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記憶迴
明かした事実と夢見た未来
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はぁ…はぁ…
「あの裏神…今までとは桁が違う…。このままじゃ…」
血が流れる腕を押さえながらそうつぶやく。
「わかったかい?君らは僕の前では無力。いわばクズ同然だ。そんな下等種がたてついたとこで、結局は全員冥界送り…」
う…このままじゃ…。
「誰が下等種だって?」
声がした。その先には鳳凰を彷彿とさせる式神を従えた黄色の眼差しがあった。
ああ、本当にいたんだ…あれは伝説の…。
「覇眼の…軌跡」
いつか出会うその人を、私は先に夢見ていた。
「え?記憶を消した成分が分かった!?」
「ええ、その成分を、サントメモリーと名付けました。このサントメモリーを体内に入れると脳の奥の奥の奥の奥の奥にしまいこんだ嫌な思い出を引き出します。それも、いっぺんに。しかし、それだけでは記憶は消えませんが、どうやら小さい頃のトラウマがよほど大きかったんでしょうな…」
朝一にこの話はきつかったが、礼人を助けられる手がかりになるなら、そんな話は苦じゃなかった。
「その成分は何からとれるの?」
「それが…あの果実からしか取れないのですよ」
え…?
「それって…」
いやな憶測がよぎる。
「その記憶を消した者は、怪夢とやらの仲間の可能性がありますな」
確証はないと分かっててもやはり嫌だ。とは言え、それ以上の憶測はないし、それが一番納得いく考えだった。
でも…
「だったら、あいつらはもっとでかい集団なのかな…」
「もしかしたら、大企業の可能性もありますぞ。大きな会社を作り、そこで手下を集めてるなんてことも…」
「いやいや、流石にそんなこと…」
「続いてのニュースです。昨晩、大手企業のT商事に怪しい人物が出入りしていたという通報がありました。これに対しの警備を厳重化し、次は捕まえると、犯人に告げてました。目撃されたのは…」
と、何気ないニュースの傍ら、犯人の姿が映し出されていた。
「え?」
その幼い姿。黒く包まれた邪悪な服装。紛れもない、あの少年だった。
「ねえ、あそこの会社って、何作ってたっけ…」
「た、たしか、魔法の果実とやらを作ってるとの報道を見た気が…」
あまりにも唐突に、この物語は展開を進めるのだった。
「え?出かける?一体どこに?」
朝早く、そんなことを言われた。
「うん。ちょっと東京にさ」
んんんんんんんんん?
あまりの事に脳内はこんなになった。
「と、東京に?しかも突然?」
「ええ、だから、ちょっとついてきてほしいの」
「え?なんで?」
「あんたがいないと私たちもいざって時に守れないから」
な…なるほど?
「わかった…」
と、そんなめちゃくちゃな理由で…
「ほ、ほんとに来ちゃった…」
でかいビル。映し出されるニュース。あり得ないほどの交通量。その何もかもに魅了されてしまった。
「さて、私たちが行くのはあそこよ」
と、回りと比べると少し小さいビルを指さした。
「あそこが例の会社のビル。二~三日はあそこを見張る予定だから、よろしくね!礼人」
と、とても断る雰囲気ではない中で言われてしまったため、「う、うん」と応えるしかなかった。
どうやら、僕らは「もってる」らしい。
まさか、ここから物語がこう動くなんて。きっと誰も思わなかった。
「あの裏神…今までとは桁が違う…。このままじゃ…」
血が流れる腕を押さえながらそうつぶやく。
「わかったかい?君らは僕の前では無力。いわばクズ同然だ。そんな下等種がたてついたとこで、結局は全員冥界送り…」
う…このままじゃ…。
「誰が下等種だって?」
声がした。その先には鳳凰を彷彿とさせる式神を従えた黄色の眼差しがあった。
ああ、本当にいたんだ…あれは伝説の…。
「覇眼の…軌跡」
いつか出会うその人を、私は先に夢見ていた。
「え?記憶を消した成分が分かった!?」
「ええ、その成分を、サントメモリーと名付けました。このサントメモリーを体内に入れると脳の奥の奥の奥の奥の奥にしまいこんだ嫌な思い出を引き出します。それも、いっぺんに。しかし、それだけでは記憶は消えませんが、どうやら小さい頃のトラウマがよほど大きかったんでしょうな…」
朝一にこの話はきつかったが、礼人を助けられる手がかりになるなら、そんな話は苦じゃなかった。
「その成分は何からとれるの?」
「それが…あの果実からしか取れないのですよ」
え…?
「それって…」
いやな憶測がよぎる。
「その記憶を消した者は、怪夢とやらの仲間の可能性がありますな」
確証はないと分かっててもやはり嫌だ。とは言え、それ以上の憶測はないし、それが一番納得いく考えだった。
でも…
「だったら、あいつらはもっとでかい集団なのかな…」
「もしかしたら、大企業の可能性もありますぞ。大きな会社を作り、そこで手下を集めてるなんてことも…」
「いやいや、流石にそんなこと…」
「続いてのニュースです。昨晩、大手企業のT商事に怪しい人物が出入りしていたという通報がありました。これに対しの警備を厳重化し、次は捕まえると、犯人に告げてました。目撃されたのは…」
と、何気ないニュースの傍ら、犯人の姿が映し出されていた。
「え?」
その幼い姿。黒く包まれた邪悪な服装。紛れもない、あの少年だった。
「ねえ、あそこの会社って、何作ってたっけ…」
「た、たしか、魔法の果実とやらを作ってるとの報道を見た気が…」
あまりにも唐突に、この物語は展開を進めるのだった。
「え?出かける?一体どこに?」
朝早く、そんなことを言われた。
「うん。ちょっと東京にさ」
んんんんんんんんん?
あまりの事に脳内はこんなになった。
「と、東京に?しかも突然?」
「ええ、だから、ちょっとついてきてほしいの」
「え?なんで?」
「あんたがいないと私たちもいざって時に守れないから」
な…なるほど?
「わかった…」
と、そんなめちゃくちゃな理由で…
「ほ、ほんとに来ちゃった…」
でかいビル。映し出されるニュース。あり得ないほどの交通量。その何もかもに魅了されてしまった。
「さて、私たちが行くのはあそこよ」
と、回りと比べると少し小さいビルを指さした。
「あそこが例の会社のビル。二~三日はあそこを見張る予定だから、よろしくね!礼人」
と、とても断る雰囲気ではない中で言われてしまったため、「う、うん」と応えるしかなかった。
どうやら、僕らは「もってる」らしい。
まさか、ここから物語がこう動くなんて。きっと誰も思わなかった。
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