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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
75話 神よ、感謝します。素晴らしい目の保養です
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目を覚ませば今はもう見慣れてしまったベッドの上等な天蓋。
カーテンの隙間から朝日が漏れているのを確認して、いつもの時間に起きた事を認識。
ふと人影を感じ顔を横へ向けて息を飲んだ。
「ひゅっ」
「…………」
見事な美女が隣で寝ているではないか。
オリアーナとは髪質が違うのか、ふわっふわの金髪に長い睫毛、肌は艶やかで透き通っている。
オルネッラも大概美人だよね、夢に見ていた目覚めすぎて、逆に眩暈がするよ。
にしたって。
「…いつ入った」
中身オリアーナの見た目オルネッラがいる。
静かに寝ている。
上半身起き上がり周囲を見回すが、オリアーナの部屋で間違いない。
昨日オリアーナをオルネッラの部屋に残して自分の部屋で寝たはずなのに。
寝ている間、気配すら感じなかったし物音もしなかったはず、何故だ。
すると遠慮がちに扉を叩く音がした。
「お、お嬢様」
「アンナさん? どうぞ」
朝から顔面蒼白のアンナさんが震える声で訴えた。
「オルネッラお嬢様がいらっしゃいません」
うん、そうだと思った。
「オルネッラなら私の隣で寝てるけど」
「…え?」
「……」
どうしてこうなった。
そしてこの台詞を使う日が来ようとは夢にも思わなかったよ。
第一、一緒に寝るフラグはもう回収したから、リクエストにお応えしてもう1度があるなんて考えてもいなかった。
アンナさんには騒ぎになる前に、報告あげた人に伝えるようお願いする。
仕様がないので起こすとしよう。
「オリアーナ、起きて。朝だよ」
「……はい」
「はい、おはよう」
「お早う御座います」
眠たいからなのか少しぼんやりしてる。
寝起きの美女の破壊力といったら半端ないわ、え、これで理性保てる人いるの?
この世界この時代では私だけだな、私以外の人間は理性保てないたぶん。
「で、どうしてここに?」
「……一人で寝るのが、嫌で」
「ふぐっ」
ああもう朝から私をデレで昇天させる気か。そうだね、今までずっと同じ部屋で寝てたものね!
もう朝で頭回らないの?するっと本音をありがとう、私今日1日生きていけるよ。
それでもアンナさんを顔面蒼白にするのは良くないので、部屋を出るときは誰かに言おうということだけ伝えておく。
無言で頷く無防備ぶり…これは人の身体に入っていないと分からない破壊力だ。
神よ、感謝します。素晴らしい目の保養です。
「うぐうう」
「お父様、お気持ちはわかりますが、そろそろ泣くのを止めましょう」
「そ、そうなんだがなあああ」
父の絵に描いたようなリアクションは朝も続いた。
朝ご飯を娘二人と迎えられた事に感極まったらしい。
それに対してオリアーナ(見た目オルネッラ)は努めて静かに食事をしていて、相変わらずクールな反応だ。
身体に問題ないのか滞りなく朝食を迎えている。
そこに安心はできるけど、もう少し父親に反応してあげてもいいのでは。
「学園行こ…」
「見送ります」
「ありがとう」
まだ咽び泣く父親を置いて早々に登校することにした。
オリアーナは玄関までお見送りだ。美女の見送りで登校とはなかなかの贅沢。
「父親と会話してみなよ」
そう言うと、途端顔色を変えた。
困ったと言わんばかりに眉根を寄せて目線を彷徨わせる。
口元に手を添え、やや俯き気味にしてしばし無言、品良く背筋を伸ばしたままで私に視線を戻した。
「うまく…いくでしょうか…」
「慣れだね、慣れ。失敗しようが気まずかろうが繰り返すしかないよ」
「…そうですか」
「あ、あと父親に中身の話するの任せる」
「…わかりました」
いろいろ心配だろうがやってみるしかないだろう。
私はオリアーナがオルネッラの身体とはいえ、戻ってきただけで充分嬉しいし、お見送りが美女で朝からテンションがうなぎ登りだ。
「いってらっしゃい、チアキ」
「うん。いってくるね、オリアーナ」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「今日の垂直跳びも記録更新」
いつもの場所でエステルトットに見守られながら新記録をたたき出した。
ここまでくると重力云々関係ないという考えに至る。これは持って生まれた才能、もしくは異世界転移の際の不具合、これに限る。
まあ今はそんなことどうでもいい、生きてるだけで幸せだ。
「上機嫌ね、チアキ」
「オリアーナ戻ってきてテンションあがらないわけないでしょ」
「オリアーナ嬢の様子はどうだ?」
「問題ないよ」
ちょうどいい、オリアーナがいないこともあったので、二人にオルネッラのことを聞いてみる。
そもそも調べた限りの彼女の性格を鑑みても、あの複製本に手を出さなそうだということ。
事故直後のクラーレみたく、選択の余地がない中で手を出したというのとは違う。
家でも外でも問題ない時にその本を欲しがるところに問題がある。
そしてクラーレは語らない。
オルネッラに頼まれたということだけしか言わず、それ以外の会話については聞いていないの一点張り。
そうなると一介の公爵令嬢が我が儘言っただけみたいな形に見えるけど、オルネッラはそんな人には思えないのが今までの判断だ。
「わからないもんだね」
「他にも分かり次第伝える」
「OK、ありがとう」
「チアキ、気になることが」
「ん?」
カーテンの隙間から朝日が漏れているのを確認して、いつもの時間に起きた事を認識。
ふと人影を感じ顔を横へ向けて息を飲んだ。
「ひゅっ」
「…………」
見事な美女が隣で寝ているではないか。
オリアーナとは髪質が違うのか、ふわっふわの金髪に長い睫毛、肌は艶やかで透き通っている。
オルネッラも大概美人だよね、夢に見ていた目覚めすぎて、逆に眩暈がするよ。
にしたって。
「…いつ入った」
中身オリアーナの見た目オルネッラがいる。
静かに寝ている。
上半身起き上がり周囲を見回すが、オリアーナの部屋で間違いない。
昨日オリアーナをオルネッラの部屋に残して自分の部屋で寝たはずなのに。
寝ている間、気配すら感じなかったし物音もしなかったはず、何故だ。
すると遠慮がちに扉を叩く音がした。
「お、お嬢様」
「アンナさん? どうぞ」
朝から顔面蒼白のアンナさんが震える声で訴えた。
「オルネッラお嬢様がいらっしゃいません」
うん、そうだと思った。
「オルネッラなら私の隣で寝てるけど」
「…え?」
「……」
どうしてこうなった。
そしてこの台詞を使う日が来ようとは夢にも思わなかったよ。
第一、一緒に寝るフラグはもう回収したから、リクエストにお応えしてもう1度があるなんて考えてもいなかった。
アンナさんには騒ぎになる前に、報告あげた人に伝えるようお願いする。
仕様がないので起こすとしよう。
「オリアーナ、起きて。朝だよ」
「……はい」
「はい、おはよう」
「お早う御座います」
眠たいからなのか少しぼんやりしてる。
寝起きの美女の破壊力といったら半端ないわ、え、これで理性保てる人いるの?
この世界この時代では私だけだな、私以外の人間は理性保てないたぶん。
「で、どうしてここに?」
「……一人で寝るのが、嫌で」
「ふぐっ」
ああもう朝から私をデレで昇天させる気か。そうだね、今までずっと同じ部屋で寝てたものね!
もう朝で頭回らないの?するっと本音をありがとう、私今日1日生きていけるよ。
それでもアンナさんを顔面蒼白にするのは良くないので、部屋を出るときは誰かに言おうということだけ伝えておく。
無言で頷く無防備ぶり…これは人の身体に入っていないと分からない破壊力だ。
神よ、感謝します。素晴らしい目の保養です。
「うぐうう」
「お父様、お気持ちはわかりますが、そろそろ泣くのを止めましょう」
「そ、そうなんだがなあああ」
父の絵に描いたようなリアクションは朝も続いた。
朝ご飯を娘二人と迎えられた事に感極まったらしい。
それに対してオリアーナ(見た目オルネッラ)は努めて静かに食事をしていて、相変わらずクールな反応だ。
身体に問題ないのか滞りなく朝食を迎えている。
そこに安心はできるけど、もう少し父親に反応してあげてもいいのでは。
「学園行こ…」
「見送ります」
「ありがとう」
まだ咽び泣く父親を置いて早々に登校することにした。
オリアーナは玄関までお見送りだ。美女の見送りで登校とはなかなかの贅沢。
「父親と会話してみなよ」
そう言うと、途端顔色を変えた。
困ったと言わんばかりに眉根を寄せて目線を彷徨わせる。
口元に手を添え、やや俯き気味にしてしばし無言、品良く背筋を伸ばしたままで私に視線を戻した。
「うまく…いくでしょうか…」
「慣れだね、慣れ。失敗しようが気まずかろうが繰り返すしかないよ」
「…そうですか」
「あ、あと父親に中身の話するの任せる」
「…わかりました」
いろいろ心配だろうがやってみるしかないだろう。
私はオリアーナがオルネッラの身体とはいえ、戻ってきただけで充分嬉しいし、お見送りが美女で朝からテンションがうなぎ登りだ。
「いってらっしゃい、チアキ」
「うん。いってくるね、オリアーナ」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「今日の垂直跳びも記録更新」
いつもの場所でエステルトットに見守られながら新記録をたたき出した。
ここまでくると重力云々関係ないという考えに至る。これは持って生まれた才能、もしくは異世界転移の際の不具合、これに限る。
まあ今はそんなことどうでもいい、生きてるだけで幸せだ。
「上機嫌ね、チアキ」
「オリアーナ戻ってきてテンションあがらないわけないでしょ」
「オリアーナ嬢の様子はどうだ?」
「問題ないよ」
ちょうどいい、オリアーナがいないこともあったので、二人にオルネッラのことを聞いてみる。
そもそも調べた限りの彼女の性格を鑑みても、あの複製本に手を出さなそうだということ。
事故直後のクラーレみたく、選択の余地がない中で手を出したというのとは違う。
家でも外でも問題ない時にその本を欲しがるところに問題がある。
そしてクラーレは語らない。
オルネッラに頼まれたということだけしか言わず、それ以外の会話については聞いていないの一点張り。
そうなると一介の公爵令嬢が我が儘言っただけみたいな形に見えるけど、オルネッラはそんな人には思えないのが今までの判断だ。
「わからないもんだね」
「他にも分かり次第伝える」
「OK、ありがとう」
「チアキ、気になることが」
「ん?」
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