最強の聖女は恋を知らない

三ツ矢

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大陸放浪編

世界樹〜本当の恋を〜

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それからひと月の間、療養とリハビリを行った。

最初はまともに食事を摂ることも難しかった。

足はやはり麻痺していて、誰かに介助してもらわなければ立つこともままならなかった。



そして鏡を見て驚いた。

髪は真っ白になり、瞳はあの妖精の森のような深緑に変わっていた。



そんなある日、王宮の庭園にライアンと散歩に来ていた。

サクラの花が満開に咲いていた。

私は車椅子に乗って、その美しさに見惚れた。



「マヤ、約束を覚えているかな? 再びこのサクラの木の下で会おうと言った日のことを」

「もちろんです。カンパニュラのオルゴールを手渡して……眠っている間もどこかで聞いていた気がします」

「マヤ、俺はやっと貴方の前に立つことができる。この三年間、ずっと貴方を待ち続けていた。今なら、俺の言葉に頷いてくれるだろうか?」



ライアンは跪いて小箱を開け、指輪を取り出した。



「そんな、ライアン様。私はもう以前の私ではありません。身体も満足に動かせない、ただの人間です……どうか、王国のためになる方と……」

「国のことなど今は関係ない。俺はずっと貴方を愛していた。魔法で心を変えられたこともあった。貴方を傷つけたこともあった。けれど、本当の心はいつも貴方にあった。俺が道に迷ったとき、いつも貴方のことを想った。貴方という存在が俺の道しるべであり、眠っている間も貴方に恥じない人間であろうと思った。俺を支えてくれる最大の存在だ。俺はとても自分勝手で、わがままなんだ。手に入れたいと思ったものは、絶対に手に入れる。それは貴方だけだ。だからどうか受け取ってほしい。俺の傍にずっと一緒にいてくれ」

「……良いんですか? 何の力も無く、歩くこともできない、髪も真っ白で異邦人の私で?」

「貴方だから良い。貴方以外ではダメなんだ」



私は手をそっと差し出した。その左手の薬指に指輪が嵌められる。



「ありがとう、マヤ。必ず、幸せにする」

「ライアン様……」

「ライアン、と呼んでくれ」

「ライアン……貴方のために軸になって世界を守ろうと思ったときから、ずっと、待っていた。貴方が私を救い出してくれることを」

「俺も待っていた。学生時代から、貴方の目が覚めるまで」

「私、恋が何か知らなかった。でも、今わかった。この気持ちが恋ならば、ずっと前から私の心は決まっていた」



ライアンは私にキスをした。優しく甘いキスだった。



「貴方は本当に鈍感で無頓着で無防備で、俺はずっと気が気じゃなかった……でも、やっと貴方を手に入れた。もう二度とこの手を離したりしない。愛しているよ、マヤ」



私たちは固く抱き合った。

懐かしいジャスミンの香りがする。



愛する人と心を交わすことがこんなに幸福だと知らなかった。

世界が鮮やかに輝き、花は咲き誇り、鳥が春を祝福して歌っている。



私は最後にやっと恋を知った。

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