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大陸放浪編
英雄の回想~大嵐~
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ペネロペ都市国家に着くととりあえず、乗って来た船を換金した。
残念ながら、この先船を使う予定はない。
おれの巧みな話術と交渉術でヨットは無事金貨へと替わった。
マヤと軽口を叩きながら、ゴンドラに乗って大使館へと向かう。
リアンといういかにも貴族らしい痩せた男はいきなりマヤにハグをした。
それを見て、おれはなんとなくむっとする。
とりあえず、二週間の船旅はそれなりに疲れた。
案内された客室でおれは真水で身体を清め、ひと眠りすることにした。
やがて、夕食の時間になり起こされた。
リアンとマヤは何やら楽しそうに歓談している。
リアンは堅物そうなのに、マヤを前にすると優し気な雰囲気に変わる。
マヤもリアンの話に夢中になっている。
おれはというとお偉いさんたちに失礼にならない程度に適当に話を合わせていた。
話が途切れた折に大使がリアンとマヤに声をかけた。
「まさか救国の聖女がこんなにも美しい女性だったとは、真面目一辺倒のリアン参事官が魅了されても仕方ない」
その言葉に照れるリアンを見て、場は笑いに包まれる。
おれは薄笑いを浮かべるしかなかった。
翌朝、空の色を見たおれは窓を開けて風の音色を聞いた。
その音色を聞いて、苦々しい気持ちになる。
出発するべきか、それとも避難すべきか、あるいは……おれは判断できずにいた。
一応荷物をまとめて応接室で待機することにした。
空を睨んで悩んでいるおれの額に急に温かな手のひらが当てられる。
「あ?! 何するんだよ?」
「いえ、ご病気かなと思って」
マヤの手の温もりが額に残る。
それにしてものんきなもんである。
おれの勘が正しければ、もうそろそろ連絡が入るはずだ。
リアンが入室してきた直後、それはやってきた。
「観測士から各行政に伝令が! 大型の嵐が急速に接近中。ペネロペ都市国家の中心部に直撃するとの予測です」
どうやら、状況はあまり良くないようだ。
おれはどうしたもんかと悩んだ結果、一時避難するのが一番安全だという結論に達した。
あれをやるにはリスクが高過ぎるし、今の時点で早急に避難すれば犠牲も被害も小さくて済むだろう。
だというのにマヤがまた面倒なことを言い出した。
「私は救助が必要になった場合に備えてここに残ります」
おれは説得を試みたがマヤの決意は強固だった。
「人が救えるなら私はやります!目の前のたかだか数人を救えなくて、どうして西大陸の人々が救えますか?貴方にとっては無意味で無価値で愚かな行動に見えても、私は自分のできることを精一杯やります」
おいおい、あんたが死んだらもっと多くの人間に被害が出るかもしれないんだぞ。
おれはその言葉をぐっと飲みこんで、根負けした。
頭をくしゃくしゃとかきむしると気合を入れた。
「それじゃあ、軽く一国救ってやるか」
置いて行きたかったが、マヤが頑なに付いてくると主張し、また目を離すと何をしでかすかわからなかったので連れて行くことにした。
マヤの駆る翼をもつ金色の獅子に乗りながら、おれは遠い日のことを思い出した。
母さんが呼び出した魔獣に乗せてもらった幼い頃の思い出。
おっと、そんなことを考えている場合じゃなかった。
風は強度を増し、マヤは吹き飛ばされないように必死で魔獣にしがみついている。
おれは風魔法を詠唱した。
風が穏やかに頬を撫でる。
マヤが驚いた顔をしておれの顔を見る。いくらいい男だからと言って、このタイミングで見惚れてもらったら困る。
おれたちは優しい風に守られながら豪雨と雷が轟く嵐の中心へとやってきた。
おれは極大魔法を使用し、嵐のエネルギーを吸収しようとした。剣を媒介して身体に入ってくる大自然の猛烈で暴力的な力に流石のおれでも苦しくなってきた。
遠くでマヤの声が聞こえる。
おれは精一杯強がって笑ってみせた。
その結果、嵐はおれに屈服した。
だが、おれも疲労困憊だ。
嵐よ、痛み分けってことにしてやろう。
偉大な自然に敬意を示しておれは微笑んだ。
おれは細いマヤの身体にしがみつきながら地上へと戻った。
港に着くと大勢の人間がいた。
おいおい、この非常事態にこんな危険な地域にいるとは危機管理はどうなってるんだ。
マヤがおれの心配をして、どこかに連れて行こうとしている。
そんなこと、いいんだよ。
それより空を見てくれ。
「おれが作ったんだぜ……綺麗だろ?」
水平線に大きな虹がかかっていた。
国を救ったついでに、こんなもんまで作ってしまう、
おれってやっぱり天才だな。
そう思って目を閉じた。
残念ながら、この先船を使う予定はない。
おれの巧みな話術と交渉術でヨットは無事金貨へと替わった。
マヤと軽口を叩きながら、ゴンドラに乗って大使館へと向かう。
リアンといういかにも貴族らしい痩せた男はいきなりマヤにハグをした。
それを見て、おれはなんとなくむっとする。
とりあえず、二週間の船旅はそれなりに疲れた。
案内された客室でおれは真水で身体を清め、ひと眠りすることにした。
やがて、夕食の時間になり起こされた。
リアンとマヤは何やら楽しそうに歓談している。
リアンは堅物そうなのに、マヤを前にすると優し気な雰囲気に変わる。
マヤもリアンの話に夢中になっている。
おれはというとお偉いさんたちに失礼にならない程度に適当に話を合わせていた。
話が途切れた折に大使がリアンとマヤに声をかけた。
「まさか救国の聖女がこんなにも美しい女性だったとは、真面目一辺倒のリアン参事官が魅了されても仕方ない」
その言葉に照れるリアンを見て、場は笑いに包まれる。
おれは薄笑いを浮かべるしかなかった。
翌朝、空の色を見たおれは窓を開けて風の音色を聞いた。
その音色を聞いて、苦々しい気持ちになる。
出発するべきか、それとも避難すべきか、あるいは……おれは判断できずにいた。
一応荷物をまとめて応接室で待機することにした。
空を睨んで悩んでいるおれの額に急に温かな手のひらが当てられる。
「あ?! 何するんだよ?」
「いえ、ご病気かなと思って」
マヤの手の温もりが額に残る。
それにしてものんきなもんである。
おれの勘が正しければ、もうそろそろ連絡が入るはずだ。
リアンが入室してきた直後、それはやってきた。
「観測士から各行政に伝令が! 大型の嵐が急速に接近中。ペネロペ都市国家の中心部に直撃するとの予測です」
どうやら、状況はあまり良くないようだ。
おれはどうしたもんかと悩んだ結果、一時避難するのが一番安全だという結論に達した。
あれをやるにはリスクが高過ぎるし、今の時点で早急に避難すれば犠牲も被害も小さくて済むだろう。
だというのにマヤがまた面倒なことを言い出した。
「私は救助が必要になった場合に備えてここに残ります」
おれは説得を試みたがマヤの決意は強固だった。
「人が救えるなら私はやります!目の前のたかだか数人を救えなくて、どうして西大陸の人々が救えますか?貴方にとっては無意味で無価値で愚かな行動に見えても、私は自分のできることを精一杯やります」
おいおい、あんたが死んだらもっと多くの人間に被害が出るかもしれないんだぞ。
おれはその言葉をぐっと飲みこんで、根負けした。
頭をくしゃくしゃとかきむしると気合を入れた。
「それじゃあ、軽く一国救ってやるか」
置いて行きたかったが、マヤが頑なに付いてくると主張し、また目を離すと何をしでかすかわからなかったので連れて行くことにした。
マヤの駆る翼をもつ金色の獅子に乗りながら、おれは遠い日のことを思い出した。
母さんが呼び出した魔獣に乗せてもらった幼い頃の思い出。
おっと、そんなことを考えている場合じゃなかった。
風は強度を増し、マヤは吹き飛ばされないように必死で魔獣にしがみついている。
おれは風魔法を詠唱した。
風が穏やかに頬を撫でる。
マヤが驚いた顔をしておれの顔を見る。いくらいい男だからと言って、このタイミングで見惚れてもらったら困る。
おれたちは優しい風に守られながら豪雨と雷が轟く嵐の中心へとやってきた。
おれは極大魔法を使用し、嵐のエネルギーを吸収しようとした。剣を媒介して身体に入ってくる大自然の猛烈で暴力的な力に流石のおれでも苦しくなってきた。
遠くでマヤの声が聞こえる。
おれは精一杯強がって笑ってみせた。
その結果、嵐はおれに屈服した。
だが、おれも疲労困憊だ。
嵐よ、痛み分けってことにしてやろう。
偉大な自然に敬意を示しておれは微笑んだ。
おれは細いマヤの身体にしがみつきながら地上へと戻った。
港に着くと大勢の人間がいた。
おいおい、この非常事態にこんな危険な地域にいるとは危機管理はどうなってるんだ。
マヤがおれの心配をして、どこかに連れて行こうとしている。
そんなこと、いいんだよ。
それより空を見てくれ。
「おれが作ったんだぜ……綺麗だろ?」
水平線に大きな虹がかかっていた。
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おれってやっぱり天才だな。
そう思って目を閉じた。
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