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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
108話 クーデレのデレとツンデレのデレ
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これが自国以外を見たいと望むエステルの魔法が現代日本にも繋がり、はてはオリアーナの入れかわりの魔法も繋げやすくした。オリアーナにいたっては親族でオルネッラを求めていたのだから、より強力に私を引き寄せた事になる。
ピンポイントで私とエステルトットが繋がるということを、私は勝手に奇跡という言葉でおさめていたけど、そこにもきちんと理由と因果があった。
私がオルネッラだったから。この世界の人間だったから。
それをエステルとトットは最初から疑問に思って何故かを調べていた。この2人本当出来すぎくんすぎる。
「チアキがオルネッラに触れて意識を飛ばした事を聴いてからは、ほぼ確信してはいたかしら」
「え?」
「俺が話した」
「そう」
そいや、花びらとろうとして意識飛ばしたこともあったかな。
エステル曰く、魂が別の身体に入ったまま、本来の身体に触れると反発が起きると。まあ魔法がある世界にありがちな設定ですね。それもその身体に別の魂が入れば、それに馴染むため同じ事は起きなくなるとか。
どちらにしろエステル達は知りすぎている。というか推理もの主人公真っ青なくらい真相知ってる。もう過去数話いらなかったじゃん。エステルが1話分で語るだけで済むじゃん。
「知ってたら言ってくれても」
「推測だけでは話せない」
「そだね、そんな話もしたね」
とは言いつつも、私自身が納得して解決するために敢えて小出しヒントにしてた可能性もあるな、この2人。
他人から真相きかされても確かに納得しないだろう。特にオルネッラの事は自分で確かめに同じことをする自信がある。知っても知らなくても魂に触れる行為に及ぶのなら、2人が早くから今日の事を容認してたと。
なにそれ、私のこと知りすぎじゃない。私が好きなの飛び越えてるんじゃない?
「私やサルヴァトーレに頼んでくれてはいたけど、ここぞというときチアキは独断独走するから」
「あはは……けど好きにやらせてくれてありがとね」
「チアキはずるいわ。そうやって笑って誤魔化して」
癖なので。
そう言うと、あれだけ何をどう怒ろうか考えていたのにとエステル。うっわ可愛い事言うてくれる。この世界のほとんどの人間はエステルに怒られるためなら列を作るよ。待機ならお任せください、慣れてます。
「エステルとトットはオルネッラの逆行まで考えてたの?」
「可能性の1つとして」
「わお、さすがだね」
逆行について軽く話しておく。さすがにやり直しをした歴はどこにもないだろうし。それでもなんとなく知ってる体なのは、さすがヒーローヒロインというところか。
「さてと」
ずっとだんまりのクールなお嬢さんのケアもしないと。
「オリアーナ」
「……」
「おいで」
そう言うと、今にも泣きだしそうに顔を歪めて、彼女らしくもなく駆け寄ってベッドを飛び越えて私にダイブしてきた。腰回りに抱き着いて、肩を震わせて。
やっぱりメンタル回復期にこれはまずかったな。
「ごめんね、黙ってて」
「チアキはいつだって勝手です」
「否定しない」
「私が、どれだけ、心配したと」
「ありがと」
本当はオルネッラを連れてきてあげたかった。オリアーナの中身がオルネッラになって、そこでやっと複製本を使って身体と中身を一致させるよう入れ替えればいい。それで大団円だと。
魂の再生というのも複製本にはあったけど、今回オルネッラの魂に触れられたのは本当に少ない確率の賭けだった。魂が変質して数十年、本来ならあるはずのないもの。オルネッラに会えたのは運が良かったとしか言いようがなかった。
「私は、姉の事はもう亡くなったと受け入れています。今はチアキを失う事の方が怖い」
「そこまで愛されてると照れますな」
「私はまじで言っています」
「その言葉はあまり使わないようにしようね」
御令嬢がマジはいかんよ、マジは。本気と書いてマジと読む。
しかもそれは、少年誌でよく使われるから、この世界では不釣り合いだよ。
「チアキはそうやっていつも誤魔化して」
「ごめんて、もうしないから」
「本当に?」
「やらかす時は今ここにいる面子に言ってからにするよ」
「……かならず同伴者をつけて下さい」
「げえ……」
自由が利かないじゃん。
それはちょっと困る、というか個人的感情面で窮屈だな。
「でもこれからは、オルネッラがチアキなら、ここにいてくれるのでしょう?」
「あ、そっか。そうなるね」
いなくなる理由がなくなった。オルネッラに譲ろうとしてた私の立ち位置は実の所、きちんと予定していたオルネッラが立っていました。ただし変質していますが的な展開。
ちょっと違うけど、望む結末に落ち着いているって事?……ここまで御見通しという事だったのですか、神よ。ちょっと違うけど。
「そしたら私は第二の人生をこの世界で過ごす?」
「私は初めからそのつもりでいましたが」
私もーと呑気にエステルも言ってくる。男性陣も頷く始末だ。
「初めから?」
「ですので、チアキを引き留める為の理由作りに奔走してました」
「え、例えば?」
「ディエゴとお付き合いすればと」
「そこかい」
オリアーナが抱き着いてるのに、一向に離さないまま私をホールドしてるディエゴが少しだけ力を入れてきた。首にかかってるからやめて、物理的に苦しくなる。
「……俺の気持ちは嘘じゃない」
「今はそこを議論する時じゃないから黙ってて」
ピンポイントで私とエステルトットが繋がるということを、私は勝手に奇跡という言葉でおさめていたけど、そこにもきちんと理由と因果があった。
私がオルネッラだったから。この世界の人間だったから。
それをエステルとトットは最初から疑問に思って何故かを調べていた。この2人本当出来すぎくんすぎる。
「チアキがオルネッラに触れて意識を飛ばした事を聴いてからは、ほぼ確信してはいたかしら」
「え?」
「俺が話した」
「そう」
そいや、花びらとろうとして意識飛ばしたこともあったかな。
エステル曰く、魂が別の身体に入ったまま、本来の身体に触れると反発が起きると。まあ魔法がある世界にありがちな設定ですね。それもその身体に別の魂が入れば、それに馴染むため同じ事は起きなくなるとか。
どちらにしろエステル達は知りすぎている。というか推理もの主人公真っ青なくらい真相知ってる。もう過去数話いらなかったじゃん。エステルが1話分で語るだけで済むじゃん。
「知ってたら言ってくれても」
「推測だけでは話せない」
「そだね、そんな話もしたね」
とは言いつつも、私自身が納得して解決するために敢えて小出しヒントにしてた可能性もあるな、この2人。
他人から真相きかされても確かに納得しないだろう。特にオルネッラの事は自分で確かめに同じことをする自信がある。知っても知らなくても魂に触れる行為に及ぶのなら、2人が早くから今日の事を容認してたと。
なにそれ、私のこと知りすぎじゃない。私が好きなの飛び越えてるんじゃない?
「私やサルヴァトーレに頼んでくれてはいたけど、ここぞというときチアキは独断独走するから」
「あはは……けど好きにやらせてくれてありがとね」
「チアキはずるいわ。そうやって笑って誤魔化して」
癖なので。
そう言うと、あれだけ何をどう怒ろうか考えていたのにとエステル。うっわ可愛い事言うてくれる。この世界のほとんどの人間はエステルに怒られるためなら列を作るよ。待機ならお任せください、慣れてます。
「エステルとトットはオルネッラの逆行まで考えてたの?」
「可能性の1つとして」
「わお、さすがだね」
逆行について軽く話しておく。さすがにやり直しをした歴はどこにもないだろうし。それでもなんとなく知ってる体なのは、さすがヒーローヒロインというところか。
「さてと」
ずっとだんまりのクールなお嬢さんのケアもしないと。
「オリアーナ」
「……」
「おいで」
そう言うと、今にも泣きだしそうに顔を歪めて、彼女らしくもなく駆け寄ってベッドを飛び越えて私にダイブしてきた。腰回りに抱き着いて、肩を震わせて。
やっぱりメンタル回復期にこれはまずかったな。
「ごめんね、黙ってて」
「チアキはいつだって勝手です」
「否定しない」
「私が、どれだけ、心配したと」
「ありがと」
本当はオルネッラを連れてきてあげたかった。オリアーナの中身がオルネッラになって、そこでやっと複製本を使って身体と中身を一致させるよう入れ替えればいい。それで大団円だと。
魂の再生というのも複製本にはあったけど、今回オルネッラの魂に触れられたのは本当に少ない確率の賭けだった。魂が変質して数十年、本来ならあるはずのないもの。オルネッラに会えたのは運が良かったとしか言いようがなかった。
「私は、姉の事はもう亡くなったと受け入れています。今はチアキを失う事の方が怖い」
「そこまで愛されてると照れますな」
「私はまじで言っています」
「その言葉はあまり使わないようにしようね」
御令嬢がマジはいかんよ、マジは。本気と書いてマジと読む。
しかもそれは、少年誌でよく使われるから、この世界では不釣り合いだよ。
「チアキはそうやっていつも誤魔化して」
「ごめんて、もうしないから」
「本当に?」
「やらかす時は今ここにいる面子に言ってからにするよ」
「……かならず同伴者をつけて下さい」
「げえ……」
自由が利かないじゃん。
それはちょっと困る、というか個人的感情面で窮屈だな。
「でもこれからは、オルネッラがチアキなら、ここにいてくれるのでしょう?」
「あ、そっか。そうなるね」
いなくなる理由がなくなった。オルネッラに譲ろうとしてた私の立ち位置は実の所、きちんと予定していたオルネッラが立っていました。ただし変質していますが的な展開。
ちょっと違うけど、望む結末に落ち着いているって事?……ここまで御見通しという事だったのですか、神よ。ちょっと違うけど。
「そしたら私は第二の人生をこの世界で過ごす?」
「私は初めからそのつもりでいましたが」
私もーと呑気にエステルも言ってくる。男性陣も頷く始末だ。
「初めから?」
「ですので、チアキを引き留める為の理由作りに奔走してました」
「え、例えば?」
「ディエゴとお付き合いすればと」
「そこかい」
オリアーナが抱き着いてるのに、一向に離さないまま私をホールドしてるディエゴが少しだけ力を入れてきた。首にかかってるからやめて、物理的に苦しくなる。
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