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28話 嫌な男との邂逅
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ご飯を食べ終わり、いつものように図書館に行く流れをいつも通りエールがついてくる。
少し一人で考えたいところではある。でも無理だろう。監視の任務はまだあったとしても、今は好意で側にいたがっているのもあるから離れる選択肢はないはず。
死亡フラグに好かれるってどういうことだろう。修正力のねじれでも起きてる、とか……そしたら早急に手を打たないとやばめね。
「わぷっ」
「!」
「あ、すみませ……げ」
「なんだ、お前は」
あああああ接触してはならないキャラが間近にいる! 油断した! 角を曲がってぶつかるなんて昭和の漫画でしかありえないやつじゃん!
「も、申し訳ございませ、っん!」
すっと間にエールが入ってくれた。壁ができて顔を合わせる必要がなくなる。
柄にもなく安心してしまった。
「大変失礼を致しました。ウニバーシタス帝国第一皇子殿下」
「お前、コロルベーマヌの……」
「おや、私を御存知とは大変光栄です。マーロン侯爵家、第二継承者のエクシピートルと申します」
「はっ、次男か」
あー変わらないなあこの高飛車感! 自分がナンバーワンなやつ! 掌で転がす分には楽勝なんだけど、今は本当関わりたくない。
この学院では護衛と称した同年の学友二人がいつも一緒にいるけど、なんで運悪く本人にぶつかるのかしら。困ったものね。護衛が間に入ってくれればよかったのに。
「殿下、お怪我は」
「ふん。なんともないが」
「おい、お前。第一皇太子殿下になんたる無礼を」
護衛の一人が踏み込んでくるのをエールがさらに庇ってくれる。思わず両手で彼の背中に触れてしまった。けどエールは何も言わないし反応しない。
てかこの男、デビュタントを迎えていないのに自分のことを皇太子と呼ばせているの? さすがとしか言いようのない自信家だこと。
「お待ち下さい。確かにこちらの不注意ではありますが、決して殿下を害するつもりはなかったのです」
「なんだと、そんなわけ」
「いい」
「殿下?」
エールの身体から少し顔を出して第一皇子を見ると相変わらずの見下した笑顔でいた。こいつの性根は学院に通っても変わらないのね。
「マーロン侯爵家の次男と一緒にいる平民の女だろ? 高貴な帝国の継承者である皇太子の俺に近づきたく殊勝に小賢しく近づいてきただけだ」
許してやろう。
あくまで上から目線で言ってくる。
どうやら私がエールと共に研修生一号として帝国を行き来しているのが気に食わないらしい。帝国に取り入ろうとする卑しい平民として認識されているようだ。そしてその研修で適性がないと気づかされた愚かな私は何故か皇子に近づくという考えに至ったらしい。
そこまでストーリー脳内で作り上げたの? 小説家にでもなればいいんじゃない?
第一皇子は馬鹿な人だと思っていたけど、本当に馬鹿……いや妄想力がずば抜けているというべき? まあ勝手に話が進んで愉快だわ。何を聞かくなくてもよく喋る。
「俺に取り入って妃の座でもと画策したのだろう」
それは小説の本編で無事完遂したネタね。ちょろいって言葉はこの男の為にある言葉だと思う。
「お前など妾であっても願い下げだがな。卑しい身の上の挙句性根も意地汚い。そんな者と関わるなど皇族の名に傷がつく」
そうであるとありがたいですわーと思ったのも束の間、間に入ってくれていたエールが短く息を飲んだ。初めて見た。この人怒ってるんだわ。
でもだめだ。ここでいざこざを起こすのは得策とは言えない。
彼の服をきゅっと掴むとエールの身体が僅かに震えた。すっと肩の力が抜けて、いつもの落ち着いた雰囲気を見せる。さすがエール、どんな時も冷静になれるのは素晴らしいことだわ。
「ふん、いくぞ」
なにも言わなくなった私とエールに飽きたのか、二人の護衛を連れて第一皇子が去って行った。
「フラル、怪我は」
「大丈夫。ありがとね」
こちらを向いたエールはいつも通りだった。確かに怒っていたはずなのに、どこにもその気配が残っていない。
先程のことがなかったかのように図書館への道のりを歩く。
「ねえ、さっき怒ってた?」
「……恥ずかしい話ですが」
「なんで?」
困った顔をした。あんな嫌味な男を前にして怒らない方が不思議ってものよ。エールだって次男がと見下されたわけだし、小説の中でだってあの男は全く評判よくなかったもの。
図書館の奥のよく使う場所を陣取った。あまり人も通らない位置だから難しい話もしやすい。
「フラルを悪く言ってきたので」
「あの人はあれが通常運行でしょ」
「フラルが極端に意識してるのもあって、一瞬彼とフラルが結婚した姿を想像して嫉妬しました」
「するわけない」
本編ではしたよ! まあ書類通ってなくて未遂みたいな感じだったけど。
にしてもなにか見えてた? ってぐらい感がいい。小説読んだの? ってレベルよ。
妄想だけでそこまで到達しないだろうしね。
「そうですね。何故そんなことを考えてしまったのか、その未来を一瞬でもあり得ると思ってしまったのが許せなくて」
あーなんでこの人こんな弱弱しい顔するのよ。
確かに第一皇子は死亡フラグの最たるキャラだから結構意識してたのはあるけど、だからといって好きになるなんてことはない。話すらもしたくないし。
「さっきエール庇ってくれたでしょ」
「ええ」
「すごく助かった」
「そうであれば嬉しいです」
だめだ。落ち込んだまま中々復活してくれない。この人、自分が怒りに身を任せたのが許せないんだわ。
格好悪いとでも思ったの? 私たちはデビュタントを迎えていてない十代の子供なんだから、感情に振り回されることだってあると思うんだけど。
「あー……エール、学祭なんだけど」
「え? ああ、はい」
「一緒に回らない?」
「え?」
「……だから一緒に見て回らないって……その、さっきのお礼」
「……は、はい! ぜひ!」
よかった。うまいこと誤魔化せたみたい。
落ち着いたエールと一緒に変わらない図書館での勉強会をして見送ってもらって別れることができた。まあ学祭はこの際楽しむことにしよう。
少し一人で考えたいところではある。でも無理だろう。監視の任務はまだあったとしても、今は好意で側にいたがっているのもあるから離れる選択肢はないはず。
死亡フラグに好かれるってどういうことだろう。修正力のねじれでも起きてる、とか……そしたら早急に手を打たないとやばめね。
「わぷっ」
「!」
「あ、すみませ……げ」
「なんだ、お前は」
あああああ接触してはならないキャラが間近にいる! 油断した! 角を曲がってぶつかるなんて昭和の漫画でしかありえないやつじゃん!
「も、申し訳ございませ、っん!」
すっと間にエールが入ってくれた。壁ができて顔を合わせる必要がなくなる。
柄にもなく安心してしまった。
「大変失礼を致しました。ウニバーシタス帝国第一皇子殿下」
「お前、コロルベーマヌの……」
「おや、私を御存知とは大変光栄です。マーロン侯爵家、第二継承者のエクシピートルと申します」
「はっ、次男か」
あー変わらないなあこの高飛車感! 自分がナンバーワンなやつ! 掌で転がす分には楽勝なんだけど、今は本当関わりたくない。
この学院では護衛と称した同年の学友二人がいつも一緒にいるけど、なんで運悪く本人にぶつかるのかしら。困ったものね。護衛が間に入ってくれればよかったのに。
「殿下、お怪我は」
「ふん。なんともないが」
「おい、お前。第一皇太子殿下になんたる無礼を」
護衛の一人が踏み込んでくるのをエールがさらに庇ってくれる。思わず両手で彼の背中に触れてしまった。けどエールは何も言わないし反応しない。
てかこの男、デビュタントを迎えていないのに自分のことを皇太子と呼ばせているの? さすがとしか言いようのない自信家だこと。
「お待ち下さい。確かにこちらの不注意ではありますが、決して殿下を害するつもりはなかったのです」
「なんだと、そんなわけ」
「いい」
「殿下?」
エールの身体から少し顔を出して第一皇子を見ると相変わらずの見下した笑顔でいた。こいつの性根は学院に通っても変わらないのね。
「マーロン侯爵家の次男と一緒にいる平民の女だろ? 高貴な帝国の継承者である皇太子の俺に近づきたく殊勝に小賢しく近づいてきただけだ」
許してやろう。
あくまで上から目線で言ってくる。
どうやら私がエールと共に研修生一号として帝国を行き来しているのが気に食わないらしい。帝国に取り入ろうとする卑しい平民として認識されているようだ。そしてその研修で適性がないと気づかされた愚かな私は何故か皇子に近づくという考えに至ったらしい。
そこまでストーリー脳内で作り上げたの? 小説家にでもなればいいんじゃない?
第一皇子は馬鹿な人だと思っていたけど、本当に馬鹿……いや妄想力がずば抜けているというべき? まあ勝手に話が進んで愉快だわ。何を聞かくなくてもよく喋る。
「俺に取り入って妃の座でもと画策したのだろう」
それは小説の本編で無事完遂したネタね。ちょろいって言葉はこの男の為にある言葉だと思う。
「お前など妾であっても願い下げだがな。卑しい身の上の挙句性根も意地汚い。そんな者と関わるなど皇族の名に傷がつく」
そうであるとありがたいですわーと思ったのも束の間、間に入ってくれていたエールが短く息を飲んだ。初めて見た。この人怒ってるんだわ。
でもだめだ。ここでいざこざを起こすのは得策とは言えない。
彼の服をきゅっと掴むとエールの身体が僅かに震えた。すっと肩の力が抜けて、いつもの落ち着いた雰囲気を見せる。さすがエール、どんな時も冷静になれるのは素晴らしいことだわ。
「ふん、いくぞ」
なにも言わなくなった私とエールに飽きたのか、二人の護衛を連れて第一皇子が去って行った。
「フラル、怪我は」
「大丈夫。ありがとね」
こちらを向いたエールはいつも通りだった。確かに怒っていたはずなのに、どこにもその気配が残っていない。
先程のことがなかったかのように図書館への道のりを歩く。
「ねえ、さっき怒ってた?」
「……恥ずかしい話ですが」
「なんで?」
困った顔をした。あんな嫌味な男を前にして怒らない方が不思議ってものよ。エールだって次男がと見下されたわけだし、小説の中でだってあの男は全く評判よくなかったもの。
図書館の奥のよく使う場所を陣取った。あまり人も通らない位置だから難しい話もしやすい。
「フラルを悪く言ってきたので」
「あの人はあれが通常運行でしょ」
「フラルが極端に意識してるのもあって、一瞬彼とフラルが結婚した姿を想像して嫉妬しました」
「するわけない」
本編ではしたよ! まあ書類通ってなくて未遂みたいな感じだったけど。
にしてもなにか見えてた? ってぐらい感がいい。小説読んだの? ってレベルよ。
妄想だけでそこまで到達しないだろうしね。
「そうですね。何故そんなことを考えてしまったのか、その未来を一瞬でもあり得ると思ってしまったのが許せなくて」
あーなんでこの人こんな弱弱しい顔するのよ。
確かに第一皇子は死亡フラグの最たるキャラだから結構意識してたのはあるけど、だからといって好きになるなんてことはない。話すらもしたくないし。
「さっきエール庇ってくれたでしょ」
「ええ」
「すごく助かった」
「そうであれば嬉しいです」
だめだ。落ち込んだまま中々復活してくれない。この人、自分が怒りに身を任せたのが許せないんだわ。
格好悪いとでも思ったの? 私たちはデビュタントを迎えていてない十代の子供なんだから、感情に振り回されることだってあると思うんだけど。
「あー……エール、学祭なんだけど」
「え? ああ、はい」
「一緒に回らない?」
「え?」
「……だから一緒に見て回らないって……その、さっきのお礼」
「……は、はい! ぜひ!」
よかった。うまいこと誤魔化せたみたい。
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