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第22話 幸せな時間 *

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上空から彼女を見つけた時はどうしようもなく目を奪われた。

 ……彼女だ!!

 心が踊った、彼女以外にあり得ない。

 クラロ殿に話を聞くつもりだった…が、まさか娘の方だったとは思いもしなかった。

 ……彼女はアンジュだ!!

 今すぐにでも舞い降り、抱きしめたい衝動に駆られてしまう。
 だが…違ったら?

 ……彼女はアンジュだ!

 魂がそう叫ぶが、心は彼女じゃないかもしれないと恐怖する。

 俺は覚悟を決めて舞い降り、声をかける。

 「クラロ殿はご在宅だろうか?」

 魔法で薬草に水を撒いていた彼女が振り返る。

 その瞳に目を奪われた…

 ……アンジュ!!

 彼女の瞳が驚きに揺れている。

 ……あぁ、アンジュに違いない

 顔も髪も何もかも違うはずなのに、その瞳の色と困惑した時の表情。

 ……いつも俺はこんな顔をさせていたな

 困惑する彼女の魔法が乱れ、その事に気付いた時には遅かった。
 大量の水を頭から被ってしまった…不覚だ、彼女の瞳に魅入られてしまった。

 「きゃあ~!!ごめんなさい!!」

 ……あぁ、可愛いな

 我に返り、慌てふためく彼女をただ見つめていた。

 彼女の声に本当なら初めに会うはずだったクラロ殿が笑いながらやって来て、謝罪しながら服を乾かしていく。

 うっかりしていた。
 彼女に見惚れて乾かすのを忘れていた。

 「感謝する」

 クラロ殿にお礼を言い、工房へと案内された。

 逃げるように走っていく彼女を見つめ、その頬が赤く染まっているのに気付いてしまうと、どうしようもなく愛おしくなる。

 お茶と菓子を持って戻った彼女は平然としていて、さっきのような顔を見たいと思ってしまった。

 ……これは、ラシャナとよく食べていたな

 やっぱり彼女はアンジュだ。
 俺がよく食べていたのを覚えていて、出したのだろうと思うのは自惚れだろうか?

 「アンジーが作ったのよ!美味しいでしょ?」

 そう言うクラロ殿に便乗して、菓子を理由に俺は彼女に愛を囁く

 「あぁ、好きだな…」

 ねっとりと彼女を見つめてそう言えば、彼女が泣きそうな表情で頬を染める。

 ……可愛いな、その顔が見たかった。

 途端に逃げようとする彼女をクラロ殿が絶妙なタイミングで呼び止める。

 「…待って?」

 「なっなに?」

 「アンジー、顔が真っ赤よ?」

 思わず笑ってしまった。
 クラロ殿は最高だな、彼女が隠しようもないくらいに瞳を潤ませて赤く染まっている。

 「しっ失礼します!」

 そう言って逃げようとする癖に、しっかりと俺を見ていくのだな。
 俺はそれに答えるように微笑んだつもりだ。

 「可愛いな…」

 出ていった彼女が愛おしく、口から出てしまったようだ。

 「そうでしょう!私の自慢の娘よ?…お嫁にどう?」

 「それはいいな。…是非、妻に迎えたい」

 クラロ殿は軽い気持ちで言ったのかもしれないが、俺は真剣に応えたつもりだ。

 そんな俺にクラロ殿はとても喜んでいるように思えた。

 それからクラロ殿から小鳥についての話を聞き、彼女…アンジーを大切に守ると確約した。

 なぜこんなにも協力的なのだろうか?
 お婆様と知り合いのようだからその辺のこともあるのだろうか?
 記憶にあるお婆様はその…芯の通った怒ると怖い人だった。

 何処か懐かしそうに俺を見る目が、お婆様に似ている。
 お婆様も小鳥だったからか?

 まぁ、そんなことはどうでもいい。
 クラロ殿からの了承は得た。
 後はアンジーを口説くだけだ。

 「アンジーは部屋にいるはずよ?」

 その言葉通り彼女は自室にいた。




 扉をノックする音に、私はヒスイが帰ったのだと勝手に思い込み、何も考えずに扉を開けた。

 ……なっ!!なんでぇ~!!!!

 目の前にヒスイがいる。

 「あなたと少し話がしたい。中に入れてくれないか?」

 「えっ?はっはい!」

 招き入れるとヒスイが扉を閉める音がした。
 しまった…二人っきり!?

 ヒスイはクスリと笑って私に近付いてくる。

 「不用心だな、男と二人になれば何をされるかわからないぞ?…それとも信用してくれているのか?」

 ジリジリと詰め寄られ、頬をさらりと撫でられた。

 ……うきゃー!!ヒスイだぁ~!!

 「えっ!?…その…あの…お茶を用意してきます!!」

 「いい、飲んだところだ」

 そう言いながら私を壁へと追いやる。

 「あっあの…母にはお城で働くように頼みに来たんですか!?」

 ……あ~そういう話も来ていたのか。ちょうどいい、そう言うことにしておくか?

 「あぁ、それもあるが…アンジー君に逢いに来た」

 ……会いに来た?私に?…なっなんで?私がアンジュだって分かってないよね?今日初めて会ったよね?

 分からない、なんでこんな事になっているのか。
 ヒスイはきらきらスマイルで、私の腰を抱き寄せ、彼が話すたび吐息がかかって唇が触れそうになってしまう。

 「あっあの!!私になんの用が!?」

 私の方からキスしてしまいそうな衝動に駆られてしまい、慌てて押し退けるとヒスイはまた、熱い視線を送ってくる。

 ……やっやめてぇ~!!

 ヒスイは私の前に膝を付くと、手に口付けて私を見つめる。

 「俺の妻になってほしい。…結婚しようアンジー」

 ……えっ?えっ?ええぇぇぇ~!!!!

 なんで?どうして?会ったばかりよね?
 混乱する頭には疑問符がいっぱいで…なのに嬉しくて仕方がない私がいる。

 ……見つけてくれた?

 「泣くなアンジー」

 「えっ?」

 立ち上がったヒスイは涙を拭い、私を胸に抱く。

 「泣くほど嫌か?それとも泣くほど嬉しいのか?」

 ……嬉しい…でも…ヒスイは、アンジーのことが好きなの?…なんで…なんで私なの?五年も経っているのよ?誰でも良かったんじゃないの?

 応えられず、ただヒスイの胸で泣く私を抱きしめてくれるヒスイ。

 ……仕方ないな。

 ヒスイがフッと笑った気がした。

 「…アンジュ、俺の可愛い小鳥。…返事は?」

 「なっ…なんでぇ…」

 ……ヒスイ私がアンジュだって知ってる!…私を見つけてくれた!!

 ぐしゃぐしゃの顔を上げると、しょうがないなと言いたげな顔で私を見ている。

 「俺が間違えるはずないだろう?」

 そう言って私の目尻にキスを落とす。

 「ヒ…スイ…逢いたかったよぉ~」

 「アンジュ…俺はお前を失って気が狂いそうだったよ」

 「ごめ…なさ、い…わたし…あの時…」

 「いい、謝るな。俺が悪いんだ…すまなかった。…その、…俺と来てくれるか?…もう一度妻になってほしい。いや、…違うな。俺をお前の伴侶にしてくれ」

 「ふっ…ふふふ」

 ……ヒスイが反省してる。私に自分の気持ちを伝えようとしてくれてる。

 その事が嬉しくて、魂が五年も眠っていたのも悪くはないかもと思ってしまう。

 「アンジュ?…いや、アンジーか?」

……どっち?私は…

私はもうアンジーとして生きている。

 「うん、私はアンジーだよ。ヒスイ…私を連れて帰ってくれる?見た目もだいぶ違うけど、それでもいい?」

 「お前がどんな姿になろうとも、俺はお前だけを見つける。アンジー、愛しているのはお前だけだ」

 「ヒスイ…」

 今度は嬉しくて涙が零れた。

 「触れてもいいか?」

 さっきから結構ベタベタと触ってる気がするけど、ヒスイにしては遠慮している方なのは分かってる。

 「…うん」

 私が微笑むとヒスイはようやく欲しくて仕方のなかった唇を重ね合わせた。

 「んっ…ぅんん…」

 ……ちょっ…待って~!!

 顔を真っ赤に染め上げて、抗議するように睨めば、ヒスイは子犬のような表情をする。

 「…嫌か?」

 「…激しい…初心者なんだからもう少し軽いのにしてほしい…です」

 ヒスイとのキスは覚えている。
 頭では覚えているけど、この体では初めて得る感覚に戸惑ってしまう。

 「善処する…」

 そう言って再び唇を重ねたヒスイは、やっぱり濃厚で…そのまま情事が始まってしまうんじゃないかというくらいハードで濃厚だった。

 ……手加減してよ~!!!!






 それから私は母に眠っていた間、ヒスイの妻だったことその時に出来た息子がいることを話した。

 けど…話した時の母が、変わらず嬉しそうにあらあら言っているのはどうかと思ったものなのだけど…

 「その理由が分かった気がした…」

 目線の先には、皇帝陛下とヒスイが母とお茶を飲んでいる姿。

 ……娘を売ったわね!!

 初代様の面影を残す二人に囲まれて、幸せなそうな母に苦笑するしかなかった…

 「…かあ、さま?…ですか?」

 振り返ると美しく成長したラシャナの隣に、小さな男の子が立っている。

 「シャルト!!」

 私が駆け寄って抱きしめると、シャルトは声をしゃくり上げて泣き出した。

 「かあさま…かあさまぁ!!!!」

 「ごめんね!ごめんねシャルト…寂しい思いさせてごめんね!会いに行けなくてごめんね!これからはずっと一緒だからね」

 「ほん、とう…か…本当に…ずっと一緒か?」

 「うん。もう絶対に離さないからね」

 「良かったなシャルト」

 顔を上げると、いつのまにか皇帝から逃げ出したヒスイが、シャルトの頭を撫でていた。

 「とうさま…最高の誕生日プレゼントになったぞ!」

 「そうだな。少し遅れたがな?」

 「そんなことは構わない!」

 父親にたいして偉そうなのはさすがヒスイの息子と言ったところか?
 父と子のやり取りに笑って、私はラシャナに手招きする。

 「ラシャナ!」

 「おっ…おねぇしゃまぁ~!!」

 「ラシャナもごめんね…」

 「いいのです~帰ってきてくれてありがとう…おねぇさまの姿が変わってしまっても…おねぇさまはおねぇさまですわぁ!!!!うえ~ん!!!!」

 「ラシャナは綺麗になったね」

 泣きつくラシャナとシャルトを撫でながら、控えていたシアンとミリタリーにもお礼と謝罪をした。

 「シャルトを育ててくれてありがとう。沢山迷惑かけてごめんね。心配かけてごめんね」

 「いいえ、いいえ。アンジュ様がご無事ならそれで構わないのです!詳しいことは存じ上げません、アンジュ様の今のお姿のことも…それでも、言わせてくださいませ、お帰りなさいアンジュ様!!」

 「そうです!!アンジュ様の居なくなったラシャナ様達のことを思うと…本当にお帰りいただいて良かったです!!」

 「うん、ただいま。それと、私はもうアンジーよ、これからはアンジーって呼んでね?」

 「心得ました、アンジー様!」

「なら、アンジュ様同盟もアンジー様同盟ですか?」

「なによそれぇ~まだあったの?」

私の声に皆が笑う。 

 四人に抱きしめられて私はやっとここに帰れたんだと思った。

 そんな様子を皇帝陛下と母は微笑ましく眺めていて、ヒスイはそろそろ私から離れてくれないだろうかと苦笑していた。

 「オーレオ様、あなたは行かないの?」

 「私があれをしたら、ヒスイと后妃に殺されるよ…」

 「あらあら」





 ……それから半年後。

 今日、私とヒスイの結婚式が行われる。
 本当は一年後だった結婚式を、ヒスイがごり押しで半年にした。

 迷惑だったのは準備する方、ヒスイに言われて皇帝にまで言われて、全てが急ピッチで進められた。
 それでも誰も文句言わなかったのは、氷のように冷たくなっていたヒスイが笑っていたからである。

 ……帰ってから、色んな人に泣いてお礼を言われた

 そして、私は純白のドレスに、背には真っ白な翼を出してヒスイの隣にいる。
 そのヒスイも背から翼を出していて、私を擽るように羽を震わせている。

 「アンジュ…愛してる」

 「私もヒスイを愛してるわ」

 沢山のお祝いしてくれる人達に誓って、決して女神なんかには愛は誓わない!!
 けれど…一応感謝はしてる…ヒスイと出会わせてくれてありがとう。

 そして、驚いたことにヒスイが今の今まで私に手を出さなかった。
 まぁ、キスくらいはするけど、抱いたりはしない。

 時々、物凄く葛藤している様子が見られたけど、私は見て見ぬふりをしてあげた。

 今回の結婚式もそうだけど、以前の私に出来なかったことをするのだと頑張ってくれたようだ。

 そんなヒスイの変わりように私はくすぐったくて仕方がない。

 式もパーティーも無事に終わって、後はヒスイにとっては待ちに待った大本番?
 私にとっては覚悟の時。

 ベッドに押し倒された私は、ヒスイの口付けに必死に応えていた。

 「はぁ…ヒスイ…あの…ね」

 ナイトドレスに手を掛け、ゆっくりと私の肌を味わっていくヒスイに、私の体はびくびくと震えた。

 ……どうしよう~ブスって挿されたら!!

 私の頭の中は、結構失礼なことを考えていた。
 でも、前科があるから仕方がないのかもしれない。
 今の私は正真正銘…処女なのよ。

 初夜なのに、情事に集中できないでいると、胸にピリリと刺激が走った。

 「んっ!」

 ヒスイの舌が胸の頂をコロコロと転がし、甘噛する。
 指が秘部に触れ、ゆるゆるとなぞられる。
 それだけで、初めての快感に泣きそうになってしまう。

 「ひ、すいぃ…おねが…ぅあん…」

 「アンジュ…大丈夫だ」

 「んん…ぅん」

 ヒスイは不安がる私に口付けて、指を蜜壺へと押し進める。

 「ひっ…あ…」

 「…辛いか?」

 私が首を振ると、ゆっくりゆっくりと中を押し広げ、指を二本三本と増やしていく。
 もう、それだけで息も絶え絶えな私にヒスイは自身を押し当てて、ゆっくりと入ってくる。

 「いっ…た…ぁ」

 「大丈夫か?少し休むか?」

 ……ヒスイが優しい…いつもガツガツしてるのに

 「ううん…いい、から…来て?」

 ゆっくりと入ってきていたモノが、壁に当たった…ヒスイは強く押し入り、突き破ると激痛が走って私は悲鳴をあげた。

 「きゃあぁぁ!!!!」

 ボロボロと落ちる涙をヒスイが舐めて、私を宥めてくれる。

 そっと私の腹部に触れると癒しの魔法をかけてくれて、痛みが引いていった。

 「少しはマシか?」

 「うん…ありがとう」

 「まだ辛いと思うが少し耐えてくれ。…俺が限界だ」

 「んっ…いいよ」

 まだ快楽を捉えることのできない私はヒスイの動きに苦しくて仕方がない。
 ちょっとだけ思った。

 ……体は前のままの方が良かったかも~!!

 頭が快楽を記憶しているだけに、今の状況はちょっと辛い…

 ヒスイが私の中のある一点を突くと、体が大きく反応した。
 それを見逃さず、ヒスイはそこばかりを狙って突いてくる。

 「ひっ…ぁあ…ひすいっ…そこ…やぁ」

 「…はっ…はぁ…気持ちいいか?」

 「わかんな…でも…なんか…こわい…」

 「大丈夫…だ…怖く、ない…」

 どんどん上り詰めていくヒスイの動きに最後が近いのだと思った。
 そして、私の体も少しずつ感度を捉えだし、初めての快感にわけがわからなくなる。

 「んっ…あっあぁー!!!!」

 「クゥ…ふっ…はぁ…」

 私の中に温かなものが注がれて、ヒスイが果てたことを理解した。
 ぐったりとした体は眠ろうと意識が遠退いていく。

 「はぁ…アンジー…愛してる」

 眠る私に口付けてヒスイは私の体を抱きしめながら癒しの魔法を使った。






私が戻ってから、色んな人達に説明するのが面倒だった。
ヒスイの右腕として働いているカーマインにはこれでもか!というくらいに嫌味を言われ、元老院には本当に小鳥なのかと問い詰められ、それが本当だと分かると城から出られないようにするべきだ!という声が上がって、冷や汗をかいた。

……城と言うなの鳥籠ですか!?

まぁ、ヒスイが一掃してくれたからいいんだけど。

お陰で今は自由に好きな所に行き来でき、空を自由に飛べる。
薬草求めて大移動した時は、ヒスイがすごい形相で追いかけてきたけれど…

「かあさま~!」

野菜が入ったカゴを抱えてそんな事を考えていると、シャルトが一生懸命走ってくる。

「どうしたのシャルト?」

「みなが変なのだ!」

「変?」

「みな、何かを隠しているのに聞いても教えてくれない!」

それについて心当たりのある私は、困ったように笑ってシャルトの頭を撫でた。

「気のせいじゃないの?皆忙しいだけよ?」

……忙しいのは本当。

「う~ん。忙しいだけなのか?」

シャルトはまだ納得していない様子。

「ほら、遊んでないでもうすぐ先生が来る時間よ?しっかり勉強してらっしゃい!」

「えぇ~!!…か、かあさまは何をしているのだ!」

「もう、かあさまは新鮮取れたてお野菜を運んでるんです!」

「そんなことを何故かあさまが?」

「あなたのお婆様が作ったお野菜ですよ?私以外に誰が取りに行くのです!」

お婆様っていうのはもちろん私の母、クラロお母さん。
元々土いじりの好きな人だから、今は薬草だけじゃなくて野菜も作っている。

「シアンとか…?」

「もう!シャルト!!早く部屋に戻りなさい!」 

逃げていく息子がいなくなったのを確認して、私は台所へと向かった。

台所では料理を作る人達が忙しく動き回っている。

「これで足りるかしら?」

「充分です!アンジー様、味を見ていただけますか?」

「えぇ、もちろん!だって今日はあの子の誕生日だもの!美味しいものを沢山作らなくっちゃ!」

そう!今日はシャルトの六歳の誕生日。
大きなパーティはまた今度するのだけれど、親しい人達だけで誕生日パーティをしたかったのよ!

今までお祝いしてあげられなかった分、かなり気合いが入っているつもり。

おそらく、シャルトの変!はこの準備でバタバタしているからだと思う。

……ないしょだもんね 

どんな顔をしてくれるのだろうと今から楽しみで仕方がない!

今日の料理のほとんどは私が作ったもの。
量があるから私一人でとはいかないけれど、日本料理を出来るだけ再現したつもりだ。
食べたことのない料理だから充分インパクトあるし、ビックリしてくれるでしょう!

「さぁ、もうすぐ時間よ!運べる物は順番に持って行きましょう!」

「アンジー様!私共がお運びいたしますから!!」

「いいのいいの!私がしたいんだから!」

全ての準備を終え、私とヒスイ、ラシャナとオーレオ陛下、クラロお母さんとシアンとミリタリーはシャルトの到着を待った。

しばらくして、扉がゆっくりと開いていきシャルトが現れる。

「シャルトお誕生日おめでとう!!」

「誕生日おめでとう!」

「シャルト様!おめでとうございます!!」

「おめでとう!シャルト」

部屋に入った途端に口々にお祝いを言われ、目の前のテーブルには見たこともない料理のご馳走。

「とうさま…かあさま、みんな…感謝するぞ!!」

偉そうなシャルトに私が吹き出すと、皆もつられて笑いだす。

この幸せな時間が私の居場所。

私はアンジーとして生きていく。
       
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