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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
127話 まったくツンデレけしからん
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「昨日、敢えて何も言わなかったけど、濡れてたディエゴは大変おいしかったよ」
「今更その話題を出すのか」
「弩級のえろさがあったので、言及しなかっただけ」
「どきゅう?」
あれは年齢指定を考えるよう神が言っていたに違いない。敢えてその場で言及しなかったのはそれもあるし、すぐに乾かしてくれたのもしかりだ。
額に張り付く前髪とか、頬から滴る雫とか、張り付く服とか最高じゃない。すぐに乾かさなければ、じっくり見る事が出来たけど、あのままでは、より身体冷えるから仕方なかった。あれか、その濡れ姿を見る為に、もうちょっと触手が足止めと言う役割を果たせばよかったのか。役どころはそこだったんだ、なんてこと今気づくなんて。
「どうした」
「触手の役割を見出した」
「まだ考えていたのか!」
その言葉にむせるディエゴ。ああ喉やられてるのに大きな声だすから。
コップに水を入れて飲んでもらう。
「いい加減、忘れろ」
「そうだね、今頃トット達の方で回収してるだろうし」
危険指定生物は速やかにトット達のとこへ報告を上げないといけないので、その日の内にディエゴが連絡をしてしまった。仕事が早いトットのこと、もうあの湖に触手はいないのだろうな。残念で仕方ない。
「危険生物を見て意気揚々としているのは君ぐらいだろう」
「ふふん、ノンだよディエゴ。ああいう生物専門の研究者も同じ反応するから」
「揚げ足とるな」
「事実だよ」
何事も専門家っていうのがいるのだから。危険指定生物専門で研究を重ねている人物もいる。
「ディエゴは触手に対して何も思わないの?」
「危険指定生物だから、王都へすぐ連絡を取る。刺激は与えない、これだけ守ればいいだろう」
「お手本のような対応だね。触手のおかげで私の事を抱きしめる公然とした理由が出来たんだよ?」
「そういう訊き方は卑怯だ」
ぐぐぐと唸る。彼も彼で不可抗力とはいえ、私を抱きしめて助けようとした下りについては自覚ありのようだ。
となると、あの時割と冷静でいたということか。つまり濡れた私の感触も、姿もきちんと記憶にあるということ?
「濡れてる私はいかがでした?」
「え?!」
お、ちょっと動揺したぞ。
「頭から足先まで綺麗に濡れた私にドキドキしなかったの?」
「み、見ていな」
「そうかあ、私はそんなに魅力がないのかあ」
「違う!」
「違うもんか。見る程でもなかったんでしょ」
「ちが、透けたり服が張り付いてるのを見るのは失礼だろう!」
「へえ、どこが透けてた?」
「む、!」
「見てるじゃん」
「ぐっ……」
つつけば、ただでさえ顔がいつもより赤めのところをさらに赤くした。耳まで綺麗に赤いと言う事は、これは確実に照れてる。可愛いやつめ。
というか、胸元透けてたの。気づかなかった。
「正直に言っていいよ? 濡れてる姿って一つのロマンだしね!」
「は、はしたないぞ」
「ムッツリに言われる筋合いはない」
「むっつ? え?」
「あ、覚えなくていい」
いけないいけない。言葉としては覚えなくていい方だな。
好きな人云々以前に、濡れてる人がいたらガン見はするよね。そこに同性異性は関係ない。身体のラインを確認して、下着が透けているならガン見する。基本だ。
「チアキ」
「オリアーナ」
扉越しにオリアーナの呼ばれて扉を開ければ、すでにオリアーナとエドアルドは学生服に身を包んでいた。
そんな時間になっていたとは。さすがにディエゴは一回寝た方がいい気がしてきた。
「私達は行きますが」
「今日は私も休むよ。先生に適宜伝えて」
「分かりました」
お大事にという言葉をディエゴの代わりにもらって、心配されてる張本人の元へ戻る。彼はまだ起きていた。
「学校は」
「ん? 行かないってさっきも言ったでしょ。クラーレに診てもらって、家帰るまでいるから」
「しかし……」
「きかないよ」
「……」
真面目なディエゴのことだから、私に学校に行くべきだと言いたい気持ちと、風邪ならではの傍にいてほしいがぶつかり合っている事だろう。事実、黙ってしまうとそのまま不服そうに唸る。
同時、目元が若干緩み始めた。そろそろ限界かな。寝た方がいいだろうし。
「一回寝ようよ」
「嫌だ」
「最近駄々こねるよね」
「違う……」
そこは否定するの。よくわからない。
「お嬢様」
「お、来たかな」
すると、扉がまた叩かれ、アンナさんがクラーレを連れて現れた。
私は一旦席を外して自室に戻り、クラーレから声がかかるのを待つだけになる。さすがのディエゴも医者を無碍にすることはないだろうし、読みかけの本でも読むとしよう。
程なくして、クラーレに呼び出されて客間に戻ると、ディエゴは力尽きたのかぐっすり眠っていた。
「どうですかね?」
「お嬢様の仰る通り、風邪です。相当無理されてるようでしたが」
「やっぱり」
「解熱、沈痛、倦怠感の解消を行いました。薬も服用して頂けたので、明日にはよくなるでしょう」
「さすが」
この世界の魔法と薬は段違いで効き目いいね。明日から復帰可になるとか、どんだけ有能なの。
クラーレも帰り、アンナさんに再度水やらタオルやらを追加でもらった今、すやすや眠るディエゴを見て、私はやっと肩を撫でおろして落ち着けた。
強情張って無理してたのもこれで終了というとこ。起きたら、真っ直ぐ帰ってもらうとしよう。
「……チアキ」
「あれ、起きた?」
ぼんやりしているディエゴの視線は私と交わらない。寝ぼけているだったみたいで、すぐに瞼が閉じられる。
「逃げ、るなよ」
「……」
寝言がまさかのツンとは。
声を出せない手前、もんぞりうつしかない。そう、つまり彼は淋しいから傍にいてをツンデレのツンで表現した。ツンでだ。
「ツンデレェ」
傍の椅子に座って、手を口に当てて天井を仰ぐ。
仕様がない、目覚めを待つとしよう。読みかけの本を読み終わる頃には目も覚めるはずだし。
「存在が罪すぎる」
当然のことながら、次にツンデレが目を覚ました時、先の発言は全く覚えていないようだった。残念極まりないけど、それはそれで彼が無意識下でもツンデレであることを証明したようなもの。
天然もののツンデレとはすばらしい。
そんなにっこにこに癒された私を訝しみながら、彼はしっかりした足取りで馬車に乗り帰って行った。
まったくツンデレけしからん。
「今更その話題を出すのか」
「弩級のえろさがあったので、言及しなかっただけ」
「どきゅう?」
あれは年齢指定を考えるよう神が言っていたに違いない。敢えてその場で言及しなかったのはそれもあるし、すぐに乾かしてくれたのもしかりだ。
額に張り付く前髪とか、頬から滴る雫とか、張り付く服とか最高じゃない。すぐに乾かさなければ、じっくり見る事が出来たけど、あのままでは、より身体冷えるから仕方なかった。あれか、その濡れ姿を見る為に、もうちょっと触手が足止めと言う役割を果たせばよかったのか。役どころはそこだったんだ、なんてこと今気づくなんて。
「どうした」
「触手の役割を見出した」
「まだ考えていたのか!」
その言葉にむせるディエゴ。ああ喉やられてるのに大きな声だすから。
コップに水を入れて飲んでもらう。
「いい加減、忘れろ」
「そうだね、今頃トット達の方で回収してるだろうし」
危険指定生物は速やかにトット達のとこへ報告を上げないといけないので、その日の内にディエゴが連絡をしてしまった。仕事が早いトットのこと、もうあの湖に触手はいないのだろうな。残念で仕方ない。
「危険生物を見て意気揚々としているのは君ぐらいだろう」
「ふふん、ノンだよディエゴ。ああいう生物専門の研究者も同じ反応するから」
「揚げ足とるな」
「事実だよ」
何事も専門家っていうのがいるのだから。危険指定生物専門で研究を重ねている人物もいる。
「ディエゴは触手に対して何も思わないの?」
「危険指定生物だから、王都へすぐ連絡を取る。刺激は与えない、これだけ守ればいいだろう」
「お手本のような対応だね。触手のおかげで私の事を抱きしめる公然とした理由が出来たんだよ?」
「そういう訊き方は卑怯だ」
ぐぐぐと唸る。彼も彼で不可抗力とはいえ、私を抱きしめて助けようとした下りについては自覚ありのようだ。
となると、あの時割と冷静でいたということか。つまり濡れた私の感触も、姿もきちんと記憶にあるということ?
「濡れてる私はいかがでした?」
「え?!」
お、ちょっと動揺したぞ。
「頭から足先まで綺麗に濡れた私にドキドキしなかったの?」
「み、見ていな」
「そうかあ、私はそんなに魅力がないのかあ」
「違う!」
「違うもんか。見る程でもなかったんでしょ」
「ちが、透けたり服が張り付いてるのを見るのは失礼だろう!」
「へえ、どこが透けてた?」
「む、!」
「見てるじゃん」
「ぐっ……」
つつけば、ただでさえ顔がいつもより赤めのところをさらに赤くした。耳まで綺麗に赤いと言う事は、これは確実に照れてる。可愛いやつめ。
というか、胸元透けてたの。気づかなかった。
「正直に言っていいよ? 濡れてる姿って一つのロマンだしね!」
「は、はしたないぞ」
「ムッツリに言われる筋合いはない」
「むっつ? え?」
「あ、覚えなくていい」
いけないいけない。言葉としては覚えなくていい方だな。
好きな人云々以前に、濡れてる人がいたらガン見はするよね。そこに同性異性は関係ない。身体のラインを確認して、下着が透けているならガン見する。基本だ。
「チアキ」
「オリアーナ」
扉越しにオリアーナの呼ばれて扉を開ければ、すでにオリアーナとエドアルドは学生服に身を包んでいた。
そんな時間になっていたとは。さすがにディエゴは一回寝た方がいい気がしてきた。
「私達は行きますが」
「今日は私も休むよ。先生に適宜伝えて」
「分かりました」
お大事にという言葉をディエゴの代わりにもらって、心配されてる張本人の元へ戻る。彼はまだ起きていた。
「学校は」
「ん? 行かないってさっきも言ったでしょ。クラーレに診てもらって、家帰るまでいるから」
「しかし……」
「きかないよ」
「……」
真面目なディエゴのことだから、私に学校に行くべきだと言いたい気持ちと、風邪ならではの傍にいてほしいがぶつかり合っている事だろう。事実、黙ってしまうとそのまま不服そうに唸る。
同時、目元が若干緩み始めた。そろそろ限界かな。寝た方がいいだろうし。
「一回寝ようよ」
「嫌だ」
「最近駄々こねるよね」
「違う……」
そこは否定するの。よくわからない。
「お嬢様」
「お、来たかな」
すると、扉がまた叩かれ、アンナさんがクラーレを連れて現れた。
私は一旦席を外して自室に戻り、クラーレから声がかかるのを待つだけになる。さすがのディエゴも医者を無碍にすることはないだろうし、読みかけの本でも読むとしよう。
程なくして、クラーレに呼び出されて客間に戻ると、ディエゴは力尽きたのかぐっすり眠っていた。
「どうですかね?」
「お嬢様の仰る通り、風邪です。相当無理されてるようでしたが」
「やっぱり」
「解熱、沈痛、倦怠感の解消を行いました。薬も服用して頂けたので、明日にはよくなるでしょう」
「さすが」
この世界の魔法と薬は段違いで効き目いいね。明日から復帰可になるとか、どんだけ有能なの。
クラーレも帰り、アンナさんに再度水やらタオルやらを追加でもらった今、すやすや眠るディエゴを見て、私はやっと肩を撫でおろして落ち着けた。
強情張って無理してたのもこれで終了というとこ。起きたら、真っ直ぐ帰ってもらうとしよう。
「……チアキ」
「あれ、起きた?」
ぼんやりしているディエゴの視線は私と交わらない。寝ぼけているだったみたいで、すぐに瞼が閉じられる。
「逃げ、るなよ」
「……」
寝言がまさかのツンとは。
声を出せない手前、もんぞりうつしかない。そう、つまり彼は淋しいから傍にいてをツンデレのツンで表現した。ツンでだ。
「ツンデレェ」
傍の椅子に座って、手を口に当てて天井を仰ぐ。
仕様がない、目覚めを待つとしよう。読みかけの本を読み終わる頃には目も覚めるはずだし。
「存在が罪すぎる」
当然のことながら、次にツンデレが目を覚ました時、先の発言は全く覚えていないようだった。残念極まりないけど、それはそれで彼が無意識下でもツンデレであることを証明したようなもの。
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そんなにっこにこに癒された私を訝しみながら、彼はしっかりした足取りで馬車に乗り帰って行った。
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