まちがいさがし〜愛されているのは誰?〜

黒猫と招き猫

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1章 〜異世界編〜

自分の居場所

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 あぁ、誰が引き止めてくれたんだろう。抱きしめてくれた人の顔を見ようと、後ろをふり向こうとしたが…
 できなかった…

 ガッチリホールドされていて、身動きが取れない。

 でも、まぁいいか。っと思った。
 顔なんて見なくても、私自身のことを案じていると分かる。
 全身をギュッと抱きしめていて絶対離さないというように、
 私が本当あの子になろうとしていた時に、それが普通なのだと、
 なすべきことなのだと、それこそがあなたの役目だと思われてしかいなかったのに…
 声には出されなかった。

 それでもやっぱりわかるよ、わかるんだよ…
 あなたの、…あなたたちが必要だったのはあの子だけだったのだと目で言っているから、
 
 でも、

  この温もりだけは私を止めてくれた。

 いつもなら、そんなことされても信じられないはずだけど…


 異世界に来て箍が外れているのか、
 この人がなぜか絶対的な安心感があるからなのか、


 この人は何があったとしても、私を裏切ったりしない。私自身を見てくれるのだと…そう、思ったんだ、

 前に裏切られた時に、もう本当には人を信じないと決めたはずなのにね…

 笑ってさえいれば、なんとかなるのだからと、

 それでも、なぜかこの人の前では笑えなかった。

 そんなことしても悟られてしまう気がして、


 涙が、ツーと流れて、落ちた…


   偽らなくていいのだと、この人の前ではありのままの自分でいいのだと…


 やっと、自分の場所を見つけた気がする。

 あぁ、今日は泣いてばかりだなぁ…

 ふっ、

 笑みがこぼれる。




 泣き笑いのはずなのに、久しぶりの心からの笑顔だった…


 相手が離れないようにと、私はまわっている手をギュッと上から握った。

 後ろから驚いた気配がしたけど、嫌がっている雰囲気ではなかったから安心した。

 この人だけは絶対にはなさない、…



 そう決意していたら、だんだんと眠くなってきた。

 それに気づいかれたのか後ろからトントン、と優しく叩かれる。

 余計に眠くなって、意識が遠ざかる。

 「おやすみなさい。」

 そう、

 またあの声が聞こえた。

 その声とともに、私は夢の中に落ちた。
 優しい温もりに包まれながら、

 起きたときに、まだ幸福の世界に居ることを願って


               ………
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