最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ

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お誕生日デート ──2──

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「ふああ~、おっそいなぁ。 いつまでかかってんだ、リーリンのやつ」

 母さんもそうだったが、どうして女ってのはこう身支度に時間がかかるんだ。
 そろそろ一時間経つぞ。
 いい加減来てくれないと昼飯が遅く──ガチャ。

「ご……ごめんね、リュートくん! 待った?」

「ああ、いやそんな待ってないよ。 新魔法を開発して暇潰してたか……ら……」

 リーリンを目にした瞬間、俺はその変身ぶりに視線を釘付けにされてしまった。
 普段の彼女は身体のラインが見えないやや余裕のあるシャツと、ロングスカートを愛用している。
 言い方が悪くなるが、少々野暮ったい格好だ。
 だが今日のリーリンは一味違う。
 推定Dカップはあるであろう胸に圧迫されパツパツになったシャツに、薄手の上着。
 スカートもロングスカートではなく、ミニスカートになっていて、いつもは太ももが見えない服装のせいか妙に扇情的だ。
 端的に言うと、エロ可愛い。

「変……かな?」

「へ……? い、いや! 全然変じゃないぞ! むしろその……似合ってる、と思う」

「……! そ、そっか。 それなら良かった……えへへ」

 なにこれ、甘酸っぱい!
 これがかの有名な青春ってやつなのか?
 ……青春最高!

「えっと……そろそろ、行く?」

「お、おう! だな! いつまでもここに居ても仕方ないし、そろそろ出発……!」

 ぐぅぅぅぅ。

「「…………」」

 まさかこんな最悪なスタートを切る事になるとは。
 なんでいざ行こうとするや否や腹が鳴るんだ。
 空気を読んでくれよ、俺の腸内環境。
 恥ずかしいにも程があるぞ。

「ふ……ふふ、ふふふふ! 大きなお腹の音が鳴っちゃったね」

「ご、ごめん。 なんか腹減っちゃって」

「ふふ……ううん、もうお昼だもんね。 しょうがないよ。 そんな腹ペコなリュートくんにはコレを食べさせてあげましょー」

 リーリンがズイッと手前に出したのは、アニメとかでよく見るピクニック用のバスケット。
 そのバスケットの中から、凄く良い香りが漂ってきた。 
 この香り、もしかして……。 

「鳥の照り焼き?」

「うーん、半分正解半分外れかな? 答えは、じゃじゃーん。 鳥の照り焼きを挟んだサンドウィッチでーす」

 おお、旨そう。
 というか絶対旨いだろ、これ。
 おっと、ヨダレが。

「タマゴ焼きサンドやフルーツサンド、他にもリュートくんの好きなソーセージドックもあるよ」

「マジで? あー、それ聞いたら余計腹減ってきた。 ここら辺で飯を食うのに丁度良い場所って、どっかあったっけ」

「あっ、それならうってつけの場所があるよ。 ついてきて」

 そうしてリーリンに案内される事、十数分。
 都内屈指の大きさを誇る自然公園に辿り着いた。

「へえ、噴水広場の近くにこんな公園があったのか。 全然知らなかった」

「うん、この間リルちゃんのお散歩してた時にたまたま見つけて」

 フェンリルを散歩って……。
 素直にリードに繋がれるリルもリルだが、フェンリルをリードに繋ぐリーリンもリーリンだな。
 実はアリンより度胸据わってるんじゃないか、こいつ。

「はい、どうぞ。 シートひいたよ」

 気付くと足元には女の子趣味全開な、花柄のシートが広げられていた。
 これに座るのはいささか恥ずかしい。
 が、リーリンがここまでお膳立てしてくれたのだ。
 代えてくれだなんて言えるわけがない。

「お、お邪魔します……」

「うん、どうぞどうぞ。 今紅茶淹れるね」

 リーリンはそう言うと、バスケットから水筒とコップを二つ取り出して、黄色の液体を注いでいく。
 この香り、レモンティーか。

「お待たせ、リュートくん。 サンドウィッチもどうぞー」

「ああ、ありがと。 いただきまーす。 ……あむ」

 おお、これはなかなか。
 鶏肉の弾力と絡み付いた濃い目のソースがパンに染み込んで、なんとも味わい深い仕上がりになっている。
 こんな旨いサンドウィッチは今まで食べた事がない。

「どう? 美味しい?」

「んぐ……勿論言うまでもなく、さいっこう! これなら何個でも入るね!」

「えへへ、良かったぁ。 早起きして仕込んだ甲斐があったよ」

 俺の幼なじみ、可愛すぎない?
 こんな良い子を嫁に貰うのか、サイラスのやつ。
 なんかムカつく。

「リュートくん、どうかしたの? やっぱりあんまり美味しくないんじゃ……」

「ん? あー、ごめん。 ただちょっと妬ましく思っただけなんだ。 こんな出来た女の子を嫁に貰うサイラスの事が、さ」

「……え?」

「……え?」

 キョトンと首を傾げるリーリンの反応に釣られて、俺も同じく首を傾げる。
 直後、リーリンが顔を真っ赤にしてこんな事を言ってきた。

「ど、どどど、どうして私がサイラスくんと結婚する事になってるの!? 誰? 誰が言ったの? もしかしてお姉ちゃん!?」

「は? いや、だって昔リーリン言ってただろ? サイラスと将来結婚したいって。 だから俺はてっきり……」

「あ、あれは単に……くんの気を引きたくて言っただけで、本当に好きだった訳じゃ……! というか、サイラスくんとなんて絶対に嫌! むしろこっちから願い下げだよ!」

 それは流石にサイラスが可哀想過ぎない?
 ちょっとガサツなだけで良いやつだよ?

「だって私が好きなのは昔から!」

「リーリン……?」

 と、身を乗り出してきたリーリンに圧倒されていた最中。
 そこへ思いもよらぬ連中が現れた。

「お……? なあホークエル、見てみろよ。 あれ、リュートじゃね?」

「んー? ……あっ、ほんとだ! おーい、ヴェルちーん! やっほー!」

 なんであいつらがここに?
 もしかしてみんなで遊んでたのか?
 俺、誘われてないよ?

「よう、リュート。 こんな所で奇遇だな。 お前もたまたま寄ったタチか?」

「たまたま……? もしかしてみんなも?」

 尋ねると、皆口々に事情を語り始めた。

「まあな。 俺は日課のランニングで……」

「僕とホルトは商業区に遊びに行く途中。 ここは近道だからね、たまに使うんだ。 ナギサちゃんは確か、先週辺りにあった時計塔破壊事件を調べてる最中なんだよね?」

 げっ。
 それってあの時の事だよな。
 ルベール先輩と戦った……。

「あれヤバかったよなー。 爆睡してたけど、あれのせいで起きちまったよ。 結局犯人は捕まってないんだっけ?」

「そうそう! だからこの天才記者、ナギサ=ホークエルちゃんが事件の真相を解き明かそうとしてるってわけ! 護衛のフィオフィオと一緒にね!」

「ふぅ……」

 めちゃくちゃ疲れた顔してる。
 きっとナギサに巻き込まれたのだろうが、引き受けた以上今さら反故に出来ないってところか。
 不憫な。

「ほーん、なるほどね。 じゃあホントにたまたまここで鉢合わせただけだったのか。 よかった、俺はてっきり……」

 もし仮にそうだった場合、立ち直れなくなるところだ。
 
「……?」

「そんな事よりもさー、いい加減そっちの綺麗なお姉さん紹介してくれよ! だれだれ? リュートの彼女?」
 
「か、かのっ!?」

 そういえば皆には、紹介してなかったっけ。
 なんだかんだ皆とは2ヶ月の付き合いになるから、既にもう顔合わせは済ませていたものとばかり思ってた。

「わ、わわわ、私とリュートくんは別にそういう関係じゃ……!」

「お前、よくそんな恐ろしいこと平気で言えるな。 もしメリルに聞かれてみろ、大惨事間違いなしだぞ」

 主に俺以外が。

「む……」

「いって! え、なに? なんでつねんの? 痛いんですけど」

「ふーんだ、リュートくんのバーカ」

 何故に?

「今のはリュートが悪いな」

「うんうん」

「ヴェルちんさいてー、女の敵ー」

「同情します」

 なんなんだよ。
 
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感想 2

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みんなの感想(2件)

エオーニス
2024.05.15 エオーニス

 こんばんは、面白いです。わがまま侯爵坊ちゃんがどんな目に会うか。楽しみです。
 気温差が大きいですが、体調に気を付けて下さい。

2024.05.15 ユースケ

読んでいただきありがとうございます!
暫くの間はマークの愚かさ加減を楽しんでくださいw
エオーニス様も体調にお気を付けて~

解除
2024.04.25 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2024.04.25 ユースケ

ありがとうございます(●´ω`●)
心よりお待ちしております~

解除

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