片想いしてる子の気を向かせたかっただけ

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10話

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「チャリティマッチ?」
「そ。1ヶ月後にやるんだけど」
「へぇ」

俺がU19に選ばれたのは去年、当時のメンツとは仲良くてたまに集まったりしてる。
練習試合でも大きな試合でも会うけど、それとは別で。
そんな中、チャリティマッチをしようという話が出てきた。
メンツの1人が有名な企業の会長の息子で、そこが主催の海外組含めた試合とかなんとか。
漫画とかでありそう。
みんな時間をうまくとったりして参加することになって、久しぶりに集まってる。
楽しいことが起きそうでちょっとテンションあがってきた。
もちろん俺もモデルと舞台の仕事の兼ね合い見ながら決めた。
試合の日がいくつか候補あったから本当助かったわ。
チャリティマッチは参加したい。
でも仕事も大事。
開催は日本だし、試合会場も練習会場も俺が通える場所だから楽。
まぁ一部は地方にいるから、こっちきて合宿みたいな形になってるけど、それはそれで楽しそうだからよしだ。
今日も休日練習。
お互い知ってるやつだから連携もしやすいし、なにより楽しい。
「さて…いくつか問題があるな」
休憩中、ちょっとしたミーティングが始まった。
難しい顔してるから何かと思えば、できれば選手以外で応援がほしいとか。
「マネージャーが出来れば1人、それとは別にシステム運用と解析で2人は必要そうだな」
「今いる人だけじゃダメなん?」
「あぁ、そうだな」
「運用解析なら心当たりがある、こちらで話をしてみよう」
「ありがとう、原尾」
マネは確か今2人。林の部活マネージャーと、清水のとこの幼馴染の子。
いくらメンツが少なくても大変なのか。
「藤原の彼女は?」
「打診はしたんだけど、家業が忙しいみたいでね」
おおー、いいとこの坊ちゃんの彼女もいいとこ育ちかー。話には聞いてたけど、すごいな…家業って学生してるのに関係あるわけ?
「2人はよくやってくれてるし、今のところ問題はないが、休みも必要だからね。もう1人いると有り難い」
「…ふーん」
「なー、悠斗」
「ん?」
またにやにやしながら、こっち見てきてる桶上。
「優花ちゃんに頼めば?」
「はあ?!」
思わず大きな声出しちゃってみんながこちらを向く。
「どうした、瀬良」
「いや、なんでも、」
「はいはいはーい!悠斗んとこの吉田優花ちゃんがいいと思うー!」
「桶上!」
もちろんそこをスルーする連中じゃない。
彼女について詳しく聞かれる。
俺が話す間もなく、隣にいた桶上がべっらべら話してくる。
やめろよ、もう。
「ふむ、なら瀬良、1度打診してもらえるか?」
「えー!!やめといた方がいいって!」
「何故だ?真面目で良い人そうじゃないか」
普段お前が付き合わなさそうなタイプだなーと他からも言われる。
「べっつに!付き合ってねえし!」
「なんだよもー。瀬良がそんななら俺が連絡するわ」
「え?!」
すでに電話してるし…行動早すぎだろ。
「もしもーし、優花ちゃん?」
急なんだけどさーって言ってあっさり話の誘いをしている。
試合は見に来てほしくて、ラインでそういう話をした。
時間あけとくって言われてちょっとうれしくなってたけどさ。
てか、ちょっと待てよ?
原尾と再会だし、ここには割かし真面目なイケメン多いんだった…いやもちろん俺のがイケメンだけど。
ゴリッゴリのスポーツマンみたいな典型例のもいるけど…真面目で物腰柔らかいスポーツマン…会わせたくないのが何人か…あぁやだな…。 
そもそも、彼女がこいうことをOKするタイプかってそうでもない。
図書委員みたく静かなとこで黙々仕事してる感じがあるし、彼女自身華やかな場所は苦手なはずだ。
俺みたいな軽い人が~とか言った時点でそういうことだ。
「いいってさー!」
「え?!」
うそだろ、しかも今日来るとか?
「なんで?!」
「知らねーよ。ほら、瀬良迎えに行って」
「俺?!」
「そうだな、瀬良。頼む」
しぶしぶ連絡する。会わせたくないのに。
ひとまず今日は顔合わせ程度みたいだけど…確かにマネ2人もちょうどよくきてるし。
でもやっぱやだな…。
端末でやりとりしてると、今は駅だのなんだの連絡が来る。
結構マメにくるな…今までこんな頻繁で長いやりとりしてなかったから新鮮だ。
なんだかデートの待ち合わせみたいで…って、なに考えてるんだよ、俺。今はそうじゃないだろ。
「瀬良」
「お、おう…」
「…どうしたの?」
そうだ、私服だ。当たり前だけど。
さっきまでデートが云々考えてたとこに、私服だと結構どっきりだと思う。
あれ、俺なに考えてんだ、おかしくなってないか?
「いや、それよりも…本当に大丈夫なのか?」
「あぁ、手伝いのこと?できる限りでやるわ」
「あいつ、急に誘ってきたし、その…」
「?……そりゃ、びっくりしたけど、ちゃんと考えて返事したわよ」
「そ、か…」
ゆるがない。
意思強そうとは思ってたけど…彼女自身が真面目なのもあるのか、これはもう決定してる。
「じゃ、こっち」
「うん」
普段の練習場はここだって案内して、みんなのとこへ連れてく。
簡単に挨拶して、後はマネ間で話があるとかで別室へ。
…なんだろう、これってチャンス、なんだよな?
俺なんでこんなに心配やら緊張やらしてんの?おかしくね?
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