異世界に転生した私は薬剤師の助手です!?

氷雨 いぶき

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本編

12、癒しの国マール

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眼を覚ますと、飾り気のない天井が見えた。


「あ、レイン…………起きたみたい」

あぁ、ハルの声がする。

もう少し、もう少しだけここで寝ていてもいいだろうか………

「…………ハッ!」

上半身を勢いよく起こした。

………勢い良すぎて少し背中が痛い。

「うぅ…………」

頭が痛い。

普段力を抑えているのに、8年ぶりだというのに急にリミッターを外しすぎた。

恐らく20%落ちていた。

「ハル………か。私は…………」

「あ、まだ動かない方がいいです。私たち《レジスタンス》の皆さんに助けてもらって」

「レジスタンス…………?」

自然と怪訝な顔になる。

「私らがレジスタンスだ。夜空の雲クラウンナイトを追っている」

「なにッ!」

いつのまにかドアの所にお洒落でない女が立っていた。

夜空の雲クラウンナイトといったか!」

「あぁ、言ったよ。だって私らはあんたが思ってるよりはるか昔から奴らを追ってるからね」

頭の痛みも全てがどうでもよかった。

ただ、旧友エリーゼを殺した奴らへの手がかりがこうも早く見つかるとは。

「さて、ハルちゃんも交えて少し話をしようか。私らレジスタンスの話を」

「まて、いくつか質問させろ。まずここはどこだ。そしてゼルガナはどうなった」

女はため息をついて椅子に座った。

「自己紹介からさせな。私はエレジー・マグリア。エレジーと呼びな、28だ」

「………分かった、エレジー。それで………」

「ここは癒しの国マール。詳しい場所は言えないが。…………ゼルガナは壊滅した。が、ゼルガナが計画していたイリルムードへの宣戦布告が消えたのは不幸中の幸いかな」

「そう………か」

やはり、祖国を失うというのはつらい。

「だがイルとミルは生きているぞ。今はこの国一番の医者が見てる」

「本当かッ!」

エリーゼが遺した2人は、絶対に守り抜くとレインは誓った。


「さて………本題だが。レジスタンスに入る気はないか?」

「……………は?」

遠慮解釈なく、疑問の声が漏れた。

「もちろん入団試験は受けてもらう。大々的に活動しているわけではないので…………落ちれば即記憶消去させてもらうが」

「まてまて、なんで私がレジスタンスに入らねばならない?」

「簡単だ、君も夜空の雲クラウンナイトへ恨みを持っているのだろう?我々は実力を知らないのでなんともいえないがな」

「断る。私は他人に自分をコントロールされるのが嫌いだ」
「なら情報はやれんぞ。私らのことも、夜空の雲クラウンナイトのことも」
「いや、情報はもらう」
「ならレジスタンスに」
「断る」

エレジーは思いっきりイライラした顔を遠慮なく見せた。

「………………キレそう」

ごめんなさいぃいぃい!

ハルは心の中で思いっきり頭を地面にこすりつけた。

「いや………しかし、ハルに聞いていた通りの人物だ。いいのか?レジスタンスに入れば情報は全公開だし、お前の旧友を殺した奴の特定もできてる」

「なに………」

あからさまにレインがぶれる。

「……………ちょっと考えさせてくれ」

「あぁ、もちろんだ。だが明日になったら決めてくれよ」

エレジーは部屋を出て行った。



「…………エリーゼは?」

「あ………………遺骨………とか残ったのはお墓に埋めたそうです。この建物の西の広場に…………」

「そうか、私はそんなに寝ていたのだな」

「えぇ、まぁ。4日ほど」

こめかみを抑えて、やっと疼く程度になってきた痛みをやり過ごした。

ハルは気を遣ってか、追いかけてはこなかった。












「エリーゼ…………私は、私は…………」

レインのエリーゼは20年来の友であった。

いや、時には恋人のようになってみたりもした。
そして気付いた。もっと近しいものであったと。

「悔しい…………悔しいよ、エリーゼ。今のままじゃ君の仇を撃てないことが……………!」

自らをえぐるほど握りしめた拳から、血が流れ落ちた。

それと同時に涙腺も決壊した。


「あぁ、エリーゼ…………私は、どうしたらいいのだろう?」

涙は後から後から溢れて止めどない。

いつか君と幸せになることを夢見ていた、心のどこかで。

あぁ、奴らが憎い。憎いよ。





「…………………………………大丈夫。はもう、堕ちない」

墓の前でフッと笑ったレインは、枯れた涙を残らず怒りに変えた。


レジスタンスでもなんでも利用してやる。

ただ、闇に堕ちないよう君を救おう。







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