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四年計画
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「ではこれより、かねてから計画していた四年計画のお話を進めていきたいと思います。 まずはこちらの資料に目を通してください。 今回の議題の大まかな流れが記載してあります」
IT企業の企画会議かな。
「今回話し合うのはこの三点。 低ランク冒険者と新米騎士の育成に、帝国軍の監視又は対処方法。 そして、リュート様の世話係兼護衛騎士を誰にするか、についてです。 ……えと、何か意見がありましたら今のうちにお願いしますぅ」
「いや、自分は問題ない。 話を詰めるとしたら、まあこんな所だろうな。 ルーク殿はどうだ?」
「ええ、僕も特にこれと言っては。 進めてください、シンシアさん」
促されたシンシアは一瞬ホッとした後、また顔つきをキリッとさせた。
「では、本題にはいりますねぇ。 ……こほん。 皆様知っての通り、今より四年後の春。 リュート様は王都の学園に通う事になります。 あの、王立レオール学園に。 レオール学園は王族ですら例外ではない、完全な寮制度の学園。 ですので一度入学したら最後、リュート様は……」
「三年間は帰ってこられなくなるか。 つまるところこの地は、三年間リュート様の庇護を受けられなくなる、という事ですね? これはなんとも悩ましい」
庇護とはまた大袈裟な。
むしろ俺のせいでこんな……。
「今この地はリュート様あってのもの。 その庇護が届かなくなれば……」
「近い将来、間違いなく滅ぶだろうな。 魔物や帝国の手によって」
「はいぃ。 だからこそ、今のうちから戦力を整えなければならないのですぅ。 いつまでもおんぶにだっこをされてる訳にはいかないですからぁ」
「シンシア殿の意見は一理ある。 ……とはいえ、そう簡単な話ではない。 リル殿いわく、リュート殿がこの地から去ったとて暫くは彼の魔力が残滓として残るらしい。 いずれは魔力の残り香も収まり、魔物の数は激減するだろうが……今の状況ではそれまで持たんだろう」
「なるほど……その為の育成計画、ですか。 確かに四年もあればある程度は使い物になるでしょうね」
「ええ、ですから……」
そう言って、シンシアは更に四枚の用紙をテーブルに置く。
小さくてよく見えないが、どうやら似顔絵のようだ。
「お二方には双方の組織で戦力の底上げをしつつ、こちらの四名を鍛え上げて欲しいのです」
「この者らは確か……」
「はい、リュート様のご友人……アリン様以下三名です」
……!
な、なんだって?
何を言い出すんだ、シンシアは。
あいつらはただの村人だ。
戦いなんか出来るはずが……!
「良いのか? 彼女らはリュート殿のご友人なのだろう? それを勝手に……」
「勝手ではありません。 これは全て、彼らたっての希望ですから」
「なに?」
「そこからは僕が説明しましょう」
ルークはそう言うと、似顔絵をサイラスとポックル。
アリンとリーリンに分けた。
「彼らからは以前より相談されていましてね。 いずれ領主となるリュート様を近くで支えたい、と」
あいつら、いつの間にそんな……。
なんだよ、水くさいじゃないか。
「……そうか。 本人達の意思、か。 なら、わたしから文句を言う筋合いはないな。 承知した。 で、少年二人の似顔絵をこちらに寄越したという事は、そういう意味ととっても構わないのだな?」
「ええ、構いません。 サイラスくんとポックルくんはセニアさんが育ててください。 僕はアリンくんとリーリンくんを、リュート様専属の傍付きに仕立て上げます。 よろしいですか?」
「うむ、問題ない。 承った」
この間まで子供だと思っていたあの四人が、まさか俺のためにそこまで考えてくれていただなんて、思っても見なかった。
正直ちょっと……いや、かなり嬉しい。
「これで残るは一つ、帝国に関する要項だけだが……これが一番厄介かもしれん。 なにしろ相手は魔物でも賊でもなく、国。 対処方法を間違えればそれこそ戦争の引き金になりかねんからな」
「はい、そこで先日、リュート様よりこのようなお言葉をいただきました。 近々帝国が我が領内に侵入し、戦争の火種を撒くだろう。 俺はそれを時期当主として看過するわけにはいかない、と」
なんか、俺のセリフ改竄されてない?
言ったのは、うちの領地に来ないで欲しいなあ、人を殺すのは流石に忍びないし、ぐらいのもので、そんな事言ってないんだけど。
「おお、流石はリュート様! 既にそこまでお考えになられているとは! 確かに昨今、帝国が怪しい動きをしていると聞きますからね。 アンドリュー様も懸念しておられるご様子ですし、帝国が行動を起こす前に我々でやれるべき事はやっておく必要はあるでしょう。 戦争を起こさせない為に」
「ですです! 今こそ我々がお役に立つ時! やってやりましょー! おー!」
「わおーん!」
俺が思っていたより状況は逼迫しているのだろうか。
なら俺も何かしらやるべき?
いやでもよく事情知らないし、邪魔になるといけないから程よく情報収集でもして時を待った方が良いのかな。
うん、そうしよう。
下手に動いて迷惑かけるのもあれだし、それまでゆっくりしてよっと。
IT企業の企画会議かな。
「今回話し合うのはこの三点。 低ランク冒険者と新米騎士の育成に、帝国軍の監視又は対処方法。 そして、リュート様の世話係兼護衛騎士を誰にするか、についてです。 ……えと、何か意見がありましたら今のうちにお願いしますぅ」
「いや、自分は問題ない。 話を詰めるとしたら、まあこんな所だろうな。 ルーク殿はどうだ?」
「ええ、僕も特にこれと言っては。 進めてください、シンシアさん」
促されたシンシアは一瞬ホッとした後、また顔つきをキリッとさせた。
「では、本題にはいりますねぇ。 ……こほん。 皆様知っての通り、今より四年後の春。 リュート様は王都の学園に通う事になります。 あの、王立レオール学園に。 レオール学園は王族ですら例外ではない、完全な寮制度の学園。 ですので一度入学したら最後、リュート様は……」
「三年間は帰ってこられなくなるか。 つまるところこの地は、三年間リュート様の庇護を受けられなくなる、という事ですね? これはなんとも悩ましい」
庇護とはまた大袈裟な。
むしろ俺のせいでこんな……。
「今この地はリュート様あってのもの。 その庇護が届かなくなれば……」
「近い将来、間違いなく滅ぶだろうな。 魔物や帝国の手によって」
「はいぃ。 だからこそ、今のうちから戦力を整えなければならないのですぅ。 いつまでもおんぶにだっこをされてる訳にはいかないですからぁ」
「シンシア殿の意見は一理ある。 ……とはいえ、そう簡単な話ではない。 リル殿いわく、リュート殿がこの地から去ったとて暫くは彼の魔力が残滓として残るらしい。 いずれは魔力の残り香も収まり、魔物の数は激減するだろうが……今の状況ではそれまで持たんだろう」
「なるほど……その為の育成計画、ですか。 確かに四年もあればある程度は使い物になるでしょうね」
「ええ、ですから……」
そう言って、シンシアは更に四枚の用紙をテーブルに置く。
小さくてよく見えないが、どうやら似顔絵のようだ。
「お二方には双方の組織で戦力の底上げをしつつ、こちらの四名を鍛え上げて欲しいのです」
「この者らは確か……」
「はい、リュート様のご友人……アリン様以下三名です」
……!
な、なんだって?
何を言い出すんだ、シンシアは。
あいつらはただの村人だ。
戦いなんか出来るはずが……!
「良いのか? 彼女らはリュート殿のご友人なのだろう? それを勝手に……」
「勝手ではありません。 これは全て、彼らたっての希望ですから」
「なに?」
「そこからは僕が説明しましょう」
ルークはそう言うと、似顔絵をサイラスとポックル。
アリンとリーリンに分けた。
「彼らからは以前より相談されていましてね。 いずれ領主となるリュート様を近くで支えたい、と」
あいつら、いつの間にそんな……。
なんだよ、水くさいじゃないか。
「……そうか。 本人達の意思、か。 なら、わたしから文句を言う筋合いはないな。 承知した。 で、少年二人の似顔絵をこちらに寄越したという事は、そういう意味ととっても構わないのだな?」
「ええ、構いません。 サイラスくんとポックルくんはセニアさんが育ててください。 僕はアリンくんとリーリンくんを、リュート様専属の傍付きに仕立て上げます。 よろしいですか?」
「うむ、問題ない。 承った」
この間まで子供だと思っていたあの四人が、まさか俺のためにそこまで考えてくれていただなんて、思っても見なかった。
正直ちょっと……いや、かなり嬉しい。
「これで残るは一つ、帝国に関する要項だけだが……これが一番厄介かもしれん。 なにしろ相手は魔物でも賊でもなく、国。 対処方法を間違えればそれこそ戦争の引き金になりかねんからな」
「はい、そこで先日、リュート様よりこのようなお言葉をいただきました。 近々帝国が我が領内に侵入し、戦争の火種を撒くだろう。 俺はそれを時期当主として看過するわけにはいかない、と」
なんか、俺のセリフ改竄されてない?
言ったのは、うちの領地に来ないで欲しいなあ、人を殺すのは流石に忍びないし、ぐらいのもので、そんな事言ってないんだけど。
「おお、流石はリュート様! 既にそこまでお考えになられているとは! 確かに昨今、帝国が怪しい動きをしていると聞きますからね。 アンドリュー様も懸念しておられるご様子ですし、帝国が行動を起こす前に我々でやれるべき事はやっておく必要はあるでしょう。 戦争を起こさせない為に」
「ですです! 今こそ我々がお役に立つ時! やってやりましょー! おー!」
「わおーん!」
俺が思っていたより状況は逼迫しているのだろうか。
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