魔法で吹っ飛ぶハルは、実に無様であったろう。

しかも、丁度間の悪いことにレインとエリーゼの部屋の前に転がり、しかも間の悪いことにレインが出てくるところだった。


いったぁ~!」

不甲斐ない悲鳴で床に転がるハル。

イルは…………………爆笑。


「何をやってるんだ、お前は」

レインに呆れられる。

「だ、だってぇ!」

見ればイルはもういない。

この恨み、払さでおくべきかァ~~~!

「あら、イルとミルねぇ…………ごめんねハルちゃん」

「え、ミル………?」

部屋から出てきたエリーゼは、ススだらけのハルを見てなにか悟ったらしい。

「妹よ。双子なんだけど、捨て子でねぇ…………拾ってビックリ、魔法の才能マジやべぇ、でね!」

「安心しろ、私も何度かやられた事がある」


安心できない「安心しろ」をもらって、のちに魔法で吹っ飛ばしてきたのがイルではなくミルであった事が発覚した。


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