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第1章 黒猫の友人
お茶会2
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もしも、もしも、もしも。
その言葉が絶える事は無かった。
いや、これからも絶える事は無いだろう。
もしも罪の子で無ければ。
幸せに生きていると自信を持って言えるだろう。
「心当たりあるの?」
刻がそう問いかけた。
グラスは一呼吸おいた後、首を縦に振ってみせると辺りを窺う仕草をした。
ここは三人しか立ち入れなかった場所。
他人がいないことを確認し扉に鍵を掛けた後、グラスはぽつりぽつりと語り始めた。
「昔・・・私がギルマスに拾われる前、施設にいた時の話です。ある人の日記を何処かで拝見した事がある覚えがあります」
リヒトだけが首を傾げた。
刻の脳裏には優達に話した記憶の片隅に置かれた日記が思い浮かぶ。
「罪の子はこの国ではあまり知られてはいないですが・・・私や刻さんのように他国出身の人間には身近な存在です」
国王は異国文化が好きであり、それ故に他国の人間を積極的に国に受け入れている。
昔の街並みと現代の機器。
混じり合ったおかしな国には様々な人間が溢れていた。
「罪の子は古くから存在する子供達の事です。その子供は通常の人間よりも不幸である変わりに強力な力を得ていると言われています」
「世界一不幸な世界に愛された子供って言われてるよね」
刻の言葉にグラスは頷き、更に話を進める。
「他人からは蔑まれ、世界からは扱いきれない能力を渡された、まさに不幸な子供です。また、罪の子は自身では能力に耐えきれなくなるため大人になる前に大抵は死んでしまうと言われています」
「十代になれる子供の方が珍しいんじゃない?」
「・・・その話を信じるとするなら犯人は子供だ。ソラス様と何の関係がある?」
主人の身の潔白を証明するべくリヒトは刻に声を張り上げた。
「だから言ったでしょ、ソラスと師匠が罪の子を探っているって」
「それなら話は早い、二人は罪の子という犯人に辿り着いている!罪の子が危険だから二人は内密に探っている!これで説明がつくだろ!?」
「・・・罪の子っていうキーワード。二人はどこで知ったか気にならないの?」
捲したてるように話していたリヒトは、刻の言葉に息を飲んだ。
ソラスもレトロもこの国出身だと聞かされており、この国では罪の子という言葉をリヒトの能力でさえ拾わないほど、罪の子の認知度は低かった。
「誰かが教えたとしたら・・・」
「ソラスはルークスのギルドマスターであり議会の議長です。そんな人間に近づける人なんて限られているのでしょう?」
ソラスと個人的な面会が許されているのはルークスのサブマスであるリヒト、友人であるレトロ、そして国王、その三人であるのを知っていた。
知っていたからこそ、リヒトの口からは何も言葉が出てこなかった。
グラスは静かに立ち上がると部屋を出ていこうと鍵に手をかけた。
「このことは三人の秘密。議会にもそれぞれのギルマスにも」
二人が頷くことは無かったが、それでも了承せざるおえないことはわかっていた。
扉が閉まる音がした時グラスはもうそこにいなかった。
「ショックなのはわかるよ。自分のギルマスが犯人と繋がってるかもしれないんだしね。けど悠長なことを言っていると俺たちが先に殺られる」
リヒトの目は刻を見ることなく床に落とされたままだった。
刻はリヒト見下ろすように立ち上がると、「お茶会ありがとう」と告げると扉へ足を向けた。
すれ違いざまにリヒトの声がふと耳に入った。
「俺はどうすればいい・・・」
消えいりそうな声が響いた。
刻はリヒトのソファに座りこんだ、丸まった背中を横目で見た。
「大事な物を決めないとそれすら失う事になるかもしれないよ。これから始まろうとしているのはそういうことだから」
刻の言葉は異常なまでにリヒトの心に突き刺さる。
額に拳をあてたリヒト。
刻が扉を閉じる瞬間小さな返事を聞いた気がした。
その言葉が絶える事は無かった。
いや、これからも絶える事は無いだろう。
もしも罪の子で無ければ。
幸せに生きていると自信を持って言えるだろう。
「心当たりあるの?」
刻がそう問いかけた。
グラスは一呼吸おいた後、首を縦に振ってみせると辺りを窺う仕草をした。
ここは三人しか立ち入れなかった場所。
他人がいないことを確認し扉に鍵を掛けた後、グラスはぽつりぽつりと語り始めた。
「昔・・・私がギルマスに拾われる前、施設にいた時の話です。ある人の日記を何処かで拝見した事がある覚えがあります」
リヒトだけが首を傾げた。
刻の脳裏には優達に話した記憶の片隅に置かれた日記が思い浮かぶ。
「罪の子はこの国ではあまり知られてはいないですが・・・私や刻さんのように他国出身の人間には身近な存在です」
国王は異国文化が好きであり、それ故に他国の人間を積極的に国に受け入れている。
昔の街並みと現代の機器。
混じり合ったおかしな国には様々な人間が溢れていた。
「罪の子は古くから存在する子供達の事です。その子供は通常の人間よりも不幸である変わりに強力な力を得ていると言われています」
「世界一不幸な世界に愛された子供って言われてるよね」
刻の言葉にグラスは頷き、更に話を進める。
「他人からは蔑まれ、世界からは扱いきれない能力を渡された、まさに不幸な子供です。また、罪の子は自身では能力に耐えきれなくなるため大人になる前に大抵は死んでしまうと言われています」
「十代になれる子供の方が珍しいんじゃない?」
「・・・その話を信じるとするなら犯人は子供だ。ソラス様と何の関係がある?」
主人の身の潔白を証明するべくリヒトは刻に声を張り上げた。
「だから言ったでしょ、ソラスと師匠が罪の子を探っているって」
「それなら話は早い、二人は罪の子という犯人に辿り着いている!罪の子が危険だから二人は内密に探っている!これで説明がつくだろ!?」
「・・・罪の子っていうキーワード。二人はどこで知ったか気にならないの?」
捲したてるように話していたリヒトは、刻の言葉に息を飲んだ。
ソラスもレトロもこの国出身だと聞かされており、この国では罪の子という言葉をリヒトの能力でさえ拾わないほど、罪の子の認知度は低かった。
「誰かが教えたとしたら・・・」
「ソラスはルークスのギルドマスターであり議会の議長です。そんな人間に近づける人なんて限られているのでしょう?」
ソラスと個人的な面会が許されているのはルークスのサブマスであるリヒト、友人であるレトロ、そして国王、その三人であるのを知っていた。
知っていたからこそ、リヒトの口からは何も言葉が出てこなかった。
グラスは静かに立ち上がると部屋を出ていこうと鍵に手をかけた。
「このことは三人の秘密。議会にもそれぞれのギルマスにも」
二人が頷くことは無かったが、それでも了承せざるおえないことはわかっていた。
扉が閉まる音がした時グラスはもうそこにいなかった。
「ショックなのはわかるよ。自分のギルマスが犯人と繋がってるかもしれないんだしね。けど悠長なことを言っていると俺たちが先に殺られる」
リヒトの目は刻を見ることなく床に落とされたままだった。
刻はリヒト見下ろすように立ち上がると、「お茶会ありがとう」と告げると扉へ足を向けた。
すれ違いざまにリヒトの声がふと耳に入った。
「俺はどうすればいい・・・」
消えいりそうな声が響いた。
刻はリヒトのソファに座りこんだ、丸まった背中を横目で見た。
「大事な物を決めないとそれすら失う事になるかもしれないよ。これから始まろうとしているのはそういうことだから」
刻の言葉は異常なまでにリヒトの心に突き刺さる。
額に拳をあてたリヒト。
刻が扉を閉じる瞬間小さな返事を聞いた気がした。
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