30 / 198
魔法学園編
ハーベスト祭
しおりを挟む
新学期が始まると学園は一層賑やかになった。
それはどうやら帰省していただけでなく、収穫祭が近いためであった。
「ハーベスト祭?何をやるの、シャーロット?」
「マヤ、あなたねぇ、三年目なのに何寝ぼけたこと言っているの?」
「ごめん、一昨年も去年も勉強と鍛錬で精一杯だったから」
「全く。ハーベスト祭は豊穣の女神様の加護に感謝して美味しいご馳走を食べるの。それからモルックっていうゲームをしたり、バザーを開いたり……あ、あとお世話になった人にお菓子とお花を贈るわね」
「お菓子とお花を?」
「そう。だから今お菓子屋さんとお花屋さんは大盛況。人気のお店は予約でいっぱいよ」
そうなんだと納得する私にシャーロットはこっそりと悪戯っぽく微笑んだ。
ハーベスト祭当日、学園はお祭り騒ぎだった。
生徒じゃない人物もたくさんいるようで、人探しには骨が折れた。
しかし、私にはキラキラオーラの気配を感じ取ることができた。
そこで初めに見つけたのはデヴィンだった。
女子の先輩たちに囲まれたデヴィンに声をかけるのには少し勇気が必要だった。
「デヴィン君!」
「マヤ先輩。すみません、先輩方少し失礼します」
デヴィンは取り巻きに断って私の方に歩いてきてくれた。
「どうしたんですか?」
「はい、これ。デヴィン君にはとってもお世話になったから。洋服ありがとう!」
それじゃあと私は人ごみの中に突入していった。
遠くでデヴィンが呼ぶ声がしたが気のせいだろう。
続いて道場には変わらずエヴァンが鍛錬をしていた。
「エヴァン君、今少しいい?」
エヴァンが肩に大太刀を背負いなおして、こちらに出入り口までやってきた。
「どうした?」
「はい、これ。エヴァン君にとっても素敵な場所教えてくれたからお礼!」
それじゃあと私は急いで道場を後にした。
エヴァンがなんとも形容しがたい表情で見つめていたことにも気づかなかった。
リアンの気配もいつも通り図書室にあった。
私は静かに入室してリアンに声をかけた。
「リアン先輩、お話しても大丈夫ですか?」
「どうしたんだい、マヤ君」
本から顔を上げたリアンが不思議そうな顔をして見上げてくる。
「はい、これ。先日はお家に呼んでいただいてありがとうございました」
それじゃあと私は図書室を辞した。
リアンが呼び止めようとしたが図書室だったことで躊躇したことには気が回らなかった。
そして難関はライアンだった。
生徒会長であり、学園の人気者であるライアンには常時周りに人がいた。
仕方なく私はモルックの表彰式のためにグラウンドに来るライアンを待ち伏せた。
幸運なことにちょうど、一人で歩いていた。
「ライアン様、忙しいところすみません!」
「マヤ殿か。一体何かな?」
柔和な笑みを浮かべてライアンは足を止める。
「はい、これ。コンサートありがとうございました」
それじゃあと私はグラウンドと逆方向に走り出した。
受け取ったライアンが驚いて手を伸ばしたのも見えなかった。
私は召喚の間に向かった。
校内に見当たらなかったので多分いると思うのだが、私は扉をノックした。
どうぞという声で開けるとイーサン先生が魔法陣を描いている最中だった。
「イーサン先生、今大丈夫ですか?」
「クラキか……一体どうしたのかな?」
「はい、これ。いつも授業を教えてくれているお礼です!」
それじゃあと私は魔法陣の内容が気になりながらも召喚の間を立ち去った。
イーサン先生がくすりと笑ったことも私は知らなかった。
その後、夕食のご馳走をたっぷりと食べた私は自室に戻ってシャーロットに近づいた。
「シャーロット」
「マヤ、どうしたの?」
「はい、これ。いつも私にいろんなこと教えてくれてありがとう」
「……あたしに? もしかしてマヤこれ、いろんな人に配ったりした?」
うんと私は元気よく頷いた。
「今日は忙しかったからもう寝るね! おやすみ、シャーロット」
私はベッドに入ると穏やかな眠りについた。
シャーロットは手の中の手作りと思われるおいしそうなお菓子と鮮やかな色紙で折られた花を見ていた。
「これって本当は意中の異性にあげるものなのよ、マヤ……」
今日、一体何人の男子が犠牲になったのだろうか。
シャーロットは心の中で深く陳謝した。
それはどうやら帰省していただけでなく、収穫祭が近いためであった。
「ハーベスト祭?何をやるの、シャーロット?」
「マヤ、あなたねぇ、三年目なのに何寝ぼけたこと言っているの?」
「ごめん、一昨年も去年も勉強と鍛錬で精一杯だったから」
「全く。ハーベスト祭は豊穣の女神様の加護に感謝して美味しいご馳走を食べるの。それからモルックっていうゲームをしたり、バザーを開いたり……あ、あとお世話になった人にお菓子とお花を贈るわね」
「お菓子とお花を?」
「そう。だから今お菓子屋さんとお花屋さんは大盛況。人気のお店は予約でいっぱいよ」
そうなんだと納得する私にシャーロットはこっそりと悪戯っぽく微笑んだ。
ハーベスト祭当日、学園はお祭り騒ぎだった。
生徒じゃない人物もたくさんいるようで、人探しには骨が折れた。
しかし、私にはキラキラオーラの気配を感じ取ることができた。
そこで初めに見つけたのはデヴィンだった。
女子の先輩たちに囲まれたデヴィンに声をかけるのには少し勇気が必要だった。
「デヴィン君!」
「マヤ先輩。すみません、先輩方少し失礼します」
デヴィンは取り巻きに断って私の方に歩いてきてくれた。
「どうしたんですか?」
「はい、これ。デヴィン君にはとってもお世話になったから。洋服ありがとう!」
それじゃあと私は人ごみの中に突入していった。
遠くでデヴィンが呼ぶ声がしたが気のせいだろう。
続いて道場には変わらずエヴァンが鍛錬をしていた。
「エヴァン君、今少しいい?」
エヴァンが肩に大太刀を背負いなおして、こちらに出入り口までやってきた。
「どうした?」
「はい、これ。エヴァン君にとっても素敵な場所教えてくれたからお礼!」
それじゃあと私は急いで道場を後にした。
エヴァンがなんとも形容しがたい表情で見つめていたことにも気づかなかった。
リアンの気配もいつも通り図書室にあった。
私は静かに入室してリアンに声をかけた。
「リアン先輩、お話しても大丈夫ですか?」
「どうしたんだい、マヤ君」
本から顔を上げたリアンが不思議そうな顔をして見上げてくる。
「はい、これ。先日はお家に呼んでいただいてありがとうございました」
それじゃあと私は図書室を辞した。
リアンが呼び止めようとしたが図書室だったことで躊躇したことには気が回らなかった。
そして難関はライアンだった。
生徒会長であり、学園の人気者であるライアンには常時周りに人がいた。
仕方なく私はモルックの表彰式のためにグラウンドに来るライアンを待ち伏せた。
幸運なことにちょうど、一人で歩いていた。
「ライアン様、忙しいところすみません!」
「マヤ殿か。一体何かな?」
柔和な笑みを浮かべてライアンは足を止める。
「はい、これ。コンサートありがとうございました」
それじゃあと私はグラウンドと逆方向に走り出した。
受け取ったライアンが驚いて手を伸ばしたのも見えなかった。
私は召喚の間に向かった。
校内に見当たらなかったので多分いると思うのだが、私は扉をノックした。
どうぞという声で開けるとイーサン先生が魔法陣を描いている最中だった。
「イーサン先生、今大丈夫ですか?」
「クラキか……一体どうしたのかな?」
「はい、これ。いつも授業を教えてくれているお礼です!」
それじゃあと私は魔法陣の内容が気になりながらも召喚の間を立ち去った。
イーサン先生がくすりと笑ったことも私は知らなかった。
その後、夕食のご馳走をたっぷりと食べた私は自室に戻ってシャーロットに近づいた。
「シャーロット」
「マヤ、どうしたの?」
「はい、これ。いつも私にいろんなこと教えてくれてありがとう」
「……あたしに? もしかしてマヤこれ、いろんな人に配ったりした?」
うんと私は元気よく頷いた。
「今日は忙しかったからもう寝るね! おやすみ、シャーロット」
私はベッドに入ると穏やかな眠りについた。
シャーロットは手の中の手作りと思われるおいしそうなお菓子と鮮やかな色紙で折られた花を見ていた。
「これって本当は意中の異性にあげるものなのよ、マヤ……」
今日、一体何人の男子が犠牲になったのだろうか。
シャーロットは心の中で深く陳謝した。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる