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第二章 クラスメイトは吸血鬼
37.全裸で迎える大団円③
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突然の三人称かーらーのー、僕登場。
うん、意味が分からないね。
久しぶりに月白さんの顔を見たからだろうか……どうやら、ちょっとテンションが上がって混乱しているようだ。
「何者だ、貴様! 娘から離れろ!」
「そういうわけにはいかないね。少なくとも、貴方と話がつくまでは」
怒鳴ってくる和服の男性に肩をすくめて答える。
誰だか知らないが……娘とか言っていることだし、おそらくアレが月白さんの父親、吸血鬼ギャングのボスだろう。
「や、八雲君……?」
「うん。悪いんだけどちょっと黙っててくれるかな? 大丈夫、ちゃんと事情は説明するからさ」
自宅での私服なのだろうか……着物姿の月白さんに笑いかけると、彼女はわずかに顔を赤く染めた。
もしかして惚れちゃったのかと首を傾げるが、どうやら違うらしく細身の身体をモジモジさせている。
「ん……そ、それはわかりましたけど、この手はいったい……?」
「お?」
完全な無意識だったが……どうやら、僕の両手が抱き寄せた月白さんの身体を撫で回していたらしい。
和服に包まれたお尻を撫で撫でして、胸元に手を突っ込んでゴソゴソして……月白さんが必死な様子で僕の腕をつかんでセクハラを止めようとしている。
「ごめんごめん、ちょっと今はそういうモードに入っているから。仕様ってことで勘弁してもらえるかな?」
「も、モード?」
「うん、すぐに済むから、ちょっとだけ我慢していてくれ。天井のシミでも数えておいてくれると助かるよ」
「わ、わかりました?」
悪びれない謝罪に月白さんが疑問符で了承してくれるが、そんな僕達を見ていた父親の方は許してくれなかった。
顔を真っ赤にして、こちらに向けて怒鳴りつけてくる。
「貴様、娘から手を離せ! コラ、尻を撫で回すな。服の中に手を突っ込むな! いい加減にしろ殺すぞクソガキがああああああああああ!」
顔を真っ赤にした月白父は怒鳴り散らしながら、茶の間に飾ってあった日本刀を手に取って抜いている。
一触即発。娘さんが僕の腕の中にいなかったら、すぐにでも斬りかかってきていたことだろう。
「うっわ……銃刀法違反だよ。犯罪とかやめてもらいたいね」
「不法侵入して娘に痴漢をしている男が言うな! 娘を人質にして、ナニをするつもりだ!?」
「人質って……あー、やっぱりそう見えるのかな?」
「あっ」
僕は苦笑しながら、敵意がないことをアピールするように月白さんの尻を優しく撫でた。
もしも僕が敵だったら、こんなもので済むわけがない。
そんなアピールをしてみたが、それは逆効果だったようで月白父はますます顔を赤くさせる。
「許さん……本気で許さん。殺す、絶対に殺す。殺して海に沈めてやるぞ……!」
「えーと、興奮しているところを申し訳ないんですけど、僕の話を聞いてくれませんか? 平和のための話し合いがしたいんですが……」
「平和のためだと!? 娘を人質にとっておいて、貴様と何を話せと言うのだ!」
「いやいや、話すのは僕とじゃない。この人達とだよ」
僕が軽く手を掲げると、そこから太い触手が生えてきた。
「ぬうっ……!?」
「キャアッ!?」
突然の出来事に2人が声を上げるが……別に攻撃をするために出したわけではない。
僕が触手に邪力を込めると、電信柱のように太くなった触手が「グバアッ」と大きな口を開く。
「解放」
命じると、触手に開いた口から4人の人間が吐き出されて畳の上に転がり落ちる。
新たに現れた4人の人間……それは月白親子が良く知っている人物だった。
「なあっ……そ、そいつらは……!」
「ナズナさん! ツバキさん!」
二人がそろって驚きの叫びを上げる。
黒い触手が吐き出したのは伏影ナズナと有楽院ツバキ、そして彼女達の父親である。
「ここにくる前にそれぞれの本拠地をつぶして、連れてきたんだ。みんなで腹を割って話し合いをするためにね」
「まさか……貴様が我々の拠点を攻撃して回っている襲撃者か!?」
「そうだよ、気づくのが遅いね」
月白父の怒声に僕は頷きで答える。
僕と月白さんは、吸血鬼ギャング。人狼ギャング。夢魔ギャング……3つのギャングを説得して平和的な解決を図るつもりだった。
しかし、幾度とない失敗によって説得が不可能となってしまい、僕は最後の手段を発動させることにした。
「平和のための大作戦。作戦『梟』……『もう面倒くさいから全員、まとめてぶちのめす』」
そう、シンプルかつ平和な大作戦である。
みんなが武器を持って殴り合いをしているのなら、もう誰もケンカができないように1人残らず叩きのめす。
兵隊が全員いなくなってしまえば、もはや戦争をするどころではない。嫌でも平和になるだろう。
「正直、これは最初から手段の1つとして考えてはいたんだ。そうしたら簡単に済むなって思っていた」
だけど……おそらく、そんな決着は月白さんも望んでいないだろうと自重した。
それに全員を倒すことができたとしても、1人も殺さず、死なせないのは難しいかもしれない。
勇者の力は普通の人間……まあ、怪物だけど、条件を満たしていない相手に対しては効力が弱い。
相手を殺さずに鎮圧することができる余裕は、以前の僕にはなかった。
「だけど、今の僕にはこの力がある。美人でエッチな悪魔から教わった闇の触手がね!」
腕から生えた黒い触手を見やり、自信満々に胸を張る。
美月ちゃんから教えてもらった邪術によって生み出された触手ならば、短時間に効率よく相手を無力化することができる。
『邪力』というエネルギーの充電が必要なのは厄介だけど、先ほどのように触手で飲み込んだ相手を亜空間に閉じこめて運ぶこともできるので、とても便利だ。
「あの……八雲君、ナズナさんとツバキさんは大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫だよ。2人とも怪我はない。気を失っているだけだ」
「それは良いんですけど……えっと、どうして、2人とも裸なのでしょう?」
「あ……」
そうでした。
触手から吐き出されたナズナとツバキは一糸纏わぬ全裸をしており、おまけに体中をヌラヌラとした粘液で汚している。
男勝りの性格のわりにムチッとした体形のナズナ。夢魔というエッチな種族のくせに幼児体型で凹凸の乏しいツバキ。
2人がローションのような粘液まみれで気絶している姿は扇情的で、見下ろしているだけで下半身が元気になってしまいそうだ。
「うう……いやだ、もう触手はやめてくれ。そんなところに入らない……」
「あうー……触手プレイはだめです……孕んでしまいますう……」
2人が凌辱系エロゲのような寝言をつぶやいている。
月白さんが間近から僕を睨みつけ、腕を強くつねってきた。
「……八雲君、最低です」
「いや、違うよ。違うからね? これはちょっと予備バッテリーとして使わせてもらったというか、暴れるから触手で拘束しただけで本当に挿入はしてないから……」
「……あとで本気のお説教をしますからね。覚悟しておいてください」
「…………はい」
僕はガックリと肩を落としてうなだれた。
平和のためには犠牲がツキモノ。正義というのはいつの時代も簡単に理解してもらえないものである。
「貴様! 何が目的かは知らんが、娘もこんなみだらな姿にするつもりか!? 生きて帰れると思うなよ!」
月白父が叫ぶと、和室のふすまと障子が勢い良く開いた。
そこには強面の男達が十数人並んでいる。取り漏らしていた吸血鬼ギャングの戦闘員であった。
「貴様が娘の身体を触った数分間……残りの人生で贖ってもらうぞ! その男を殺せ! 髪の毛の一筋も生かしておくな!」
「「「「「オオオオオオオオオオオオッ!」」」」」
「やれやれ……元気がいいねえ。結局、こうなるわけか」
四方八方から向けられる殺気に、僕は苦笑する。
ワンチャン戦闘無しで済むかと思ったが、どうしてか失敗してしまったようだ。
争いごとになる前に早い段階で娘の方を保護しておいたことが、かえって仇になってしまったらしい。
戦闘になった際に巻き込まないようにするためで、邪心なんて少しも……ほんのちょっと、指先くらいしかなかったというのに。
「こうなったからには仕方がないね……いいよ、相手になってあげよう。邪術を修得したことで編み出した触手四十八手……思う存分に味わうがいい!」
言い放ち、襲いかかってくる吸血鬼めがけて、僕は黒い触手を振りかぶったのであった。
うん、意味が分からないね。
久しぶりに月白さんの顔を見たからだろうか……どうやら、ちょっとテンションが上がって混乱しているようだ。
「何者だ、貴様! 娘から離れろ!」
「そういうわけにはいかないね。少なくとも、貴方と話がつくまでは」
怒鳴ってくる和服の男性に肩をすくめて答える。
誰だか知らないが……娘とか言っていることだし、おそらくアレが月白さんの父親、吸血鬼ギャングのボスだろう。
「や、八雲君……?」
「うん。悪いんだけどちょっと黙っててくれるかな? 大丈夫、ちゃんと事情は説明するからさ」
自宅での私服なのだろうか……着物姿の月白さんに笑いかけると、彼女はわずかに顔を赤く染めた。
もしかして惚れちゃったのかと首を傾げるが、どうやら違うらしく細身の身体をモジモジさせている。
「ん……そ、それはわかりましたけど、この手はいったい……?」
「お?」
完全な無意識だったが……どうやら、僕の両手が抱き寄せた月白さんの身体を撫で回していたらしい。
和服に包まれたお尻を撫で撫でして、胸元に手を突っ込んでゴソゴソして……月白さんが必死な様子で僕の腕をつかんでセクハラを止めようとしている。
「ごめんごめん、ちょっと今はそういうモードに入っているから。仕様ってことで勘弁してもらえるかな?」
「も、モード?」
「うん、すぐに済むから、ちょっとだけ我慢していてくれ。天井のシミでも数えておいてくれると助かるよ」
「わ、わかりました?」
悪びれない謝罪に月白さんが疑問符で了承してくれるが、そんな僕達を見ていた父親の方は許してくれなかった。
顔を真っ赤にして、こちらに向けて怒鳴りつけてくる。
「貴様、娘から手を離せ! コラ、尻を撫で回すな。服の中に手を突っ込むな! いい加減にしろ殺すぞクソガキがああああああああああ!」
顔を真っ赤にした月白父は怒鳴り散らしながら、茶の間に飾ってあった日本刀を手に取って抜いている。
一触即発。娘さんが僕の腕の中にいなかったら、すぐにでも斬りかかってきていたことだろう。
「うっわ……銃刀法違反だよ。犯罪とかやめてもらいたいね」
「不法侵入して娘に痴漢をしている男が言うな! 娘を人質にして、ナニをするつもりだ!?」
「人質って……あー、やっぱりそう見えるのかな?」
「あっ」
僕は苦笑しながら、敵意がないことをアピールするように月白さんの尻を優しく撫でた。
もしも僕が敵だったら、こんなもので済むわけがない。
そんなアピールをしてみたが、それは逆効果だったようで月白父はますます顔を赤くさせる。
「許さん……本気で許さん。殺す、絶対に殺す。殺して海に沈めてやるぞ……!」
「えーと、興奮しているところを申し訳ないんですけど、僕の話を聞いてくれませんか? 平和のための話し合いがしたいんですが……」
「平和のためだと!? 娘を人質にとっておいて、貴様と何を話せと言うのだ!」
「いやいや、話すのは僕とじゃない。この人達とだよ」
僕が軽く手を掲げると、そこから太い触手が生えてきた。
「ぬうっ……!?」
「キャアッ!?」
突然の出来事に2人が声を上げるが……別に攻撃をするために出したわけではない。
僕が触手に邪力を込めると、電信柱のように太くなった触手が「グバアッ」と大きな口を開く。
「解放」
命じると、触手に開いた口から4人の人間が吐き出されて畳の上に転がり落ちる。
新たに現れた4人の人間……それは月白親子が良く知っている人物だった。
「なあっ……そ、そいつらは……!」
「ナズナさん! ツバキさん!」
二人がそろって驚きの叫びを上げる。
黒い触手が吐き出したのは伏影ナズナと有楽院ツバキ、そして彼女達の父親である。
「ここにくる前にそれぞれの本拠地をつぶして、連れてきたんだ。みんなで腹を割って話し合いをするためにね」
「まさか……貴様が我々の拠点を攻撃して回っている襲撃者か!?」
「そうだよ、気づくのが遅いね」
月白父の怒声に僕は頷きで答える。
僕と月白さんは、吸血鬼ギャング。人狼ギャング。夢魔ギャング……3つのギャングを説得して平和的な解決を図るつもりだった。
しかし、幾度とない失敗によって説得が不可能となってしまい、僕は最後の手段を発動させることにした。
「平和のための大作戦。作戦『梟』……『もう面倒くさいから全員、まとめてぶちのめす』」
そう、シンプルかつ平和な大作戦である。
みんなが武器を持って殴り合いをしているのなら、もう誰もケンカができないように1人残らず叩きのめす。
兵隊が全員いなくなってしまえば、もはや戦争をするどころではない。嫌でも平和になるだろう。
「正直、これは最初から手段の1つとして考えてはいたんだ。そうしたら簡単に済むなって思っていた」
だけど……おそらく、そんな決着は月白さんも望んでいないだろうと自重した。
それに全員を倒すことができたとしても、1人も殺さず、死なせないのは難しいかもしれない。
勇者の力は普通の人間……まあ、怪物だけど、条件を満たしていない相手に対しては効力が弱い。
相手を殺さずに鎮圧することができる余裕は、以前の僕にはなかった。
「だけど、今の僕にはこの力がある。美人でエッチな悪魔から教わった闇の触手がね!」
腕から生えた黒い触手を見やり、自信満々に胸を張る。
美月ちゃんから教えてもらった邪術によって生み出された触手ならば、短時間に効率よく相手を無力化することができる。
『邪力』というエネルギーの充電が必要なのは厄介だけど、先ほどのように触手で飲み込んだ相手を亜空間に閉じこめて運ぶこともできるので、とても便利だ。
「あの……八雲君、ナズナさんとツバキさんは大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫だよ。2人とも怪我はない。気を失っているだけだ」
「それは良いんですけど……えっと、どうして、2人とも裸なのでしょう?」
「あ……」
そうでした。
触手から吐き出されたナズナとツバキは一糸纏わぬ全裸をしており、おまけに体中をヌラヌラとした粘液で汚している。
男勝りの性格のわりにムチッとした体形のナズナ。夢魔というエッチな種族のくせに幼児体型で凹凸の乏しいツバキ。
2人がローションのような粘液まみれで気絶している姿は扇情的で、見下ろしているだけで下半身が元気になってしまいそうだ。
「うう……いやだ、もう触手はやめてくれ。そんなところに入らない……」
「あうー……触手プレイはだめです……孕んでしまいますう……」
2人が凌辱系エロゲのような寝言をつぶやいている。
月白さんが間近から僕を睨みつけ、腕を強くつねってきた。
「……八雲君、最低です」
「いや、違うよ。違うからね? これはちょっと予備バッテリーとして使わせてもらったというか、暴れるから触手で拘束しただけで本当に挿入はしてないから……」
「……あとで本気のお説教をしますからね。覚悟しておいてください」
「…………はい」
僕はガックリと肩を落としてうなだれた。
平和のためには犠牲がツキモノ。正義というのはいつの時代も簡単に理解してもらえないものである。
「貴様! 何が目的かは知らんが、娘もこんなみだらな姿にするつもりか!? 生きて帰れると思うなよ!」
月白父が叫ぶと、和室のふすまと障子が勢い良く開いた。
そこには強面の男達が十数人並んでいる。取り漏らしていた吸血鬼ギャングの戦闘員であった。
「貴様が娘の身体を触った数分間……残りの人生で贖ってもらうぞ! その男を殺せ! 髪の毛の一筋も生かしておくな!」
「「「「「オオオオオオオオオオオオッ!」」」」」
「やれやれ……元気がいいねえ。結局、こうなるわけか」
四方八方から向けられる殺気に、僕は苦笑する。
ワンチャン戦闘無しで済むかと思ったが、どうしてか失敗してしまったようだ。
争いごとになる前に早い段階で娘の方を保護しておいたことが、かえって仇になってしまったらしい。
戦闘になった際に巻き込まないようにするためで、邪心なんて少しも……ほんのちょっと、指先くらいしかなかったというのに。
「こうなったからには仕方がないね……いいよ、相手になってあげよう。邪術を修得したことで編み出した触手四十八手……思う存分に味わうがいい!」
言い放ち、襲いかかってくる吸血鬼めがけて、僕は黒い触手を振りかぶったのであった。
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