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新たな出会いたち

手加減知らず/圧巻の会場

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まず、あたりが一瞬無音になる。そしてその瞬間、けたたましい轟音と共に衝撃波があたりを吹き飛ばす。



「うっ…わ!」



慌てて結界を張る。しかし…

ピシッ!



「え~!結界にヒビ!?」



とっさに何重にも結界を張り、結局衝撃波が収まったのは50枚の結界を壊してからだった。



「…これ、死んでる…?」



と見てみると、それを食らった男は白目どころか標本のように目を見開き、全身激しく痙攣しながらもなんとか生きていた。

というのも彼、アカマルはMAMだけは異常に高かったらしく、ここまで滅多打ちにされたのは初めてだったらしい。



「うん、まあ生きてるから大丈夫っしょ!多分…」



まあこの時点ではそんなこと知らなかったから当然、鬼のように怖かったが。



「あの…お嬢さん?大丈夫かな?」

「え?あ、はい…」



との一言を聞いて俺はホッとして



「ならよかった。気をつけなよ。あと、今度何かあったらこれ使って」



と言って、俺の魔力が籠ったお守りを渡す。



「これは…?」

「これでまたなんかあったらこれ使いな。3回だけ君を守ってくれるから。助けてって念じれば使えるようしといたからさ」



ふ…決まった…。

とはいえここらを壊しすぎたので簡易的に直して、その場を立ち去った。



さて…入学試験といきますかね~。







同刻・魔法学校



「いや~いよいよですね!」

「ああ、今回はどんな優秀な生徒が来るのやら…。新たな伝説が始まるぞ」

「あはは、それ去年も言ってましたよね」

「まあ、事実だから仕方あるまい」



と話す中年男性とスラッとした若い男性。

この二人はメルケータ建国立魔法学校の理事長と新入生主任の「アルメル・ナヴィーナス」と「ユウキ・カゲウチ」である。



ユウキ・カゲウチは3年前転生してきた純日本人で、メルケータ建国に「ワショク」という食文化をもたらしたちょっとした有名人だ。

アルメル・ナヴィーナスはかつて世界に光をもたらしたと言われる神話の神賢者のアルメルから取ってるらしい。名に恥じぬ功績者で、10年前からメルケータの理事長を担っている。



そんなふたりは魔法に関しては見るも放つも一流で、生徒の魔法を一目で良し悪しを見定めることができる。

そんな二人だからこそ価値観が合うのだろうか?二人はよく一緒にいるところを目撃されてる。



そんな二人が話してたその瞬間だった。



何かが猛スピードで地面に不時着でもしたかのようなけたたましい轟音がしたかとおもえばその魔法を包み込む何重もの結界を見つけたのだ。

そしてそれは…



「あれ…」

「ああ…信じがたいが、同じ魔法の使用者が結界を張っている…」



普通に考えてそんなことしたら魔力枯渇でぶっ倒れてしまうが…。



「なぜ未だに結界が張られ続けてるのだ?」

「未知数の何かが起きたと思うしか…無いんじゃないでしょうか…」



未知数のなにか。それは恐怖となんら変わりはなかった。











「…にしても…やりすぎたな…」



少し反省する。苛ついたとはいえあれは誰がどう見たってやりすぎだ。全知全能を使っていたとはいえ、結界50枚って…普通ならまず抑えきれてないぞ…。

と、してもだ。



「あのエルフと獣族のハーフの子。可愛かったな~」



と、今一度あの子を思い浮かべる。

パタパタとさせてた猫耳。エルフ特有の真っ白の肌。スラッとした容姿に加えてあの猫の尻尾だ。

あれが可愛く見えない人がいるのならばあってみたいほどだ。



「名前聞いとけばよかったかな~」



何を今更って話だ。こんな俺がワンチャンあるわけ…



「…ありそうな位かっこいいからな…」



客観的に自分を見れる俺から見てもかなりのイケメンだ。

おそらくこれまでの人生でトップ3には入るぐらいイケメンじゃなかろうか。



「…惚れたりしてくれてたり…?」



な~んて淡い期待と変な妄想をしながら会場に足を進めるのだった。





「……………」





ってな感じで。

着きました!ここがメルケータ学校入学試験会場でございます!

おお~…改めて見ると本当実力者ばっかだな~。



MATK80超えのやつもいればMATK100なんてのも。

みんな素質があることは関心関心。



俺の基礎値はあれ以来見ていないから、何レベかとか全くわかってない。まあ、他のやつとか水晶には俺が見せていいって指定した基礎値やスキルしか見えないけども。



「よし、集まったな?コホン。この僕が君たちの主任となるカゲウチだ。え~まず、わかってると思うが、この中にいる10万の内、合格通知が来るのは20%。つまり2万人のみが、このメルケータに入学できる」



正直、20%に入るのは余裕なのだが、あまりやりすぎると返って変に待遇されたりするしな~。

ま、テキトーにやるかな~。



「ではまず水晶検定を始める!それぞれ配られた紙に書いてある会場に迎え!」



そういうとカゲウチは胸に手を押し当てて



「健闘を祈る」



と新入生に活をいれたのだった。
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