クールキャラなんて演じられない!

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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。

122話 ジョギング大会開始、久しぶりの女子会

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ざわつく場。
そりゃそうだよ、需要が完全にディエゴだけ対象じゃん。おいしさディエゴにしかないじゃん。

「社交界の革命譲の心を掴め!」
「なにその二つ名、中二すぎ」
「事業革命の解放者とも言われてますよ」
「革命したの? 解放したの? どっち?」

どちらにしろ、おかしな二つ名が流行っていることだけはわかった。できれば知りたくなかったけど。
革命って、産業革命張りのことしないとそう言わないかと思ってたけど、そうでもないのかな。ただ私が私でいるだけで、やりたいことしてたら中二っぽい二つ名つきましたとか笑えないぞ。

「チアキ」
「おう」

当の需要がある人物は生き生きとしていた。やる気になったらしい。

「やる気になったの」
「ああ。他の参加者に機会が与えられるのは癪だが」

すこし不機嫌を滲ませる。需要はディエゴにしかないのに、他の人にチャンスがあること自体がだめらしい。むしろ今ならゴール前で皆一時停止するよ、きっとディエゴにどうぞどうぞする勢いだよ。不機嫌になる必要はどこにもない。

「自信ないの?」
「いや」

優勝する気満々じゃんか。経験値もあるし、本来はトレーナーすらできるんだから優位すぎる。

「てか最初のスタート地点は抽選だよね? 何番とったの?」
「10番」
「うわ、もってる」

参加人数多い時はスタート地点の並びは抽選と相場が決まっているけど、これもオリアーナはきちんとやっていたという素晴らしさよ。
そして優勝射程圏内をとってるディエゴなんなの。ちなみにエドアルドは21番らしい。こっちはこっちで参加者として走ってもいいんじゃないっていう引きの良さよ。

「本気出す」
「さっきから、そのやる気なんなの」
「俺以外の誰かとでーとされるのは考えられない」
「嫌なの?」
「当たり前だ」

不機嫌ですこと。この発案自体、そうするしかなかったんだとも言っていたけど、彼としてはその先のネガティブな可能性がどうしても受け入れがたいらしい。優勝する気の癖にだ。意味がわからないよ。

「チアキ、御祖母様のぷれぜんは気にしなくていい」
「ん?」
「どうにかする。だからきちんとでーとしてくれ」
「何も始まってないのに、もう一番とった気分?」
「ああ、行ってくる」

そう言ってスタート地点に向かっていった。知り合いが走るとなると見応えもでていいけど、流れが不穏だ。
デートは避けたい。事実プレゼンの内容が仕上がっていないし、時間も惜しい。おばあちゃのデレがまだ成し得ていないというのに。おばあちゃんには、お孫さんとのデートでプレゼン遅れますなんて言い訳きくものか。むしろ知れたらお説教だよ。

「そういえば」
「どうしたの?」
「走者を確認できるものを用意しました」
「え、なにそれ詳しく」
「こちらです」

私たちの背後に大きな白い布が張られている。風がないのが幸いではためくことなく立っている。
そこにぱっとスタート地点が映った。

「え? 映像?」
「チアキの言うろくがはできませんが、遠方をうつすことは可能です」
「おお!」
「チアキの作ったほわいとぼーどにも映ります」
「おお!」

すごい、ますます駅伝ぽくなった。録画技術がないのが残念だけど、それはいつかトットとエステルあたりがどうにかしてくれる、たぶん。

「ではでは開始の合図をガラッシア公爵により……」

そうこうしている内に、父親が開始の音を鳴らしていた。
あれ、結局優勝者と私はお茶しなきゃいけないわけ?

「大丈夫です。ディエゴが勝ちます」
「何の確信をもって言ってるの」

そして私の思考を読んでいるね、オリアーナ。もはや私の脳内プライバシーは皆無だ。私もオリアーナの考えてることわかればいいのに。きっと過分なデレがそこにあるはず。

「ここで見るだけの人もそこそこいるんだね」
「はい。鑑賞にあたり施設をいくつか解放もしています」
「へえ」

ホワイトボードの映像を眺めながらオリアーナとお茶タイム。え、これでもうご褒美終えたでよくない?
私すごく幸せだし。
まあそれはさておき、久しぶりにオリアーナとゆっくり話でもしようか。怒涛のターンではほとんど話せてなかったし。

「ねえ、オリアーナ」
「はい」
「まだ私とディエゴくっつけようとしてるの?」
「お付き合いすればよいとは思っています」
「私がずっとこの世界にいるのに?」

オルネッラは私である。私のポジションにおさまるキャラがいない、そうなると私はこの世界にい続けることになるわけで、それはオリアーナもわかってるはずだ。
オリアーナは最近仕入れて好んで飲むようになった日本茶を見つめて小さく話す。

「チアキが喜ぶ事だと思っています」
「本人確認しようよ」
「しなくてもわかります」
「ちょ、その根拠」

私のこと知ってるんだから感はすごく可愛くていいんだけど、いやもう正直すごく可愛いんだけど、やっぱり本人確認はしてほしい。

「ディエゴが好きでしょう?」
「好きだけど、それは癒しという意味でね。ツンデレ萌えしてるだけだからね?」
「それを超えてはいないのですか?」
「はい?」
「私やエドアルド、王太子s殿下やグァリジョーネ候爵令嬢とは違うものではないのですか」

私から話を振ったとはいえ、もうこの手の話するなら、夜同じベッドでパジャマパーティしながらやろうよ。オリアーナってば、かなりガチめ。本人がエドアルドとうまくいってる手前、そういうスイッチ入ってるのかな?
可愛いから許す。

「……」
「お?」

と、静かだった会場が急にざわつき始めた。
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