122 / 164
2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
122話 ジョギング大会開始、久しぶりの女子会
しおりを挟む
ざわつく場。
そりゃそうだよ、需要が完全にディエゴだけ対象じゃん。おいしさディエゴにしかないじゃん。
「社交界の革命譲の心を掴め!」
「なにその二つ名、中二すぎ」
「事業革命の解放者とも言われてますよ」
「革命したの? 解放したの? どっち?」
どちらにしろ、おかしな二つ名が流行っていることだけはわかった。できれば知りたくなかったけど。
革命って、産業革命張りのことしないとそう言わないかと思ってたけど、そうでもないのかな。ただ私が私でいるだけで、やりたいことしてたら中二っぽい二つ名つきましたとか笑えないぞ。
「チアキ」
「おう」
当の需要がある人物は生き生きとしていた。やる気になったらしい。
「やる気になったの」
「ああ。他の参加者に機会が与えられるのは癪だが」
すこし不機嫌を滲ませる。需要はディエゴにしかないのに、他の人にチャンスがあること自体がだめらしい。むしろ今ならゴール前で皆一時停止するよ、きっとディエゴにどうぞどうぞする勢いだよ。不機嫌になる必要はどこにもない。
「自信ないの?」
「いや」
優勝する気満々じゃんか。経験値もあるし、本来はトレーナーすらできるんだから優位すぎる。
「てか最初のスタート地点は抽選だよね? 何番とったの?」
「10番」
「うわ、もってる」
参加人数多い時はスタート地点の並びは抽選と相場が決まっているけど、これもオリアーナはきちんとやっていたという素晴らしさよ。
そして優勝射程圏内をとってるディエゴなんなの。ちなみにエドアルドは21番らしい。こっちはこっちで参加者として走ってもいいんじゃないっていう引きの良さよ。
「本気出す」
「さっきから、そのやる気なんなの」
「俺以外の誰かとでーとされるのは考えられない」
「嫌なの?」
「当たり前だ」
不機嫌ですこと。この発案自体、そうするしかなかったんだとも言っていたけど、彼としてはその先のネガティブな可能性がどうしても受け入れがたいらしい。優勝する気の癖にだ。意味がわからないよ。
「チアキ、御祖母様のぷれぜんは気にしなくていい」
「ん?」
「どうにかする。だからきちんとでーとしてくれ」
「何も始まってないのに、もう一番とった気分?」
「ああ、行ってくる」
そう言ってスタート地点に向かっていった。知り合いが走るとなると見応えもでていいけど、流れが不穏だ。
デートは避けたい。事実プレゼンの内容が仕上がっていないし、時間も惜しい。おばあちゃのデレがまだ成し得ていないというのに。おばあちゃんには、お孫さんとのデートでプレゼン遅れますなんて言い訳きくものか。むしろ知れたらお説教だよ。
「そういえば」
「どうしたの?」
「走者を確認できるものを用意しました」
「え、なにそれ詳しく」
「こちらです」
私たちの背後に大きな白い布が張られている。風がないのが幸いではためくことなく立っている。
そこにぱっとスタート地点が映った。
「え? 映像?」
「チアキの言うろくがはできませんが、遠方をうつすことは可能です」
「おお!」
「チアキの作ったほわいとぼーどにも映ります」
「おお!」
すごい、ますます駅伝ぽくなった。録画技術がないのが残念だけど、それはいつかトットとエステルあたりがどうにかしてくれる、たぶん。
「ではでは開始の合図をガラッシア公爵により……」
そうこうしている内に、父親が開始の音を鳴らしていた。
あれ、結局優勝者と私はお茶しなきゃいけないわけ?
「大丈夫です。ディエゴが勝ちます」
「何の確信をもって言ってるの」
そして私の思考を読んでいるね、オリアーナ。もはや私の脳内プライバシーは皆無だ。私もオリアーナの考えてることわかればいいのに。きっと過分なデレがそこにあるはず。
「ここで見るだけの人もそこそこいるんだね」
「はい。鑑賞にあたり施設をいくつか解放もしています」
「へえ」
ホワイトボードの映像を眺めながらオリアーナとお茶タイム。え、これでもうご褒美終えたでよくない?
私すごく幸せだし。
まあそれはさておき、久しぶりにオリアーナとゆっくり話でもしようか。怒涛のターンではほとんど話せてなかったし。
「ねえ、オリアーナ」
「はい」
「まだ私とディエゴくっつけようとしてるの?」
「お付き合いすればよいとは思っています」
「私がずっとこの世界にいるのに?」
オルネッラは私である。私のポジションにおさまるキャラがいない、そうなると私はこの世界にい続けることになるわけで、それはオリアーナもわかってるはずだ。
オリアーナは最近仕入れて好んで飲むようになった日本茶を見つめて小さく話す。
「チアキが喜ぶ事だと思っています」
「本人確認しようよ」
「しなくてもわかります」
「ちょ、その根拠」
私のこと知ってるんだから感はすごく可愛くていいんだけど、いやもう正直すごく可愛いんだけど、やっぱり本人確認はしてほしい。
「ディエゴが好きでしょう?」
「好きだけど、それは癒しという意味でね。ツンデレ萌えしてるだけだからね?」
「それを超えてはいないのですか?」
「はい?」
「私やエドアルド、王太子s殿下やグァリジョーネ候爵令嬢とは違うものではないのですか」
私から話を振ったとはいえ、もうこの手の話するなら、夜同じベッドでパジャマパーティしながらやろうよ。オリアーナってば、かなりガチめ。本人がエドアルドとうまくいってる手前、そういうスイッチ入ってるのかな?
可愛いから許す。
「……」
「お?」
と、静かだった会場が急にざわつき始めた。
そりゃそうだよ、需要が完全にディエゴだけ対象じゃん。おいしさディエゴにしかないじゃん。
「社交界の革命譲の心を掴め!」
「なにその二つ名、中二すぎ」
「事業革命の解放者とも言われてますよ」
「革命したの? 解放したの? どっち?」
どちらにしろ、おかしな二つ名が流行っていることだけはわかった。できれば知りたくなかったけど。
革命って、産業革命張りのことしないとそう言わないかと思ってたけど、そうでもないのかな。ただ私が私でいるだけで、やりたいことしてたら中二っぽい二つ名つきましたとか笑えないぞ。
「チアキ」
「おう」
当の需要がある人物は生き生きとしていた。やる気になったらしい。
「やる気になったの」
「ああ。他の参加者に機会が与えられるのは癪だが」
すこし不機嫌を滲ませる。需要はディエゴにしかないのに、他の人にチャンスがあること自体がだめらしい。むしろ今ならゴール前で皆一時停止するよ、きっとディエゴにどうぞどうぞする勢いだよ。不機嫌になる必要はどこにもない。
「自信ないの?」
「いや」
優勝する気満々じゃんか。経験値もあるし、本来はトレーナーすらできるんだから優位すぎる。
「てか最初のスタート地点は抽選だよね? 何番とったの?」
「10番」
「うわ、もってる」
参加人数多い時はスタート地点の並びは抽選と相場が決まっているけど、これもオリアーナはきちんとやっていたという素晴らしさよ。
そして優勝射程圏内をとってるディエゴなんなの。ちなみにエドアルドは21番らしい。こっちはこっちで参加者として走ってもいいんじゃないっていう引きの良さよ。
「本気出す」
「さっきから、そのやる気なんなの」
「俺以外の誰かとでーとされるのは考えられない」
「嫌なの?」
「当たり前だ」
不機嫌ですこと。この発案自体、そうするしかなかったんだとも言っていたけど、彼としてはその先のネガティブな可能性がどうしても受け入れがたいらしい。優勝する気の癖にだ。意味がわからないよ。
「チアキ、御祖母様のぷれぜんは気にしなくていい」
「ん?」
「どうにかする。だからきちんとでーとしてくれ」
「何も始まってないのに、もう一番とった気分?」
「ああ、行ってくる」
そう言ってスタート地点に向かっていった。知り合いが走るとなると見応えもでていいけど、流れが不穏だ。
デートは避けたい。事実プレゼンの内容が仕上がっていないし、時間も惜しい。おばあちゃのデレがまだ成し得ていないというのに。おばあちゃんには、お孫さんとのデートでプレゼン遅れますなんて言い訳きくものか。むしろ知れたらお説教だよ。
「そういえば」
「どうしたの?」
「走者を確認できるものを用意しました」
「え、なにそれ詳しく」
「こちらです」
私たちの背後に大きな白い布が張られている。風がないのが幸いではためくことなく立っている。
そこにぱっとスタート地点が映った。
「え? 映像?」
「チアキの言うろくがはできませんが、遠方をうつすことは可能です」
「おお!」
「チアキの作ったほわいとぼーどにも映ります」
「おお!」
すごい、ますます駅伝ぽくなった。録画技術がないのが残念だけど、それはいつかトットとエステルあたりがどうにかしてくれる、たぶん。
「ではでは開始の合図をガラッシア公爵により……」
そうこうしている内に、父親が開始の音を鳴らしていた。
あれ、結局優勝者と私はお茶しなきゃいけないわけ?
「大丈夫です。ディエゴが勝ちます」
「何の確信をもって言ってるの」
そして私の思考を読んでいるね、オリアーナ。もはや私の脳内プライバシーは皆無だ。私もオリアーナの考えてることわかればいいのに。きっと過分なデレがそこにあるはず。
「ここで見るだけの人もそこそこいるんだね」
「はい。鑑賞にあたり施設をいくつか解放もしています」
「へえ」
ホワイトボードの映像を眺めながらオリアーナとお茶タイム。え、これでもうご褒美終えたでよくない?
私すごく幸せだし。
まあそれはさておき、久しぶりにオリアーナとゆっくり話でもしようか。怒涛のターンではほとんど話せてなかったし。
「ねえ、オリアーナ」
「はい」
「まだ私とディエゴくっつけようとしてるの?」
「お付き合いすればよいとは思っています」
「私がずっとこの世界にいるのに?」
オルネッラは私である。私のポジションにおさまるキャラがいない、そうなると私はこの世界にい続けることになるわけで、それはオリアーナもわかってるはずだ。
オリアーナは最近仕入れて好んで飲むようになった日本茶を見つめて小さく話す。
「チアキが喜ぶ事だと思っています」
「本人確認しようよ」
「しなくてもわかります」
「ちょ、その根拠」
私のこと知ってるんだから感はすごく可愛くていいんだけど、いやもう正直すごく可愛いんだけど、やっぱり本人確認はしてほしい。
「ディエゴが好きでしょう?」
「好きだけど、それは癒しという意味でね。ツンデレ萌えしてるだけだからね?」
「それを超えてはいないのですか?」
「はい?」
「私やエドアルド、王太子s殿下やグァリジョーネ候爵令嬢とは違うものではないのですか」
私から話を振ったとはいえ、もうこの手の話するなら、夜同じベッドでパジャマパーティしながらやろうよ。オリアーナってば、かなりガチめ。本人がエドアルドとうまくいってる手前、そういうスイッチ入ってるのかな?
可愛いから許す。
「……」
「お?」
と、静かだった会場が急にざわつき始めた。
0
あなたにおすすめの小説
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
聖女は秘密の皇帝に抱かれる
アルケミスト
恋愛
神が皇帝を定める国、バラッハ帝国。
『次期皇帝は国の紋章を背負う者』という神託を得た聖女候補ツェリルは昔見た、腰に痣を持つ男を探し始める。
行き着いたのは権力を忌み嫌う皇太子、ドゥラコン、
痣を確かめたいと頼むが「俺は身も心も重ねる女にしか肌を見せない」と迫られる。
戸惑うツェリルだが、彼を『その気』にさせるため、寝室で、浴場で、淫らな逢瀬を重ねることになる。
快楽に溺れてはだめ。
そう思いつつも、いつまでも服を脱がない彼に焦れたある日、別の人間の腰に痣を見つけて……。
果たして次期皇帝は誰なのか?
ツェリルは無事聖女になることはできるのか?
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
乙女ゲーのヒロインに転生しましたが、悪役令嬢によって攻略済みの世界でした~スローライフ希望なのでそれでオッケーです!~
ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ゲーマーである主人公・花藤瀬利(かとうせり)は、大学からの帰り道に事故に合い、気が付くと、瀬利が発売当日から毎日遊んできた、『黎明のアルケミスト』という女性向けゲームのヒロインに生まれ変わっていた。
わくわくしながらゲームの世界に浸る瀬利だったが、攻略対象のキャラクター達に違和感を抱く。
メイン後略の彼も、ユーザー一番人気の彼も、果ては隠し攻略キャラの彼さえも、全ての攻略キャラがライバルヒロインキャラにベタ惚れだったのである。
瀬利より一足先にライバルヒロインへと転生していた少女・比菱あかりによれば、トゥルーエンドに存在する自らの死を回避するべく行動していたら、攻略キャラすべてがあかりに好意を抱くように変わってしまっていたのだという。
しかし、瀬利が好きなのは本編の乙女ゲームシナリオではなく、おまけのミニゲームのほう。 攻略対象そっちのけでゲームの世界に浸りスローライフの日々を送る……と思っていたのだが、サブキャラでもなくモブキャラですらない、本編に登場していない幼馴染と恋愛フラグが……?
【この作品は完結済みであるPixiv版を加筆・改稿して掲載しています。ご了承ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『pixiv』にも掲載しています。】
リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜
ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。
イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。
8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。
※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる