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第二章 クラスメイトは吸血鬼
30.そんな僕の修行回①
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「ハア、ハア、ハア……!」
「……お兄様、まだ続けるのですか?」
荒い呼吸を繰り返している僕に、美月ちゃんが気遣うように声をかけてきた。
いつもはツルペタロリ。無口でミステリアスな雰囲気を身にまとっている美月ちゃんであったが、現在は悪魔の姿に変身している。
ボン・キュッ・ボンのグラマラスな肢体を覆っているのは扇情的な下着のようなボンテージ。おまけに黒いムチまで持っており、どう見てもプロの『女王様』にしか見えなかった。
「このような無茶な修行をしていれば、身体を壊してしまいます。もうこれくらいにしておきませんか?」
「…………」
美月ちゃんの気遣いに対して、僕は無言である。
僕と美月ちゃんはとある場所で修業をしている最中だった。
先日、3つの怪物ギャングを巡る戦いの中で決定的な敗北を味わった僕は、改めて牙を研ぎ直すために修行に臨んでいた。
美月ちゃんに付き合ってもらったのは偶然。
異世界で入手したとあるアイテムを使って修行に出かける際、たまたま傍にいた美月ちゃんを巻き込んでしまったのである。
「いや……まだだ、続けてくれ。美月ちゃん」
「お兄様……」
「お願いだ、続けてくれ。必要なことなんだ」
「…………」
美月ちゃんは辛そうな顔をしながら……僕に向けて攻撃を仕掛けてくる。
「ヤアッ!」
「ッ……!」
美月ちゃんが振るったムチの攻撃を躱す。
ムチというのは武器として強いイメージはないが、それはSMなどの性的なイメージが濃いことが原因だろう。
ムチは本来、動物の調教に使用する道具であり、拷問や刑罰のための器具だった。
十分な遠心力が乗せられたムチは皮膚を剥ぎ、肉を削ぎ落とすほどの威力がある。
美月ちゃんのムチも玩具ではなく、彼女が悪魔として装備している武器だ。その気になれば岩盤を砕けるほどの攻撃力があった。
「くっ、ふっ、よっ……!」
僕は連続して振るわれるムチを身体を捻って回避していく。
縦横無尽に振るわれるムチは目で追えるような速度ではない。直感を頼りにして、どうにか躱していく。
「痛ッ……!」
それでも、避けきれなかったムチが身体に打ちつけられて出血する。
痛みを堪えながら……それでも、僕は「やめてくれ」とは言わなかった。
「来い! もっとだ! まだまだ僕はやれるぞ!」
そう……これは真剣な修行。勇者としての勘を取り戻すために必要な鍛錬である。
決してボンテージファッションの美月ちゃんとSMごっこをしているわけではない。
いや、本当に。勘違いされそうな状況だが断じて違う。
「強くなってやる……もっともっと、成長してやる!」
叫びながら振るわれたムチを蹴り落とす。
修行の中で何度もムチで打たれて傷を負っていたものの、えぐられた身体はすぐに回復していた。
その秘密はこの場所にある。ここは僕が異世界で入手したアイテムによって生み出された特殊空間であり、この中で負ったダメージは即座に回復するのだ。
さらにこの空間内は外と時間の流れが違っており、この中で1日過ごしても外では1分ほどしか経っていない。ドラゴン〇ールに出てくる修行場のようなところなのだ。
「この空間の中にいられるのは連続で一ヵ月だけ……その間に、一皮むけて成長してやる!」
魔王を倒した全盛期のように……ではない。
過去の自分は目標になど成りえない。
魔王を倒したときよりもさらに強くなってやる。もう誰も傷つけさせないために。
「うおおおおおおおおおおおっ!」
連続して振るわれるムチを拳で迎撃する。
手の皮が破けて血が飛び散るが、構わず叩いて叩いて叩きまくる。
「おおおおおおおおおおおおお……!」
数分か、あるいは数時間か。
時間の感覚がすっかりなくなった頃には、感じるよりも先に反射でムチを捌けるようになっていたのである。
「……お兄様、まだ続けるのですか?」
荒い呼吸を繰り返している僕に、美月ちゃんが気遣うように声をかけてきた。
いつもはツルペタロリ。無口でミステリアスな雰囲気を身にまとっている美月ちゃんであったが、現在は悪魔の姿に変身している。
ボン・キュッ・ボンのグラマラスな肢体を覆っているのは扇情的な下着のようなボンテージ。おまけに黒いムチまで持っており、どう見てもプロの『女王様』にしか見えなかった。
「このような無茶な修行をしていれば、身体を壊してしまいます。もうこれくらいにしておきませんか?」
「…………」
美月ちゃんの気遣いに対して、僕は無言である。
僕と美月ちゃんはとある場所で修業をしている最中だった。
先日、3つの怪物ギャングを巡る戦いの中で決定的な敗北を味わった僕は、改めて牙を研ぎ直すために修行に臨んでいた。
美月ちゃんに付き合ってもらったのは偶然。
異世界で入手したとあるアイテムを使って修行に出かける際、たまたま傍にいた美月ちゃんを巻き込んでしまったのである。
「いや……まだだ、続けてくれ。美月ちゃん」
「お兄様……」
「お願いだ、続けてくれ。必要なことなんだ」
「…………」
美月ちゃんは辛そうな顔をしながら……僕に向けて攻撃を仕掛けてくる。
「ヤアッ!」
「ッ……!」
美月ちゃんが振るったムチの攻撃を躱す。
ムチというのは武器として強いイメージはないが、それはSMなどの性的なイメージが濃いことが原因だろう。
ムチは本来、動物の調教に使用する道具であり、拷問や刑罰のための器具だった。
十分な遠心力が乗せられたムチは皮膚を剥ぎ、肉を削ぎ落とすほどの威力がある。
美月ちゃんのムチも玩具ではなく、彼女が悪魔として装備している武器だ。その気になれば岩盤を砕けるほどの攻撃力があった。
「くっ、ふっ、よっ……!」
僕は連続して振るわれるムチを身体を捻って回避していく。
縦横無尽に振るわれるムチは目で追えるような速度ではない。直感を頼りにして、どうにか躱していく。
「痛ッ……!」
それでも、避けきれなかったムチが身体に打ちつけられて出血する。
痛みを堪えながら……それでも、僕は「やめてくれ」とは言わなかった。
「来い! もっとだ! まだまだ僕はやれるぞ!」
そう……これは真剣な修行。勇者としての勘を取り戻すために必要な鍛錬である。
決してボンテージファッションの美月ちゃんとSMごっこをしているわけではない。
いや、本当に。勘違いされそうな状況だが断じて違う。
「強くなってやる……もっともっと、成長してやる!」
叫びながら振るわれたムチを蹴り落とす。
修行の中で何度もムチで打たれて傷を負っていたものの、えぐられた身体はすぐに回復していた。
その秘密はこの場所にある。ここは僕が異世界で入手したアイテムによって生み出された特殊空間であり、この中で負ったダメージは即座に回復するのだ。
さらにこの空間内は外と時間の流れが違っており、この中で1日過ごしても外では1分ほどしか経っていない。ドラゴン〇ールに出てくる修行場のようなところなのだ。
「この空間の中にいられるのは連続で一ヵ月だけ……その間に、一皮むけて成長してやる!」
魔王を倒した全盛期のように……ではない。
過去の自分は目標になど成りえない。
魔王を倒したときよりもさらに強くなってやる。もう誰も傷つけさせないために。
「うおおおおおおおおおおおっ!」
連続して振るわれるムチを拳で迎撃する。
手の皮が破けて血が飛び散るが、構わず叩いて叩いて叩きまくる。
「おおおおおおおおおおおおお……!」
数分か、あるいは数時間か。
時間の感覚がすっかりなくなった頃には、感じるよりも先に反射でムチを捌けるようになっていたのである。
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