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番外編②
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男が降りた駅の次の停車駅で、璃空は飛び降りた。運よく、ホーム内のトイレをすぐに見つけて手洗い場に向かい──吐いた。
「……はあ……はあ」
一通り吐いた璃空は、口をゆすぎ、もはや何で泣いているのか分からない涙でぐちゃぐちゃになった顔を洗った。
リュックからハンドタオルを取り出し、顔を拭き、正面にある鏡に映る自分を見た。
「……酷い顔」
思わず、口だけで笑ってしまった。頬はひきつったまま。
少し具合が良くなったので、ホームに戻り、椅子に座った。一息つくと同時に、リュックの中にあるスマホのバイブ音が聞こえた。
もしかして、と思いながらスマホを取り出す。そして、通話ボタンを押した。
『兄ちゃん!』
相手は、弟の璃緒だった。
「……璃緒。どうした?」
『どうしたのじゃないよ。兄ちゃんが遅いから電話したの!』
璃空はホームにある時計を見上げた。
「遅いって……着くのは昼過ぎって言っておいただろ? まだ十一時にもなってないよ」
『こういう時は、早めに着くのが礼儀なの!』
そっか。
璃空は少しだけ笑った。
「それは知らなかったよ。ごめんな。でもあと少しかかるかも」
『お土産あるなら、許してあげる』
「あるよ、ちゃんと」
いつもと変わらない弟とのやり取りを終え、少し元気を取り戻した璃空は「行くか」と立ち上がった。
電車が停車する。ドアが開く。降りてくる乗客を待ち、さて乗ろうかと足を動かした。いや、動かそうとした。
──え?
身体が強張る。足が動いてくれない。
何で。
電車の中に、先程の男はいない。
みな璃空に無関心に、スマホを見たり誰かと話しをしているだけなのに。
恐怖が身体中を走る。
強張った身体が、徐々に震えていく。
(電車に乗るのが、怖い……?)
そんな。
あんなことぐらいで。
背中に冷たい汗が流れていく。
(……どう、しよう。電車、乗れない)
璃空の目の前で、ドアが閉まる。電車が走り出す。それを見送ることしかできなかった。
「……優斗」
すがるように、ぽつりと呟く。
駄目だ。こんなことで。優斗は優しいからすぐ来てくれる。だからこそ、迷惑をかけたくない。
──でも。
(……声。優斗の声、聞くだけなら)
通話履歴から優斗の番号を選び、通話ボタンを押した。
(……一回かけて出なかったら、もうかけない)
スマホを持つ手が、震えた。
「……はあ……はあ」
一通り吐いた璃空は、口をゆすぎ、もはや何で泣いているのか分からない涙でぐちゃぐちゃになった顔を洗った。
リュックからハンドタオルを取り出し、顔を拭き、正面にある鏡に映る自分を見た。
「……酷い顔」
思わず、口だけで笑ってしまった。頬はひきつったまま。
少し具合が良くなったので、ホームに戻り、椅子に座った。一息つくと同時に、リュックの中にあるスマホのバイブ音が聞こえた。
もしかして、と思いながらスマホを取り出す。そして、通話ボタンを押した。
『兄ちゃん!』
相手は、弟の璃緒だった。
「……璃緒。どうした?」
『どうしたのじゃないよ。兄ちゃんが遅いから電話したの!』
璃空はホームにある時計を見上げた。
「遅いって……着くのは昼過ぎって言っておいただろ? まだ十一時にもなってないよ」
『こういう時は、早めに着くのが礼儀なの!』
そっか。
璃空は少しだけ笑った。
「それは知らなかったよ。ごめんな。でもあと少しかかるかも」
『お土産あるなら、許してあげる』
「あるよ、ちゃんと」
いつもと変わらない弟とのやり取りを終え、少し元気を取り戻した璃空は「行くか」と立ち上がった。
電車が停車する。ドアが開く。降りてくる乗客を待ち、さて乗ろうかと足を動かした。いや、動かそうとした。
──え?
身体が強張る。足が動いてくれない。
何で。
電車の中に、先程の男はいない。
みな璃空に無関心に、スマホを見たり誰かと話しをしているだけなのに。
恐怖が身体中を走る。
強張った身体が、徐々に震えていく。
(電車に乗るのが、怖い……?)
そんな。
あんなことぐらいで。
背中に冷たい汗が流れていく。
(……どう、しよう。電車、乗れない)
璃空の目の前で、ドアが閉まる。電車が走り出す。それを見送ることしかできなかった。
「……優斗」
すがるように、ぽつりと呟く。
駄目だ。こんなことで。優斗は優しいからすぐ来てくれる。だからこそ、迷惑をかけたくない。
──でも。
(……声。優斗の声、聞くだけなら)
通話履歴から優斗の番号を選び、通話ボタンを押した。
(……一回かけて出なかったら、もうかけない)
スマホを持つ手が、震えた。
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