神撃のアイシス 悪役令嬢の娘ですが冒険者になりました

レオナール D

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第25話 依頼終了

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 やがて、四人は森に棲んでいたモンスターの大部分を撃破した。
 まだ生き残っている少数がいるかもしれないが……大した脅威ではない。自警団とやらに任せてしまって問題ないだろう。
『戦乙女の歌』の四人はその後も領地の各地でモンスターを狩っていく。
 二週間ほどかけてローテス伯爵領にいるモンスターを片っ端から倒していき、領内で人間が襲われる被害は大きく軽減された。
 依頼の範囲が広いだけに時間はかかってしまったが……それでも、事前に支払われている報酬を思えば、余裕でお釣りがくる。
 モンスターの素材も適正価格で買い取ってもらえた。拠点の家を購入して、さらに向こう数年分の維持費まで手に入れることができたのである。

「ありがとうございます。皆さんのおかげで、我が領地は救われました!」

 依頼が無事に達成されて、雇い主のキンベルが頭を下げて礼を言ってくる。

 場所はローテスブルク。町の入口である。
 依頼を達成した四人は本日、セイレスト王国に帰還することになっていた。キンベルが手配した馬車に乗ろうとしているところである。
 ここからセイレスト王国の王都までは馬車で三日以上もかかるが、この町には転移門がないので仕方がない。
 わざわざ見送りに来てくれたキンベルは貴族としては腰が低い態度であったが……この青年がそういう人間であることは二週間でわかっていた。

「本当にありがとうございます……この御恩は生涯、忘れません!」

「こちらこそ。むしろ、かなり割の良い仕事で助かったよ」

 エベリアがホクホク顔で謝罪を受けとる。
 たった二週間で数年分の報酬を稼いだのだから、機嫌も良くなることだろう。

「とはいえ……あくまでも私達がやったのは対処療法。根本的な問題が解決しない限り、モンスターはまた増えてしまうだろうな」

「それも大丈夫ですよ。皆さんのおかげで冒険者ギルドも息を吹き返しましたから」

「私達が……冒険者ギルドに何かしただろうか?」

 エベリアが考え込む。
 この町にも冒険者ギルドの支部があったのだが、小さくて冒険者の人数も少なく、やる気もないので、本当にあるだけだったが。

「皆さんがモンスターを倒して、人々を救っているのを見て、あそこにいた冒険者達が真面目に働くようになったんです」

「ああ……なるほど、いつものアイシス効果か」

 エベリアが苦笑いをする。
 四人がギルドを覗いた際、他国からやってきた冒険者……それも美女と美少女に、何人かの冒険者が色めき立って絡んできたことがあった。
 その際、アイシスが全員をコテンパンに叩きのめしたのだが……彼らは何故かアイシスの信望者になって町への滞在中にやたらと付きまとってきたのだ。

 セイレスト王国のギルドでも似たようなことは何度もあったが……この国でも、ファンを増やしてしまったようである。

「アイシスさんのような……皆さんのような冒険者になるんだと、彼らは日夜、奮起しています。自警団もモンスターとの戦いに慣れたようですし、もう心配はいらないでしょう」

「そうですか、それは何より」

「それに……あまり声を大きくしては言えませんが、近々、我が領地はセイレスト王国に併合されることになっているんです」

「え……?」

 エベリアが目を見開いた。
 領地が併合……つまり、エイルーン帝国を裏切って、セイレスト王国に鞍替えするということか。

「帝国にいても未来はないことは明白ですからね。皆さんに依頼を出したのも、話がまとまるまでの時間稼ぎのような部分があったんですよ」

 キンベルが穏やかな表情で、けれど確固たる意思を持って告げてくる。
 彼の中では帝国に対する忠誠心は完全に消え失せている……それを瞳でハッキリと物語りながら。
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