18 / 34
本編
15、死を運んでくる
しおりを挟む
「三階北廊下………異常なナシ」
「二階も異常ナシだ。各部屋のチェックが済んだら食堂へ集合」
「了解」
大総統邸というのは無駄にデカイ。
それはもう、果てしなく無駄にデカイ。
さすが軍のトップというだけあるが5人では見回るのもきつい。
が、それも今日でおしまい。
昼も夜も野犬やら悪漢やらと働きづめで正直つらい。
てかあの大総統、人から恨まれすぎ!
「あぃ~、三階の使用人部屋も異常ナシ_________________________」
三階の使用人部屋を開けた時だった。
中に人影が一瞬見えた。
この時間、この部屋には誰もいないはず。
てことは、
「誰だッ!」
するどく声を上げ、味方全員に警報を無線で飛ばす。
「あ、あれ………なんでここにいんのよレイン君☆」
暗闇の中でむくりとこちらを向いたその顔は、その顔は__________
「てめぇええぇえぇえぁ!」
「あーもー、うるさいなぁ。無邪気道化師、参上ってね☆」
例えるなら、反射。
いや、それすら止まって思えるほど頭が何かを思う前に飛び出した、レインの黒い影。
「ブッ殺しテやル………!」
「レインー、朝ごはんよ!」
「はーい、今行きますお母さん」
父は戦争に行ってしまったが、レインは母と2人で平穏な日々を送っていた。
「いただきま」
手を合わせた。
それが、レインの最後の記憶だ。
「お母………さん……………?」
ズキズキと痛む頭が吹き飛ぶかと思った。
それほど、それほど衝撃的だった。
壁や天井、あたり一面を紅に染めるのは………自らの母の血であった。
「ハハハ、お前………頭をぶん殴ってやったらすぐ気絶したなぁ」
「ま、すぐ起きたけど」
レインを囲んでいたのは、敵国ドリスボーナの軍服姿の兵士6人であった。
「あ、あぁ………ぁぁぁあァァぁぁぁぁぁァァぁぁぁぁぁ!!!」
ケモノの様な、喉から溢れた咆哮。
その視線の先には、首と胴が分かれた母の姿があった。
「ハハハッ、お前も災難だなぁ。知ってるか?お前はヒトバシラだったんだぜ。カミサマの怒りを鎮めるためになぁ………でも生きてたんだよなぁ、お前」
「そうそう、だからお前の両親が育てたんだが………ま、オレらにゃ無用の長物、あっても厄介者ってわけ」
ヒトバシラ………?
それを漢字に変換する力はまだ無かった。
後に、それが「人柱」だと知る。
「いらなくなったゴミは…………処分しなきゃな?」
ジャガッ!
いくつもの銃口が向けられる。
殺してやる。
オマエラオレノカアサンヲコロシタオマエラハニクヘンモノコサナイコロシテルコロシテヤルコロシテヤル!
「あばよ、ゴミ坊主」
ニヤリと笑った敵兵が引き金を引く、最後の最後までレインは「世」の全てを憎んで目を見開いた。
『ククク………小僧。オレが体を預けてやってんだ………簡単に死なれちゃ困るなァ』
は?
時間が………止まった?
弾丸が空中で止まり、そのまま進めば確実に自分を貫くことにゾッとする。
『オレの名は太陽喰い………。その昔、太陽の王を殺った張本人よ………』
見れば、止まった時間の中で若い男が空中で足を組んでいる。
それほど年老いているようにも見えないが、その双眸は世の全てを嘲笑うかのような光を帯びていた。
『そんな………どれだけ優しくつまんでも潰れちまいそうなヤツらに負けられちゃあ困る。ほんの少しだけ「力」をやろう。………いずれオレが蘇る為の布石だ』
何を言っている。
しかし、奴らを殺す力がもらえるのならば………土下座してでも欲しい。
『ククク………使い方を誤るな?深淵に堕ちるぞ………。地獄すらマシと思える場所に100年幽閉される事になる。安心しろ?死にはしない。ただ木偶の坊になるだけだ………文字通り………な』
「欲しい!」
涙の代わりに血でも流れようかというほどレインは空をにらんだ。
「奴らを殺す力が!」
『ククク………いい目だ…それもいずれ貰うがなァ。いいだろう、しかし上限は常に超えるなよ………』
「気分はどうだ………虫ケラみたいに殺される気分は………?」
レインは兵士どもの四肢をもいだ。
弾丸など皮膚に触れるや溶け去った。
「あ………ぁ……………た、助けてくれぇ………頼む………」
「それじゃダメなんだよォ!」
兵士の顔面を蹴り飛ばすレイン。
下半身を完全に切り離すと、やっと望んだ声が聞けた。
「頼む………ころ………して………………くれ…」
「たのむぅ………」
「ころしてくれぇ………」
爽快感も達成感もなにもなかった。
ただ目の前に転がるイモムシを無視して、外に出た。
トドメは刺さない。
それが罰だ。
「あぁ………オレ………」
今のレインは人ではなかった。
悪魔と契約した………悪魔であった。
「フフ………深淵でもなんでも覗いてやる!ヤツを殺す力をオレに寄越せ!」
ドクン。
人として何か大事なものを失くすのは2度目で、しかも同じものだった。
「二階も異常ナシだ。各部屋のチェックが済んだら食堂へ集合」
「了解」
大総統邸というのは無駄にデカイ。
それはもう、果てしなく無駄にデカイ。
さすが軍のトップというだけあるが5人では見回るのもきつい。
が、それも今日でおしまい。
昼も夜も野犬やら悪漢やらと働きづめで正直つらい。
てかあの大総統、人から恨まれすぎ!
「あぃ~、三階の使用人部屋も異常ナシ_________________________」
三階の使用人部屋を開けた時だった。
中に人影が一瞬見えた。
この時間、この部屋には誰もいないはず。
てことは、
「誰だッ!」
するどく声を上げ、味方全員に警報を無線で飛ばす。
「あ、あれ………なんでここにいんのよレイン君☆」
暗闇の中でむくりとこちらを向いたその顔は、その顔は__________
「てめぇええぇえぇえぁ!」
「あーもー、うるさいなぁ。無邪気道化師、参上ってね☆」
例えるなら、反射。
いや、それすら止まって思えるほど頭が何かを思う前に飛び出した、レインの黒い影。
「ブッ殺しテやル………!」
「レインー、朝ごはんよ!」
「はーい、今行きますお母さん」
父は戦争に行ってしまったが、レインは母と2人で平穏な日々を送っていた。
「いただきま」
手を合わせた。
それが、レインの最後の記憶だ。
「お母………さん……………?」
ズキズキと痛む頭が吹き飛ぶかと思った。
それほど、それほど衝撃的だった。
壁や天井、あたり一面を紅に染めるのは………自らの母の血であった。
「ハハハ、お前………頭をぶん殴ってやったらすぐ気絶したなぁ」
「ま、すぐ起きたけど」
レインを囲んでいたのは、敵国ドリスボーナの軍服姿の兵士6人であった。
「あ、あぁ………ぁぁぁあァァぁぁぁぁぁァァぁぁぁぁぁ!!!」
ケモノの様な、喉から溢れた咆哮。
その視線の先には、首と胴が分かれた母の姿があった。
「ハハハッ、お前も災難だなぁ。知ってるか?お前はヒトバシラだったんだぜ。カミサマの怒りを鎮めるためになぁ………でも生きてたんだよなぁ、お前」
「そうそう、だからお前の両親が育てたんだが………ま、オレらにゃ無用の長物、あっても厄介者ってわけ」
ヒトバシラ………?
それを漢字に変換する力はまだ無かった。
後に、それが「人柱」だと知る。
「いらなくなったゴミは…………処分しなきゃな?」
ジャガッ!
いくつもの銃口が向けられる。
殺してやる。
オマエラオレノカアサンヲコロシタオマエラハニクヘンモノコサナイコロシテルコロシテヤルコロシテヤル!
「あばよ、ゴミ坊主」
ニヤリと笑った敵兵が引き金を引く、最後の最後までレインは「世」の全てを憎んで目を見開いた。
『ククク………小僧。オレが体を預けてやってんだ………簡単に死なれちゃ困るなァ』
は?
時間が………止まった?
弾丸が空中で止まり、そのまま進めば確実に自分を貫くことにゾッとする。
『オレの名は太陽喰い………。その昔、太陽の王を殺った張本人よ………』
見れば、止まった時間の中で若い男が空中で足を組んでいる。
それほど年老いているようにも見えないが、その双眸は世の全てを嘲笑うかのような光を帯びていた。
『そんな………どれだけ優しくつまんでも潰れちまいそうなヤツらに負けられちゃあ困る。ほんの少しだけ「力」をやろう。………いずれオレが蘇る為の布石だ』
何を言っている。
しかし、奴らを殺す力がもらえるのならば………土下座してでも欲しい。
『ククク………使い方を誤るな?深淵に堕ちるぞ………。地獄すらマシと思える場所に100年幽閉される事になる。安心しろ?死にはしない。ただ木偶の坊になるだけだ………文字通り………な』
「欲しい!」
涙の代わりに血でも流れようかというほどレインは空をにらんだ。
「奴らを殺す力が!」
『ククク………いい目だ…それもいずれ貰うがなァ。いいだろう、しかし上限は常に超えるなよ………』
「気分はどうだ………虫ケラみたいに殺される気分は………?」
レインは兵士どもの四肢をもいだ。
弾丸など皮膚に触れるや溶け去った。
「あ………ぁ……………た、助けてくれぇ………頼む………」
「それじゃダメなんだよォ!」
兵士の顔面を蹴り飛ばすレイン。
下半身を完全に切り離すと、やっと望んだ声が聞けた。
「頼む………ころ………して………………くれ…」
「たのむぅ………」
「ころしてくれぇ………」
爽快感も達成感もなにもなかった。
ただ目の前に転がるイモムシを無視して、外に出た。
トドメは刺さない。
それが罰だ。
「あぁ………オレ………」
今のレインは人ではなかった。
悪魔と契約した………悪魔であった。
「フフ………深淵でもなんでも覗いてやる!ヤツを殺す力をオレに寄越せ!」
ドクン。
人として何か大事なものを失くすのは2度目で、しかも同じものだった。
0
あなたにおすすめの小説
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる