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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
131話 どうやら私は稀代の悪者らしい
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「もう! どう……たら、の女を……」
「しか……」
「んん?」
内容が不穏だな。
三角関係とか?
私複数人数いると訳分かんなくなるから、出来れば登場人物は少な目でお願いしたい。
「……女を社、界…………り落と、……」
「命は…………、……」
「亡き者、……も……わない!」
おっと。はっきり聞こえてしまった。
亡き者にしてもかまわない。人の生き死に話してるの。不穏すぎる。
さすがにディエゴの耳にも入ってしまったようで、眉根を寄せて不快感を顕わにしている。なにせ冗談で言ってる様子じゃないしな。
「チアキ、どうする」
「……」
警備隊は聞こえてなかったようだ。
中身が中身だから、さすがに通報だろう。
けど次の言葉を聞いて私は動かざるを得なくなった。
「ガラ、シア……女、!」
「!」
「へえ」
私の顔色を見てディエゴが息を飲んだのがわかった。
「チアキ、駄目だ」
「無理」
手をとろうとするディエゴの手を拒んで、私はそのまま全力で駆けた。
中庭に入ったとはいえ、深くは進まず会場手前にいたかいもあり、人混みに入ればディエゴを撒くのは簡単だった。階段を上り、件のバルコニーに向かえば、呑気なことに犯人達はまだそこにいた。
「見いつけたあ」
「!」
顔面はクールなんてどこかにいってるのはわかっているし、もう戻そうとは思っていない。
今から確認する内容によってはボコボコタイム突入だからだ。
「さて、お若いお二人さん」
「ひっ!」
腰に剣を備えている若い男性も遅れて気づいた若い女性もオリアーナ達とそう変わらない年齢だ。
男性は警戒しながらこちらに向かい、その影に怯えた女性が顔を青ざめて隠れている。
え、なにこれすごい。騎士が庇うシチュエーション最高かよ。てか、私悪役ぽいじゃん、すごくいい。気の利いた台詞。悪役っぽいやつ……ああ急には出てこないな!
「何か用が?」
おっといけない、脱線した。話を戻さないとか。
「お二人の会話、下から丸聞こえでしたよ」
「!」
舌打ちする騎士。肩を鳴らすお姫様(という設定にしよう。あがる)。取り繕うとかしらばっくれるとかすればいいのに正直だな。
「だからなんだ」
「確認したいことがあってね」
「なんだ」
「今日のおかしな会場の様子は貴方達が原因?」
「こ、根拠はないだろう」
「ふうん、そこは正直どうでもいいんだけどさ」
「え?」
肩透かしだったのか、私の発言に目を瞬かせる二人。そう、私が大事なのは次だ。
「誰が亡き者になるのかな?」
「……」
「……」
「ねえ」
「場合による」
「ふうん」
場合ねえ。
軽く笑うと気分を害したのか、騎士が声を震わせた。
「お前のような悪がいるから!」
「私、君達に何かした?」
「十年前からお前達は社交界を掻き回し続けているじゃないか。果ては国を潰す気だろう?」
「私そんなこと言ってないよね」
「お、お前が魔法使いの祖の血を引いているのは知っているぞ」
「それが国を滅ぼすことにどうして繋がるの?」
「古くから国に厄災を齎していたのはお前たちの一族だろう!」
調べ上げた書物のテンプレみたいな内容だな。君もディエゴんとこのおばあちゃんにプレゼンしてみればいいんだよ。ぼっこぼこに論破されるから。
「起きてもいない事を私のせいにするわけ?」
「え?」
「うん百年前の飢饉? 疫病? 天候不順? 大規模火災? 大津波? 財政難、は管理してる王都側の問題だしな。まあともかく魔女の怒りって真実だと思ってるわけ?」
「そ、そうだろう!? 何が違うというんだ!」
「天候不順ってさ、十年サイクルで大体パターンがあるんだよ。これ気象学の話ね。当然天候不順が起これば作物がとれなくなって飢饉が訪れるよね。それに対して策を講じてなければ当然多くの民が死ぬわけ。疫病は不衛生が元で起こるものが多かったよね。事実今現在では流行りの気配もないものばかりじゃん。火災も天候から説明つくし、歴史上捕らえられた放火犯は魔法使いの祖の一族じゃなかったし。大津波も海底地盤の地震から発生するもので、地震自体もある程度のサイクルで起きている事が分かってるよね」
ここに来てディエゴのおばあちゃんに感謝だ。ありとあらゆる可能性への話が頭に入っていたおかげで今推理もの解決編の如く、ペッラペラにお話しできてる。勉強というのは捨てたものじゃない。
すると騎士の影で怯えていたお姫様(仮)が震えながら叫んできた。
「あ、貴方たちが操っているんでしょう?! 今回もそうなんだわ!」
「御令嬢、人を操る魔法がないこと事知ってますよね?」
「ち、ちが」
「違わない。禁止書籍の中にも人を意のままする魔法はないよ」
魂をどうにかするとかそういうものはあるくせに、人を操る魔法はなかった。故意に消された可能性もあるけど。
「あ、貴方たちは使えるんだわ! だって魔法使いの祖だもの!」
「なんでも出来るパワーワードじゃないからね、それ」
確かの生き残りはチートでなんでも出来る系だったけど、少なくとも私とオリアーナは違う。私はちょっと人より丈夫なスーパーマンだけど、決して魔法で秀でてるわけではない。あ、魔力は有り余ってるんだっけ。伏せとこ。
「ええいうるさい! この魔女め!」
「ええ……」
「しか……」
「んん?」
内容が不穏だな。
三角関係とか?
私複数人数いると訳分かんなくなるから、出来れば登場人物は少な目でお願いしたい。
「……女を社、界…………り落と、……」
「命は…………、……」
「亡き者、……も……わない!」
おっと。はっきり聞こえてしまった。
亡き者にしてもかまわない。人の生き死に話してるの。不穏すぎる。
さすがにディエゴの耳にも入ってしまったようで、眉根を寄せて不快感を顕わにしている。なにせ冗談で言ってる様子じゃないしな。
「チアキ、どうする」
「……」
警備隊は聞こえてなかったようだ。
中身が中身だから、さすがに通報だろう。
けど次の言葉を聞いて私は動かざるを得なくなった。
「ガラ、シア……女、!」
「!」
「へえ」
私の顔色を見てディエゴが息を飲んだのがわかった。
「チアキ、駄目だ」
「無理」
手をとろうとするディエゴの手を拒んで、私はそのまま全力で駆けた。
中庭に入ったとはいえ、深くは進まず会場手前にいたかいもあり、人混みに入ればディエゴを撒くのは簡単だった。階段を上り、件のバルコニーに向かえば、呑気なことに犯人達はまだそこにいた。
「見いつけたあ」
「!」
顔面はクールなんてどこかにいってるのはわかっているし、もう戻そうとは思っていない。
今から確認する内容によってはボコボコタイム突入だからだ。
「さて、お若いお二人さん」
「ひっ!」
腰に剣を備えている若い男性も遅れて気づいた若い女性もオリアーナ達とそう変わらない年齢だ。
男性は警戒しながらこちらに向かい、その影に怯えた女性が顔を青ざめて隠れている。
え、なにこれすごい。騎士が庇うシチュエーション最高かよ。てか、私悪役ぽいじゃん、すごくいい。気の利いた台詞。悪役っぽいやつ……ああ急には出てこないな!
「何か用が?」
おっといけない、脱線した。話を戻さないとか。
「お二人の会話、下から丸聞こえでしたよ」
「!」
舌打ちする騎士。肩を鳴らすお姫様(という設定にしよう。あがる)。取り繕うとかしらばっくれるとかすればいいのに正直だな。
「だからなんだ」
「確認したいことがあってね」
「なんだ」
「今日のおかしな会場の様子は貴方達が原因?」
「こ、根拠はないだろう」
「ふうん、そこは正直どうでもいいんだけどさ」
「え?」
肩透かしだったのか、私の発言に目を瞬かせる二人。そう、私が大事なのは次だ。
「誰が亡き者になるのかな?」
「……」
「……」
「ねえ」
「場合による」
「ふうん」
場合ねえ。
軽く笑うと気分を害したのか、騎士が声を震わせた。
「お前のような悪がいるから!」
「私、君達に何かした?」
「十年前からお前達は社交界を掻き回し続けているじゃないか。果ては国を潰す気だろう?」
「私そんなこと言ってないよね」
「お、お前が魔法使いの祖の血を引いているのは知っているぞ」
「それが国を滅ぼすことにどうして繋がるの?」
「古くから国に厄災を齎していたのはお前たちの一族だろう!」
調べ上げた書物のテンプレみたいな内容だな。君もディエゴんとこのおばあちゃんにプレゼンしてみればいいんだよ。ぼっこぼこに論破されるから。
「起きてもいない事を私のせいにするわけ?」
「え?」
「うん百年前の飢饉? 疫病? 天候不順? 大規模火災? 大津波? 財政難、は管理してる王都側の問題だしな。まあともかく魔女の怒りって真実だと思ってるわけ?」
「そ、そうだろう!? 何が違うというんだ!」
「天候不順ってさ、十年サイクルで大体パターンがあるんだよ。これ気象学の話ね。当然天候不順が起これば作物がとれなくなって飢饉が訪れるよね。それに対して策を講じてなければ当然多くの民が死ぬわけ。疫病は不衛生が元で起こるものが多かったよね。事実今現在では流行りの気配もないものばかりじゃん。火災も天候から説明つくし、歴史上捕らえられた放火犯は魔法使いの祖の一族じゃなかったし。大津波も海底地盤の地震から発生するもので、地震自体もある程度のサイクルで起きている事が分かってるよね」
ここに来てディエゴのおばあちゃんに感謝だ。ありとあらゆる可能性への話が頭に入っていたおかげで今推理もの解決編の如く、ペッラペラにお話しできてる。勉強というのは捨てたものじゃない。
すると騎士の影で怯えていたお姫様(仮)が震えながら叫んできた。
「あ、貴方たちが操っているんでしょう?! 今回もそうなんだわ!」
「御令嬢、人を操る魔法がないこと事知ってますよね?」
「ち、ちが」
「違わない。禁止書籍の中にも人を意のままする魔法はないよ」
魂をどうにかするとかそういうものはあるくせに、人を操る魔法はなかった。故意に消された可能性もあるけど。
「あ、貴方たちは使えるんだわ! だって魔法使いの祖だもの!」
「なんでも出来るパワーワードじゃないからね、それ」
確かの生き残りはチートでなんでも出来る系だったけど、少なくとも私とオリアーナは違う。私はちょっと人より丈夫なスーパーマンだけど、決して魔法で秀でてるわけではない。あ、魔力は有り余ってるんだっけ。伏せとこ。
「ええいうるさい! この魔女め!」
「ええ……」
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