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40話 パリピからパーティのお誘い
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「アガるわー! 今日オールでパーティーしようぜ!」
「え?」
「すまない、イリニ」
「エフィ?」
「父上と母上は事故で一時異世界に行ったことがある。僅かな時間だったが、そこで世話になったのがぱりぴという人種らしくてな」
話し方が少し変なんだ。とエフィ。
「パリピなの……」
えぐいだの天アゲだのやたらテンション高い現代用語が飛び交う王と王妃を見て少し引いた。聖はオタクなのでパリピと真逆だよ。
でも今の言葉を使ってる時点で時代が同じだ。
よりにもよって、同じ時代同じ国日本のパリピとオタクが巡り合うとかなんなの。
「俺には未だ父上と母上の言う事が分からない時がある」
「ははは、だよねー」
ギャル語はネットスラングからきてるものも多いから、オタクの聖の知識からでも十分両陛下の仰ることは分かるけど、ノリがやっぱり無理ねー。
「エフィ、このままだと徹夜でパーティされるみたいなんだけど?」
「なん、」
「今日だけでいいから! いっちゃんとパーティしたい!」
「その呼び方をどこで……」
いっちゃんは湖の麓の村と王都の一部技術屋さんたちにしか使われない私の呼び名。
ウェイウェイしてた王陛下の目がすっと細められ、冷淡な色合いが滲み出て背筋に緊張が走った。
「何も調べないまま謁見許すわけないでしょ?」
「それは、」
つまり、私が関わっている全ての人間を洗ったのか。パリピだけど、一国の王としては冷静に物事を判断してる。
というか落差。落差ありすぎて怖いよ。
「イリニ、断っても大丈夫だ」
「エフィ」
「いいじゃん」
「父上、いくら異世界の話が出来るからといって、砕けすぎでは」
「んー、てかこれだけお膳立てしたのに何も進んでない? ワンチャンあるんじゃなかったの?」
「父上!」
こんな感じで聖女を囲えと言われていたの? それをエフィは真面目に捉えてやってきたの?
そしたらすごすぎだよ、エフィの真面目さが。
「確かに手段問わず的な事言ったけどーそれなしってなったし? しゅきぴだって言」
「父上!」
「もー、ガンダしてったからなんだってずっと考えてたら、これなわけ?」
「もう! それ以上は!」
親子の会話が不可思議になってる。
ギャル語の語彙力がすごすぎるよ、王陛下ってば。
「あ、陛下」
「ん?」
「エフィと私との結婚は強制されないんですか?」
ブフっとエフィが吹いた。
王陛下はなぜかパチパチと目を瞬かせて、次にエフィを見て肩に手を置く。
「ぴえんヶ丘どすこい之助」
「話し方を戻して下さい!」
「エフィ、意味分かってるの?」
どうやらエフィは察しているだけらしい。
陛下は何がそんなに悲しいのかな? そんなきっついこときいてないのにな?
「まー最近知ったけどさ? 最初からしゅきぴだって言っ」
「父上!」
「えー?」
んー、親子の会話はさておき、私のことはきちんと話しておいた方がいいかな?
「私、いずれ聖女ではなくなります。だからシコフォーナクセー国の王族との結婚は後々利にならないと考えていて」
「いやいーからー!」
「ええ……住民票移動と納税だけ済めばよろしいんで?」
「おけまる」
「分かりました……オールは出来かねますが、お酒は少量であれば飲んでも構いません」
「イリニ?!」
両陛下が両手を上げて喜んでいる。
エフィはいいのかと慌てていた。
「話を聞くだけよ。エフィも同席してくれるでしょ?」
「それは、もちろん、なんだが」
嫌そうにパリピってる両陛下を見て小さく溜息を吐いた。
「ぱりぴのままの両親とはあまり酒を飲みたくない」
「私もパリピは苦手だけど仕様がないよ」
アステリに連絡するか、と囁くと、どこからかアステリの声がした。
きょろきょろする私に、エフィがこれだと自身の手首に巻いた組紐みたいなものを指さした。
「紐?」
「全部きいってからなー」
「へえ便利」
「ま、保険ってやつだな」
もちろんいい雰囲気になったら通信切断すっからと笑う。
それにエフィがアステリに怒ってたけど、そういうのが当たり前に出来てるって二人とも相当な魔法の使い手になる。すごいな主席。
「いっちゃん、用意できてたら呼ぶから」
「はい、陛下」
「かたっくるしいのなし」
「善処します」
そしてあっさりと謁見が終了した。
大きな扉をくぐれば、とっくに王と私の会話が非常によいもので終わったことが知れていて、周囲の雰囲気は格段に変化した。
けど、奇異の目は変わらない。パリピがあまりにも濃ゆくて忘れてたわ。
「場所を変えよう」
「うん」
というか、急なお泊りになるわけか。
大丈夫なのだろうかとエフィに問えば、問題ないと即答だった。
「俺とカロが見張りもする」
「それはいいよ」
「駄目だ。この城の人間は俺とカロ以外は信用できないと思って」
やっぱりオールだな、と思った。
同じ徹夜でもエフィに見張りをお願いするぐらいなら、一緒にお酒飲んで徹夜する方が気兼ねない。
「そうだ、エフィ」
「どうした?」
「ここに一泊できるなら、明日寄りたいとこがあるんだけど」
「構わない」
時間をとってくれると約束してくれた。
どこだという問いに、王都の技術屋さんたちのことを伝える。
正直、あのパリピの皮を被った王陛下に納得のいく嘆願書を提出した技術屋さんと村の皆には感謝しても足りない。きちんと顔を合わせたかった。
「ちょうどいい。俺も会いたいと思っていた。一緒に行く」
「うん、よろしく」
「え?」
「すまない、イリニ」
「エフィ?」
「父上と母上は事故で一時異世界に行ったことがある。僅かな時間だったが、そこで世話になったのがぱりぴという人種らしくてな」
話し方が少し変なんだ。とエフィ。
「パリピなの……」
えぐいだの天アゲだのやたらテンション高い現代用語が飛び交う王と王妃を見て少し引いた。聖はオタクなのでパリピと真逆だよ。
でも今の言葉を使ってる時点で時代が同じだ。
よりにもよって、同じ時代同じ国日本のパリピとオタクが巡り合うとかなんなの。
「俺には未だ父上と母上の言う事が分からない時がある」
「ははは、だよねー」
ギャル語はネットスラングからきてるものも多いから、オタクの聖の知識からでも十分両陛下の仰ることは分かるけど、ノリがやっぱり無理ねー。
「エフィ、このままだと徹夜でパーティされるみたいなんだけど?」
「なん、」
「今日だけでいいから! いっちゃんとパーティしたい!」
「その呼び方をどこで……」
いっちゃんは湖の麓の村と王都の一部技術屋さんたちにしか使われない私の呼び名。
ウェイウェイしてた王陛下の目がすっと細められ、冷淡な色合いが滲み出て背筋に緊張が走った。
「何も調べないまま謁見許すわけないでしょ?」
「それは、」
つまり、私が関わっている全ての人間を洗ったのか。パリピだけど、一国の王としては冷静に物事を判断してる。
というか落差。落差ありすぎて怖いよ。
「イリニ、断っても大丈夫だ」
「エフィ」
「いいじゃん」
「父上、いくら異世界の話が出来るからといって、砕けすぎでは」
「んー、てかこれだけお膳立てしたのに何も進んでない? ワンチャンあるんじゃなかったの?」
「父上!」
こんな感じで聖女を囲えと言われていたの? それをエフィは真面目に捉えてやってきたの?
そしたらすごすぎだよ、エフィの真面目さが。
「確かに手段問わず的な事言ったけどーそれなしってなったし? しゅきぴだって言」
「父上!」
「もー、ガンダしてったからなんだってずっと考えてたら、これなわけ?」
「もう! それ以上は!」
親子の会話が不可思議になってる。
ギャル語の語彙力がすごすぎるよ、王陛下ってば。
「あ、陛下」
「ん?」
「エフィと私との結婚は強制されないんですか?」
ブフっとエフィが吹いた。
王陛下はなぜかパチパチと目を瞬かせて、次にエフィを見て肩に手を置く。
「ぴえんヶ丘どすこい之助」
「話し方を戻して下さい!」
「エフィ、意味分かってるの?」
どうやらエフィは察しているだけらしい。
陛下は何がそんなに悲しいのかな? そんなきっついこときいてないのにな?
「まー最近知ったけどさ? 最初からしゅきぴだって言っ」
「父上!」
「えー?」
んー、親子の会話はさておき、私のことはきちんと話しておいた方がいいかな?
「私、いずれ聖女ではなくなります。だからシコフォーナクセー国の王族との結婚は後々利にならないと考えていて」
「いやいーからー!」
「ええ……住民票移動と納税だけ済めばよろしいんで?」
「おけまる」
「分かりました……オールは出来かねますが、お酒は少量であれば飲んでも構いません」
「イリニ?!」
両陛下が両手を上げて喜んでいる。
エフィはいいのかと慌てていた。
「話を聞くだけよ。エフィも同席してくれるでしょ?」
「それは、もちろん、なんだが」
嫌そうにパリピってる両陛下を見て小さく溜息を吐いた。
「ぱりぴのままの両親とはあまり酒を飲みたくない」
「私もパリピは苦手だけど仕様がないよ」
アステリに連絡するか、と囁くと、どこからかアステリの声がした。
きょろきょろする私に、エフィがこれだと自身の手首に巻いた組紐みたいなものを指さした。
「紐?」
「全部きいってからなー」
「へえ便利」
「ま、保険ってやつだな」
もちろんいい雰囲気になったら通信切断すっからと笑う。
それにエフィがアステリに怒ってたけど、そういうのが当たり前に出来てるって二人とも相当な魔法の使い手になる。すごいな主席。
「いっちゃん、用意できてたら呼ぶから」
「はい、陛下」
「かたっくるしいのなし」
「善処します」
そしてあっさりと謁見が終了した。
大きな扉をくぐれば、とっくに王と私の会話が非常によいもので終わったことが知れていて、周囲の雰囲気は格段に変化した。
けど、奇異の目は変わらない。パリピがあまりにも濃ゆくて忘れてたわ。
「場所を変えよう」
「うん」
というか、急なお泊りになるわけか。
大丈夫なのだろうかとエフィに問えば、問題ないと即答だった。
「俺とカロが見張りもする」
「それはいいよ」
「駄目だ。この城の人間は俺とカロ以外は信用できないと思って」
やっぱりオールだな、と思った。
同じ徹夜でもエフィに見張りをお願いするぐらいなら、一緒にお酒飲んで徹夜する方が気兼ねない。
「そうだ、エフィ」
「どうした?」
「ここに一泊できるなら、明日寄りたいとこがあるんだけど」
「構わない」
時間をとってくれると約束してくれた。
どこだという問いに、王都の技術屋さんたちのことを伝える。
正直、あのパリピの皮を被った王陛下に納得のいく嘆願書を提出した技術屋さんと村の皆には感謝しても足りない。きちんと顔を合わせたかった。
「ちょうどいい。俺も会いたいと思っていた。一緒に行く」
「うん、よろしく」
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