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1章 推しがデレを見せるまで。もしくは、推しが生きようと思えるまで。
2話 転移、入れかわり
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今日は久しぶりに早い時間に帰宅だ。
定時だとまだ街中や駅前は人で賑わっている。
部活だろうか遅め帰宅の学生や、保育園から子供を引き取って手をつないで帰る親子、2人揃って帰宅する夫婦や飲み会だと大きな声を上げながらお店に入っていく若者たち…様々だ。
混雑する駅前を抜け、少し人の減った車通りそこそこの道、横断歩道を待ってる中で子供の高い声が聞こえた。
「~~ちゃんの!」
可愛いですね~と生暖かく見守っていたら、その子は紙のようなハンカチのようなものを追いかけていた。
風で転がるハンカチのようなものは、歩道から車道に出ていく。
近くの横断歩道は赤だった。
転がるハンカチのようなものは、あの子の速さには追いつかなく、ひたすらそれを追いかけていた。
母親がだめだと叫んでいる…荷物が多くもたついて追いつけない…子供だけだ。
「え…」
左手から車がくる。
速いし、減速が遅い。
車道に出てしまった子供を見て間に合わないと思った。
「ちょっと待った」
荷物を投げ出して子供に走っていた。
両脇に手を入れ持ち上げ、走る勢いそのまま半回転して子供を投げた。
歩道にいる母親が無事抱きとめる。
よし、多少驚いてるだろうけど、怪我はないだろう。
てか、子供あんなに投げれる私、意外と力持ち…火事場のなんとかってやつか。
「こ、」
子供に見せないでと言おうと思った。
思っただけで間に合わかった。
こういうとき動きがゆっくりに見えるよと会社の同僚から聞いていたけど…本当だった。
あぁ、飛んでいるなと。
受け身をとらなきゃなと。
けど、身体は動かなかった。
片側に言葉に出来ない衝撃と、落ちきった時のブラックアウトと激しい痛みが一瞬。
「おや?」
私が真下にいる。
言葉にしてはいけないレベルで片側ぐしゃっているし、血の池もできている。
当たった車もひしゃげている…あの修理代えぐい金額でるなと考えてしまう私は社会人で財務経理してた社畜脳ならではというとこか。
歩道の子供は母親に抱きしめられて泣いている。
幸いこちらを見る素振りもなかったし、母親ががっちり抱きしめてるから、あの現場を子供が見ることはないだろう。
うんよかった、トラウマになってしまうから、なるたけ記憶に残さないほうがいいし。
「貴方、なのですか」
「ん?」
自分を俯瞰していると、目の前に同じように浮遊している綺麗な女性がいた。
金髪碧眼、簡素だけど値打ちものだとわかる服装、そしてこの美貌…お人形のようだ。
「どちら様で?」
「私は、オリアーナ・テゾーロ・ガラッシアと申します」
外人さん、日本語上手ですね。
「私はチアキです、チアキ・タカラガワ」
「……貴方なのですか」
「なにがです?」
ほぼ無表情な金髪碧眼の美女。
見た目年齢は私より下なのは確かだ。大人びているけど学生だろう。
そんな彼女はよくわからないことを言っている。
「もしかして、貴方も死んでる系で?」
「…貴方は自分が死んでる事を理解しているのですか?」
「真下のあれを見てるとね~そういう世界はあまり知らないんですけど、まあ客観的に見て死んでますよねー」
笑うと無表情の美女は眉根を少し寄せた。
わからないといったように。
「死んだ後でも笑っていられるものなのですか」
「いや、まあ心残りはないわけじゃないけど、最期は笑いたいよね。というかこれ見てると逆に冷静になって、それで笑える」
「そう、ですか…」
「ん?」
彼女は少し沈黙して、真下を見た。
ぐしゃぐしゃの死体を見る美女というのはなかなかシュールだ。
「私と入れかわって下さい」
「はい?」
「いいえ、入れかわりは強制なのでもうそうなってしまうのですが…ご了承頂ければと」
「んん?ごめんね、ちょっとよくわからないんだけど」
「貴方の手にしているそちら」
いつの間にか左手に白い光の紐みたいなものをもっていた。
遠くに続いていって先が見えない。
そして、彼女の左手にある紐は黒く、真下の私に繋がっている。
うん、ちょっと考えたら予想がついてしまった。
「いやいやいや、確かに私の見てきたあらゆる漫画やアニメ・ゲームの記憶の限り、このパターンは私の身体と魂が貴方と入れかわるっていうのがわかるよ?伊達にそれなりのオタクやってきてるわけだから分かるよ?いやでもちょっと待って」
「私の世界でどうぞ宜しくお願い申し上げます」
「勝手に完結しないで?!てか待った!」
この紐の繋がり方があからさまだからわかる。
察した、さすがに察した。
黒い紐よくないでしょう。
「貴方、私の身体入ったらどうなるの?生き返るの?」
「…死んだ身体に入れば、それに伴い私も亡くなるかと思います」
「貴方それでいいの?」
「……はい、その為にした事なので」
ネガティブ!
しかも自殺志願者!
けど、ここでどうぞ死んでくださいって出来るような性格を私はしていない。
あいてる手で彼女の手首掴んだ。
「何を、」
「死なせない!」
「しかし」
「私の前でみすみす死ぬ事はNGです!」
「えぬじい?」
「生きろってこと!」
その言葉がきっかけか、急に左手が紐に引っ張られる。
紐を握った手は放す事はできず、くっついてしまったかのよう。
対して美女の掴んでいた黒い紐は彼女の手から離れた。
よし、これなら一緒にいける。
彼女の自殺は防げるはずだ。
巻き起こる風と眩しい光。
そして強い力に引っ張られ、私は目を閉じざるを得なかった。
けど両手を手放すことはしなかった。
「ん?」
目を開ければ、見覚えのない天井。
周りをゆっくり見る。
私はどこか旅行にでていた?
とても広くて豪奢な部屋…見た目から判断するに女性用だ。
しかもベッドも広く天蓋付き。
いいね、そろそろ長期旅行で国外行きたかったんだ。
「あれ…」
つい、さっきまでを思い出す。
そうだ事故で死んで美女の自殺を防ごうとした。
光の紐の先にきたはずだ。
ベッドからおりて、近くのドレッサーで確かめる。
鏡にうつるのは美しい金髪碧眼の女性だ。
『起きましたか?』
鏡越しに私の斜め上、あの美女が浮いているのが見えた。
私を見下ろしている。
振り向けば鏡にうつった美女と同じ絵面の女性がいた。
「Oh…」
夢ではなかったようだ。
定時だとまだ街中や駅前は人で賑わっている。
部活だろうか遅め帰宅の学生や、保育園から子供を引き取って手をつないで帰る親子、2人揃って帰宅する夫婦や飲み会だと大きな声を上げながらお店に入っていく若者たち…様々だ。
混雑する駅前を抜け、少し人の減った車通りそこそこの道、横断歩道を待ってる中で子供の高い声が聞こえた。
「~~ちゃんの!」
可愛いですね~と生暖かく見守っていたら、その子は紙のようなハンカチのようなものを追いかけていた。
風で転がるハンカチのようなものは、歩道から車道に出ていく。
近くの横断歩道は赤だった。
転がるハンカチのようなものは、あの子の速さには追いつかなく、ひたすらそれを追いかけていた。
母親がだめだと叫んでいる…荷物が多くもたついて追いつけない…子供だけだ。
「え…」
左手から車がくる。
速いし、減速が遅い。
車道に出てしまった子供を見て間に合わないと思った。
「ちょっと待った」
荷物を投げ出して子供に走っていた。
両脇に手を入れ持ち上げ、走る勢いそのまま半回転して子供を投げた。
歩道にいる母親が無事抱きとめる。
よし、多少驚いてるだろうけど、怪我はないだろう。
てか、子供あんなに投げれる私、意外と力持ち…火事場のなんとかってやつか。
「こ、」
子供に見せないでと言おうと思った。
思っただけで間に合わかった。
こういうとき動きがゆっくりに見えるよと会社の同僚から聞いていたけど…本当だった。
あぁ、飛んでいるなと。
受け身をとらなきゃなと。
けど、身体は動かなかった。
片側に言葉に出来ない衝撃と、落ちきった時のブラックアウトと激しい痛みが一瞬。
「おや?」
私が真下にいる。
言葉にしてはいけないレベルで片側ぐしゃっているし、血の池もできている。
当たった車もひしゃげている…あの修理代えぐい金額でるなと考えてしまう私は社会人で財務経理してた社畜脳ならではというとこか。
歩道の子供は母親に抱きしめられて泣いている。
幸いこちらを見る素振りもなかったし、母親ががっちり抱きしめてるから、あの現場を子供が見ることはないだろう。
うんよかった、トラウマになってしまうから、なるたけ記憶に残さないほうがいいし。
「貴方、なのですか」
「ん?」
自分を俯瞰していると、目の前に同じように浮遊している綺麗な女性がいた。
金髪碧眼、簡素だけど値打ちものだとわかる服装、そしてこの美貌…お人形のようだ。
「どちら様で?」
「私は、オリアーナ・テゾーロ・ガラッシアと申します」
外人さん、日本語上手ですね。
「私はチアキです、チアキ・タカラガワ」
「……貴方なのですか」
「なにがです?」
ほぼ無表情な金髪碧眼の美女。
見た目年齢は私より下なのは確かだ。大人びているけど学生だろう。
そんな彼女はよくわからないことを言っている。
「もしかして、貴方も死んでる系で?」
「…貴方は自分が死んでる事を理解しているのですか?」
「真下のあれを見てるとね~そういう世界はあまり知らないんですけど、まあ客観的に見て死んでますよねー」
笑うと無表情の美女は眉根を少し寄せた。
わからないといったように。
「死んだ後でも笑っていられるものなのですか」
「いや、まあ心残りはないわけじゃないけど、最期は笑いたいよね。というかこれ見てると逆に冷静になって、それで笑える」
「そう、ですか…」
「ん?」
彼女は少し沈黙して、真下を見た。
ぐしゃぐしゃの死体を見る美女というのはなかなかシュールだ。
「私と入れかわって下さい」
「はい?」
「いいえ、入れかわりは強制なのでもうそうなってしまうのですが…ご了承頂ければと」
「んん?ごめんね、ちょっとよくわからないんだけど」
「貴方の手にしているそちら」
いつの間にか左手に白い光の紐みたいなものをもっていた。
遠くに続いていって先が見えない。
そして、彼女の左手にある紐は黒く、真下の私に繋がっている。
うん、ちょっと考えたら予想がついてしまった。
「いやいやいや、確かに私の見てきたあらゆる漫画やアニメ・ゲームの記憶の限り、このパターンは私の身体と魂が貴方と入れかわるっていうのがわかるよ?伊達にそれなりのオタクやってきてるわけだから分かるよ?いやでもちょっと待って」
「私の世界でどうぞ宜しくお願い申し上げます」
「勝手に完結しないで?!てか待った!」
この紐の繋がり方があからさまだからわかる。
察した、さすがに察した。
黒い紐よくないでしょう。
「貴方、私の身体入ったらどうなるの?生き返るの?」
「…死んだ身体に入れば、それに伴い私も亡くなるかと思います」
「貴方それでいいの?」
「……はい、その為にした事なので」
ネガティブ!
しかも自殺志願者!
けど、ここでどうぞ死んでくださいって出来るような性格を私はしていない。
あいてる手で彼女の手首掴んだ。
「何を、」
「死なせない!」
「しかし」
「私の前でみすみす死ぬ事はNGです!」
「えぬじい?」
「生きろってこと!」
その言葉がきっかけか、急に左手が紐に引っ張られる。
紐を握った手は放す事はできず、くっついてしまったかのよう。
対して美女の掴んでいた黒い紐は彼女の手から離れた。
よし、これなら一緒にいける。
彼女の自殺は防げるはずだ。
巻き起こる風と眩しい光。
そして強い力に引っ張られ、私は目を閉じざるを得なかった。
けど両手を手放すことはしなかった。
「ん?」
目を開ければ、見覚えのない天井。
周りをゆっくり見る。
私はどこか旅行にでていた?
とても広くて豪奢な部屋…見た目から判断するに女性用だ。
しかもベッドも広く天蓋付き。
いいね、そろそろ長期旅行で国外行きたかったんだ。
「あれ…」
つい、さっきまでを思い出す。
そうだ事故で死んで美女の自殺を防ごうとした。
光の紐の先にきたはずだ。
ベッドからおりて、近くのドレッサーで確かめる。
鏡にうつるのは美しい金髪碧眼の女性だ。
『起きましたか?』
鏡越しに私の斜め上、あの美女が浮いているのが見えた。
私を見下ろしている。
振り向けば鏡にうつった美女と同じ絵面の女性がいた。
「Oh…」
夢ではなかったようだ。
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