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1章 推しがデレを見せるまで。もしくは、推しが生きようと思えるまで。
56話 隣人とトレーナー問題
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「お嬢様」
「はい」
メイドのアンナさんだ。
アンナさんは遠慮がちに、発言することに許しを貰って言葉を選びながら発した。
「ここ数年はなかったのですが、隣地の男爵家の奥方様が」
「はあ」
「不要物をガラッシア家の領地に投棄しているようです」
オルネッラの事故の事を言及したいところに新しい問題が浮上した。
なんだ、オルネッラの事はまだ先だというの。
にしても隣人、あの挨拶してくれない隣人さんか…ここにきて謎すぎる。
「…父は知ってます?」
「先程ご報告申し上げました」
「わかりました…父と話します」
丁度ご飯の時間にもなるし、ささっと聞いてみた方が早い。
なにせお隣さんとは会釈で挨拶ぐらいしかしていないから、私の持つ情報ではそんなことをする人なのか判断するには限りがある。
「オリアーナは知ってた?」
「私が事業に関わるようになってからはそうなかったと…対処法を考えてる間に収束しました」
「それいつ頃?」
「7年くらい前かと」
アンナさんの話では大型家具を投棄してるとかではなく、日常のゴミを捨ててるとかそういった話だ。
広い領地内の事だから、窓から見たらゴミが投下されてました的なノリではないけど、いかんせんそういうことを常習でしていたことにも問題がある。
しかも一旦投棄行為が収束したのは7年前ときた。
叔父との問題があったいわくつきの年じゃないか。
「オリアーナ」
「お父様、話は聴きました」
父親もこの状況を芳しく思ってない事は確かだった。
しかし以前も男爵家の奥様は会話すらもしてくれなかったとか。
当主自らお出まししたのに対応しないってどれだけ会いたくないの。
それでも、男爵家の旦那さんがバリバリ現役で健康だった時は良好な関係だったらしい。
「そしたらお父様、私行ってみます」
「え?」
「名目はジャージを差し上げに行くという体で行くんです」
「そこから話をもっていくのか」
「ええ」
まずは接触機会を増やさないと始まらない。
だからとっかかりは嘘でもいいから作る。
ジャージ配布は今日常になっているし、お隣さんへお裾分けですって言って持っていくものしては、この世界では些かおかしい気もするが、そこはもう考えない。
接触することが第一だから。
「お父様は叔父様の件で忙しいでしょう?私にやらせてください」
「あ、ああ…すまないな」
その言葉が叔父の件に関してなのか、隣人の件についてなのかは分からないが。
結局、父親は叔父に対して恩赦を求めた。
自分は殺害される標的ではない、逆に良くしてもらっていると叔父を弁護する立場でいる。
まあそこは想定内だ。
オリアーナがそれでよしとしているので私も口は出さない。
一本背負いと2階から落としたことで、ひとまず私がやられたことに関しての罰は個人的に終了している。
過去に関してはオリアーナと父親がどうにかすることだ。
「ではそのように」
「ああ…そうだオリアーナ」
「はい」
ここにきて父が明るい調子で話しかけてくる。
何かと思えば、彼の今やはまりにはまっている運動についてだった。
「ここ最近メイド達の間でも浸透してきているのだが、いかんせん教える事が出来る者がいなくてな」
「ああ」
「私もオリアーナから学んだ事ぐらいなら教えられるが、それ以上求められると中々助言がしづらい」
「……そしたら、トレーナー育成でもします?」
「とれーなー?」
「運動を管理、計画して教えをする者の事です」
説明すれば、それはいいと父親が喜ぶ。
というか、メイドさんたちに流行りすぎてるってどういうことよ。
しかも父親にその話がくるということは、メイド長さんや執事長さんを経由して耳に入ったことになる。
メイド長さんや執事長さんに直接意見すると言う事は、この世界での身分の序列から考えるにそう出来た事ではない。
そこまで情熱があったのか、この家が風通しがいいからか。
「成程…まずはお2人からですかね」
「ああ」
ガラッシア家に関していえば、メイド長さんと執事長さんがトレーナーになれば、大方どうにかなる。
しかも始めたのが早いものだから、だいぶ極める方向に進んでいて、もはや最初に出会った頃とは比べ物にならない。
筋肉の付き方もさながら、背筋よくなってるし肌の色つやもいい。
運動は偉大である。
「あ、そしたら学園も…」
「相当量のじゃーじは配ったのだろう?」
「ええ」
「帰宅後の帳簿確認は日数を減らして構わない。皆にじょぎんぐやすとれっちを教授してあげなさい」
「…わかりました」
すっかり回復の道を進んでいる事に感心しつつも、学園内でのことを考えないといけない事に気付く。
うっかり私が学園でジャージ配りをしてしまったから、見様見真似でやろうとしてるご令嬢ご令息たちは、当然やり方についてご教授願いたいという流れになってくるはずだ。
サークルとか部活動とかそういった団体になるなら、やはりトレーナーは必要。
それに私はそこまで面倒見がいい方だとは自負していない。
奉仕力がある教え向きな子に頼むがいいだろう。
「…あ、閃いたわ」
「チアキ?」
早速明日声をかけてみよう。
「はい」
メイドのアンナさんだ。
アンナさんは遠慮がちに、発言することに許しを貰って言葉を選びながら発した。
「ここ数年はなかったのですが、隣地の男爵家の奥方様が」
「はあ」
「不要物をガラッシア家の領地に投棄しているようです」
オルネッラの事故の事を言及したいところに新しい問題が浮上した。
なんだ、オルネッラの事はまだ先だというの。
にしても隣人、あの挨拶してくれない隣人さんか…ここにきて謎すぎる。
「…父は知ってます?」
「先程ご報告申し上げました」
「わかりました…父と話します」
丁度ご飯の時間にもなるし、ささっと聞いてみた方が早い。
なにせお隣さんとは会釈で挨拶ぐらいしかしていないから、私の持つ情報ではそんなことをする人なのか判断するには限りがある。
「オリアーナは知ってた?」
「私が事業に関わるようになってからはそうなかったと…対処法を考えてる間に収束しました」
「それいつ頃?」
「7年くらい前かと」
アンナさんの話では大型家具を投棄してるとかではなく、日常のゴミを捨ててるとかそういった話だ。
広い領地内の事だから、窓から見たらゴミが投下されてました的なノリではないけど、いかんせんそういうことを常習でしていたことにも問題がある。
しかも一旦投棄行為が収束したのは7年前ときた。
叔父との問題があったいわくつきの年じゃないか。
「オリアーナ」
「お父様、話は聴きました」
父親もこの状況を芳しく思ってない事は確かだった。
しかし以前も男爵家の奥様は会話すらもしてくれなかったとか。
当主自らお出まししたのに対応しないってどれだけ会いたくないの。
それでも、男爵家の旦那さんがバリバリ現役で健康だった時は良好な関係だったらしい。
「そしたらお父様、私行ってみます」
「え?」
「名目はジャージを差し上げに行くという体で行くんです」
「そこから話をもっていくのか」
「ええ」
まずは接触機会を増やさないと始まらない。
だからとっかかりは嘘でもいいから作る。
ジャージ配布は今日常になっているし、お隣さんへお裾分けですって言って持っていくものしては、この世界では些かおかしい気もするが、そこはもう考えない。
接触することが第一だから。
「お父様は叔父様の件で忙しいでしょう?私にやらせてください」
「あ、ああ…すまないな」
その言葉が叔父の件に関してなのか、隣人の件についてなのかは分からないが。
結局、父親は叔父に対して恩赦を求めた。
自分は殺害される標的ではない、逆に良くしてもらっていると叔父を弁護する立場でいる。
まあそこは想定内だ。
オリアーナがそれでよしとしているので私も口は出さない。
一本背負いと2階から落としたことで、ひとまず私がやられたことに関しての罰は個人的に終了している。
過去に関してはオリアーナと父親がどうにかすることだ。
「ではそのように」
「ああ…そうだオリアーナ」
「はい」
ここにきて父が明るい調子で話しかけてくる。
何かと思えば、彼の今やはまりにはまっている運動についてだった。
「ここ最近メイド達の間でも浸透してきているのだが、いかんせん教える事が出来る者がいなくてな」
「ああ」
「私もオリアーナから学んだ事ぐらいなら教えられるが、それ以上求められると中々助言がしづらい」
「……そしたら、トレーナー育成でもします?」
「とれーなー?」
「運動を管理、計画して教えをする者の事です」
説明すれば、それはいいと父親が喜ぶ。
というか、メイドさんたちに流行りすぎてるってどういうことよ。
しかも父親にその話がくるということは、メイド長さんや執事長さんを経由して耳に入ったことになる。
メイド長さんや執事長さんに直接意見すると言う事は、この世界での身分の序列から考えるにそう出来た事ではない。
そこまで情熱があったのか、この家が風通しがいいからか。
「成程…まずはお2人からですかね」
「ああ」
ガラッシア家に関していえば、メイド長さんと執事長さんがトレーナーになれば、大方どうにかなる。
しかも始めたのが早いものだから、だいぶ極める方向に進んでいて、もはや最初に出会った頃とは比べ物にならない。
筋肉の付き方もさながら、背筋よくなってるし肌の色つやもいい。
運動は偉大である。
「あ、そしたら学園も…」
「相当量のじゃーじは配ったのだろう?」
「ええ」
「帰宅後の帳簿確認は日数を減らして構わない。皆にじょぎんぐやすとれっちを教授してあげなさい」
「…わかりました」
すっかり回復の道を進んでいる事に感心しつつも、学園内でのことを考えないといけない事に気付く。
うっかり私が学園でジャージ配りをしてしまったから、見様見真似でやろうとしてるご令嬢ご令息たちは、当然やり方についてご教授願いたいという流れになってくるはずだ。
サークルとか部活動とかそういった団体になるなら、やはりトレーナーは必要。
それに私はそこまで面倒見がいい方だとは自負していない。
奉仕力がある教え向きな子に頼むがいいだろう。
「…あ、閃いたわ」
「チアキ?」
早速明日声をかけてみよう。
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