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第6話 怪盗シャドウ抹殺計画

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 地下室で巻き起こった嵐により、ローウィ・サンダロン所有の屋敷は崩れ落ちた。
 全てはガレキの山へと変わり、屋敷は見るも無残な姿と成り果てた。

『ふむ・・・屋敷が一つ無駄になってしまったのう。まあ、良いわい。実験に使うフラスコが一つ、壊れただけじゃな』

 自分の屋敷が崩れたのを見ても、立体映像のローウィは取り乱す様子はなかった。

『人払いをしておいて正解じゃな。しかし・・・実験動物たちはどうなったかのう?』

 敵であるシャドウはもちろん、拉致して改造を施したマティルダもまたローウィにとってはモルモットと同じである。
 マッドサイエンティストの老人にとって、哀れな女を犠牲にした事への罪悪感などまるでなかった。

「人をモルモット扱いとはいい趣味だな。ロクな死に方しねえぞ。じいさん」

『ほお、生きておったか』

 がれきの山の中から銀仮面をつけた怪盗が現れた。
 ガレキのせいで黒づくめの服はすっかり汚れてしまっているが、目立った外傷はなさそうだ。

『お主が生きているということは・・・』

「あはははあはははははははははっ!」

 盛大にガレキを吹き飛ばしてマティルダが現れた。こちらも当然ながら無傷である。

『ほっほっほっ、実験は続行じゃな! さて、存分に続けるよ良い』

「いーや、もう終わりだ」

 笑顔の老人に向けて、シャドウはきっぱりと言い放つ。有無を言わさぬ怪盗の言葉に老人は眉をひそめた。

『何じゃと? マティルダはまだ・・・』

「あはは、ははっ・・・は、はは・・・はあ・・・」

 屋敷の残骸の中に仁王立ちするマティルダであったが、へなへなと体勢を崩して、そのままバタリと倒れてしまった。

『な・・・なんじゃと!?』

「お嬢様はお眠の時間だ。大声で起こしてやるなよ」

 シャドウはおどけたようにって、地面に倒れたマティルダへと歩み寄った。

「ふにゃあ、もう飲めないにゃああ・・・」

 大胆に肌をさらけ出したマティルダの肌は真っ赤になっている。幸せそうな顔でうわごとをつぶやく姿はよっぱらいそのものである。

『酒を飲ませたのか!? どうやって・・・』

「大したことはしちゃいない。樽ごと酒をぶっかけて、ミキサーでシェイクしてやっただけだ」

 葡萄酒を文字通りに浴びるように飲まされた結果、マティルダは酔い潰れてしまっていた。
 いくら装備の魔法抵抗が高かったとしても、それを身に着けている人物が酒に強くなるというわけではない。毒や麻痺くらいは想定していたかもしれないが、さすがにアルコールまでは対策をとっていなかったようだ。

「マティルダちゃんが酒豪だったら終わってたな。あぶない、あぶない」

『ば、馬鹿な・・・こんな方法でワシの作品が・・・』

 ワナワナと震えながら、茫然と立ちすくむローウィ。

 シャドウはマティルダのむっちりとした身体を抱き起して、ベタベタと肌に触れていく。明らかな猥褻行為であったが、別に性的なイタズラをしているわけではない。

「お、あった」

 鎧の留め金を発見した。カチャリ金属のチェーンを外すと、赤いビキニアーマーがマティルダの身体から外れて地面に落ちた。

「俺を殺せなくて残念だったな。ゆっくり眠りな」

 むき出しになった爆乳をしっかりと目に焼き付けておいて、シャドウはマントを脱いで全裸の女体へとかぶせた。
 マントで裸体を隠したマティルダを再び地面に寝かせて、シャドウはローウィの立体映像へと目を向けた。

「さあて、こういう実験結果になったけどどうするよ? じいさん?」

『グヌヌヌ・・・たかが酒ごときでワシの作品が破れるとは! 覚えていろよ、怪盗シャドウ! 次に会う時にはお前の体をホルマリン漬けの標本にしてくれる!』

 よくわからない捨て台詞を残して、ローウィ・サンダロンの立体映像が消えうせた。

「そりゃ、こっちのセリフだぜ。じいさん、今回の借りは高くつくぞ」

 怪盗として生きる以上、誰かに命を狙われることは覚悟の上だ。
 しかし、ローウィは無関係なマティルダを巻き込んで利用するような真似をした。

「お前の行動は悪役の美学に反する。次に会ったら覚えていやがれ」

 シャドウは言い捨てて、魔法で空へと飛び立った。

 ローウィ・サンダロン。
 いずれ倒すべき敵。新たな宿敵の名前を胸に刻みつけて。
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