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第二章 クラスメイトは吸血鬼
3.僕と四姉妹と時々おっぱい③
しおりを挟むその後、僕達は人質になっている女性を警察に預けてから引き上げた。
彼女達は『エルダー』という宇宙人に拉致されるという謎事件の被害に遭い、心に深い傷を負っている。
さすがに監禁されてから時間が経ち過ぎており、飛鳥姉の魔法でも逆行させてなかったことにもできなかった。
警察に預ける対処が正しいのか首を傾げる僕であったが……華音姉さんが大きな胸を力強く叩く。
「大丈夫ですよ。あの人達は『結社』の息がかかっている人達ですから」
『結社』というのは、日本で起こっている超常現象を解決している組織のようだ。風夏が所属している『ユニオン』という超能力者の一味とは別物である。
華音姉さんも陰陽師として『結社』に在籍しており、近隣の町で心霊現象などが発生した場合には対処を依頼されるとのこと。
結社もエルダーや魔法少女については認知しており、何者なのか調査している最中なのだが……飛鳥姉がそれに関わっていることは、華音姉さんも報告していないようである。
結社からはそれとなく探りを入れられているようだが……退魔師という業界は秘密主義が原則。おまけに万年人手不足。
下手に探りを入れて華音姉さんが抜けられても困るらしく、そこまで深く追及はされていないらしい。
「ともかく……無事に問題が片付いて良かったよ」
日下部家に帰宅し、僕は安堵の溜息をついた。
幼い頃からこの家に入り浸っている僕であったが、最近は寝泊まりまでしており、完全に自宅と化している。
隣の八雲家に帰る時といえばマンガや着替えを取りに行くときか、両親と兄が眠っている仏壇に線香をあげる時くらいとなっていた。
「明日も学校だっていうのに、もう11時じゃないか。へとへとだよー」
「ん……疲れた」
嘆く僕の腕に美月ちゃんがしがみついてきた。
先ほどまではグラマーな美女の姿をしていた美月ちゃんだったが、すでに変身を解いて元の姿に戻っている。
今の美月ちゃんはツルペタロリの小学生。白い髪とやたらと整った相貌は目を引くものの、それ以外はただの子供と変わらない。
僕と美月ちゃんに続いて、華音姉さん、飛鳥姉、風夏も家に入ってくる。
みんな疲れた様子をしており、飛鳥姉などこれ見よがしに大きなアクビをしていた。
「ふあ~……眠た。もう夜中だし、さっさと寝ちゃおっかな?」
「姉さん、お風呂くらい入ったらどう?」
風夏がたしなめると、飛鳥姉はスニーカーをポイポイと脱ぎ捨てながら首を振る。
「んー……朝シャワー浴びるからいいや。魔法で返り血とかは落ちてるし、明日は大学の講義もサボっても問題ない教科ばっかりだし。あ、約束通りにユウが一緒に入ってくれるのなら、今から入ってもいいよん?」
「そんな約束してないだろ。捏造しないでよ」
半眼になって抗議すると、飛鳥姉は「ニヒヒヒ」と悪戯っぽく笑いながら階段を上がっていく。
「あっそ、だったらまた今度にしたげるよ。今日の御礼も兼ねて、たーぷりサービスしてあげるからねー」
「…………」
どんなサービスだよと詰め寄りたい気分だったが、隣の風夏の目がおっかなかったのでやめておく。僕もノロノロと靴を脱いで家に入った。
「それじゃあ、お夜食を作っちゃいますねー。弟くんは先にお風呂に入っていいですよ」
「先にって……僕は後でも構わないけど? 風夏も先に入りたいだろ?」
「……私は後でいい。それに……どうせ今日も一緒に入るんでしょ?」
「えーと……」
「ん、入る」
僕が言いよどんでいると、美月ちゃんが掌をギュッと握ってきた。
「今日もにーさまと入る」
「い、いや……美月ちゃんも来年から中学生だし、さすがに1人で入った方がよろしいのでは……」
「入る」
僕の意見を聞くことなく、美月ちゃんが腕を掴んでお風呂場まで引っ張っていく。
「ふふふ、2人とも仲良しさんですねー。お姉ちゃんは嬉しいです」
「フンだ! 勇治の変態。ロリコンスケベ男!」
お風呂場に向かう僕の背中に、そんな対照的な言葉が投げかけられる。
エルダーとの戦いが終わったかと思いきや、今度は美月ちゃんと一緒の入浴タイムが待ち構えていた。
ツルペタロリの刺客と理性との戦いが幕を開けたのである。
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