クールキャラなんて演じられない!

文字の大きさ
108 / 164
2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。

108話 クーデレのデレとツンデレのデレ

しおりを挟む
これが自国以外を見たいと望むエステルの魔法が現代日本にも繋がり、はてはオリアーナの入れかわりの魔法も繋げやすくした。オリアーナにいたっては親族でオルネッラを求めていたのだから、より強力に私を引き寄せた事になる。
ピンポイントで私とエステルトットが繋がるということを、私は勝手に奇跡という言葉でおさめていたけど、そこにもきちんと理由と因果があった。
私がオルネッラだったから。この世界の人間だったから。
それをエステルとトットは最初から疑問に思って何故かを調べていた。この2人本当出来すぎくんすぎる。

「チアキがオルネッラに触れて意識を飛ばした事を聴いてからは、ほぼ確信してはいたかしら」
「え?」
「俺が話した」
「そう」

そいや、花びらとろうとして意識飛ばしたこともあったかな。
エステル曰く、魂が別の身体に入ったまま、本来の身体に触れると反発が起きると。まあ魔法がある世界にありがちな設定ですね。それもその身体に別の魂が入れば、それに馴染むため同じ事は起きなくなるとか。
どちらにしろエステル達は知りすぎている。というか推理もの主人公真っ青なくらい真相知ってる。もう過去数話いらなかったじゃん。エステルが1話分で語るだけで済むじゃん。

「知ってたら言ってくれても」
「推測だけでは話せない」
「そだね、そんな話もしたね」

とは言いつつも、私自身が納得して解決するために敢えて小出しヒントにしてた可能性もあるな、この2人。
他人から真相きかされても確かに納得しないだろう。特にオルネッラの事は自分で確かめに同じことをする自信がある。知っても知らなくても魂に触れる行為に及ぶのなら、2人が早くから今日の事を容認してたと。
なにそれ、私のこと知りすぎじゃない。私が好きなの飛び越えてるんじゃない?

「私やサルヴァトーレに頼んでくれてはいたけど、ここぞというときチアキは独断独走するから」
「あはは……けど好きにやらせてくれてありがとね」
「チアキはずるいわ。そうやって笑って誤魔化して」

癖なので。
そう言うと、あれだけ何をどう怒ろうか考えていたのにとエステル。うっわ可愛い事言うてくれる。この世界のほとんどの人間はエステルに怒られるためなら列を作るよ。待機ならお任せください、慣れてます。

「エステルとトットはオルネッラの逆行まで考えてたの?」
「可能性の1つとして」
「わお、さすがだね」

逆行について軽く話しておく。さすがにやり直しをした歴はどこにもないだろうし。それでもなんとなく知ってる体なのは、さすがヒーローヒロインというところか。

「さてと」

ずっとだんまりのクールなお嬢さんのケアもしないと。

「オリアーナ」
「……」
「おいで」

そう言うと、今にも泣きだしそうに顔を歪めて、彼女らしくもなく駆け寄ってベッドを飛び越えて私にダイブしてきた。腰回りに抱き着いて、肩を震わせて。
やっぱりメンタル回復期にこれはまずかったな。

「ごめんね、黙ってて」
「チアキはいつだって勝手です」
「否定しない」
「私が、どれだけ、心配したと」
「ありがと」

本当はオルネッラを連れてきてあげたかった。オリアーナの中身がオルネッラになって、そこでやっと複製本を使って身体と中身を一致させるよう入れ替えればいい。それで大団円だと。
魂の再生というのも複製本にはあったけど、今回オルネッラの魂に触れられたのは本当に少ない確率の賭けだった。魂が変質して数十年、本来ならあるはずのないもの。オルネッラに会えたのは運が良かったとしか言いようがなかった。

「私は、姉の事はもう亡くなったと受け入れています。今はチアキを失う事の方が怖い」
「そこまで愛されてると照れますな」
「私はまじで言っています」
「その言葉はあまり使わないようにしようね」

御令嬢がマジはいかんよ、マジは。本気と書いてマジと読む。
しかもそれは、少年誌でよく使われるから、この世界では不釣り合いだよ。

「チアキはそうやっていつも誤魔化して」
「ごめんて、もうしないから」
「本当に?」
「やらかす時は今ここにいる面子に言ってからにするよ」
「……かならず同伴者をつけて下さい」
「げえ……」

自由が利かないじゃん。
それはちょっと困る、というか個人的感情面で窮屈だな。

「でもこれからは、オルネッラがチアキなら、ここにいてくれるのでしょう?」
「あ、そっか。そうなるね」

いなくなる理由がなくなった。オルネッラに譲ろうとしてた私の立ち位置は実の所、きちんと予定していたオルネッラが立っていました。ただし変質していますが的な展開。
ちょっと違うけど、望む結末に落ち着いているって事?……ここまで御見通しという事だったのですか、神よ。ちょっと違うけど。

「そしたら私は第二の人生をこの世界で過ごす?」
「私は初めからそのつもりでいましたが」

私もーと呑気にエステルも言ってくる。男性陣も頷く始末だ。

「初めから?」
「ですので、チアキを引き留める為の理由作りに奔走してました」
「え、例えば?」
「ディエゴとお付き合いすればと」
「そこかい」

オリアーナが抱き着いてるのに、一向に離さないまま私をホールドしてるディエゴが少しだけ力を入れてきた。首にかかってるからやめて、物理的に苦しくなる。

「……俺の気持ちは嘘じゃない」
「今はそこを議論する時じゃないから黙ってて」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

聖女は秘密の皇帝に抱かれる

アルケミスト
恋愛
 神が皇帝を定める国、バラッハ帝国。 『次期皇帝は国の紋章を背負う者』という神託を得た聖女候補ツェリルは昔見た、腰に痣を持つ男を探し始める。  行き着いたのは権力を忌み嫌う皇太子、ドゥラコン、  痣を確かめたいと頼むが「俺は身も心も重ねる女にしか肌を見せない」と迫られる。  戸惑うツェリルだが、彼を『その気』にさせるため、寝室で、浴場で、淫らな逢瀬を重ねることになる。  快楽に溺れてはだめ。  そう思いつつも、いつまでも服を脱がない彼に焦れたある日、別の人間の腰に痣を見つけて……。  果たして次期皇帝は誰なのか?  ツェリルは無事聖女になることはできるのか?

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

乙女ゲーのヒロインに転生しましたが、悪役令嬢によって攻略済みの世界でした~スローライフ希望なのでそれでオッケーです!~

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ゲーマーである主人公・花藤瀬利(かとうせり)は、大学からの帰り道に事故に合い、気が付くと、瀬利が発売当日から毎日遊んできた、『黎明のアルケミスト』という女性向けゲームのヒロインに生まれ変わっていた。 わくわくしながらゲームの世界に浸る瀬利だったが、攻略対象のキャラクター達に違和感を抱く。  メイン後略の彼も、ユーザー一番人気の彼も、果ては隠し攻略キャラの彼さえも、全ての攻略キャラがライバルヒロインキャラにベタ惚れだったのである。  瀬利より一足先にライバルヒロインへと転生していた少女・比菱あかりによれば、トゥルーエンドに存在する自らの死を回避するべく行動していたら、攻略キャラすべてがあかりに好意を抱くように変わってしまっていたのだという。  しかし、瀬利が好きなのは本編の乙女ゲームシナリオではなく、おまけのミニゲームのほう。 攻略対象そっちのけでゲームの世界に浸りスローライフの日々を送る……と思っていたのだが、サブキャラでもなくモブキャラですらない、本編に登場していない幼馴染と恋愛フラグが……? 【この作品は完結済みであるPixiv版を加筆・改稿して掲載しています。ご了承ください】 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『pixiv』にも掲載しています。】

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

処理中です...