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第13話 初戦闘。美少女のナデナデは気持ち良い
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四人のクラスメイトがそれぞれ武器を構えた。
前に進み出た揚羽が手にしているのは二メートル近い長さの槍である。
その槍は棒の先端に大型の刃物が付いており、それが『グレイブ』という名前の武器であることをゲームやマンガの知識から琥珀は思い出す。
揚羽の後ろに控えている柊木はショートソードを右手に装備しており、左腕にバックラーという盾をつけていた。
二人から少し後方に構えているヘリヤと甘井はどちらも杖を装備していた。
ただし、ヘリヤは背丈に近い長さの長杖、甘井は片手で振れるサイズの短杖と杖の種類は違っている。
装備から察するに……揚羽と柊木が戦士職の前衛、ヘリヤと甘井は魔法職の後衛のようだ。
「炎弾」
こちらに走ってくるボルトドッグめがけて、甘井が杖を向ける。
杖の先端から野球ボール程度の大きさの炎が飛んでいく。
「キュッ!」
(おお……魔法だ!)
甘井が発動させた攻撃魔法がボルトドッグめがけて飛んでいくが、わずかに外れて地面に当たって小さく爆ぜる。
「……難しいわね。動く的に当てるのは」
「任せてくれ!」
いよいよ接近してきたボルトドッグに揚羽が槍を振るう。
回転による加速を加えた刃が襲いかかる。
「フンッ!」
「ギャンッ!」
遠心力が乗った斬撃を喰らい、ボルトドッグが短く鳴く。
怯んで動きを止めたところに柊木が斬りかかった。
「ヤッ!」
「ギャウッ……」
ショートソードで深々と首を斬られ、ボルトドッグが地面に倒れて絶命する。
大型犬と同じサイズの身体がすぐに光の粒になって崩れ落ち、小さな宝石のようなものが残された。
「エクセレント。よく出来ました」
魔物が倒れたのを見て、シャーロットが小さく拍手をする。
「危なくなったら助けるつもりだったけど、必要なかったようですね。とても素晴らしい戦いでした」
「ま、倒したのはアタシで後ろの二人は何もやってないけどねー」
柊木が落ちていた宝石を拾って、小馬鹿にするように後衛の二人を見る。
「甘井ちゃんはめっちゃ外してるし、ヘリヤちゃんも出る幕がなかったし……これじゃあ、先が思いやられるじゃん?」
「柊木さん、煽らないでくれ。今回はたまたまだろう?」
揚羽が柊木に注意しつつ、後衛二人にフォローを入れる。
「甘井さんの攻撃が牽制になって、相手の動きが鈍って斬りやすかった。ヘリヤさんは回復と補助が専門だから、強い敵が出てきたら頼む」
「ええ、次は頑張るわ」
「ん、がんばる。アンバーも」
「キュイ」
ヘリヤが頭を撫でてきたので、琥珀は小さく鳴いて返事をしておいた。
(やっぱり思った通り。村上さんと柊木が戦士で前衛。ヘリヤさんと甘井が魔法使いで後衛か。甘井の方は攻撃魔法ができるみたいだけど、ヘリヤさんは回復とか補助が得意の僧侶系の魔法使いみたいだね)
そして、四人だけではどうにもならなかった際に、指導教官であるシャーロットが出てくるのだろう。
(実際に目にした魔物はゲームと違って怖いけど……ダンジョンでは死んでも生き返ることができるみたいだからな。だったら、どうにかなるか)
この世界のダンジョンはト〇ネコやシ〇ンのように死んでも大丈夫なタイプだったらしい。
それならば、琥珀だって怖がることなく戦うことができるだろう。
(次の戦いからは、入れる隙があったら戦闘に参加しよう。最低でもヘリヤさんだけは守らないとな!)
「キュッ!」
琥珀は覚悟を決めて、力強く鳴いた。
ヘリヤに恩義があるわけではないが……彼女はクラスで唯一に近い友人だ。
絶対に死なせるわけにはいかない。
(とは言っても、僕にできるのは『フロストバースト』による攻撃だけだからな。他にできることなんて……)
そういえば、さっきステータスを確認した際にスキルが増えていたような。
増えていたスキルはたしか……。
「キュウッ!」
琥珀はザワリと羽毛を撫でる悪寒を感じて、咄嗟に口を開く。
開かれた嘴から氷の息吹が放たれて、近くの茂みに突き刺さった。
「ギャウッ!」
短い悲鳴を上げて、茂みからヨロヨロと何かが出てきた。
茂みから現れたのは全身に草葉をまとわり付けた小さな猿だった。
猿はそのまま倒れて動かなくなり、黒い鉱石のようなドロップアイテムを残して消える。
「シーフモンキー……草原エリアにいる猿の魔物ですね」
倒れている猿を見て、シャーロットが大きく目を見開いた。
「姿を隠して不意打ちをしたり、武器や食料を盗んだりする魔物ですが……よく気がつきましたね。そっちの召喚獣は索敵能力があるようです」
「ん。アンバー、強い」
召喚獣を褒められて、ヘリヤが得意げに大きな胸を張った。
「かわいい。よい子」
「ピュイ」
ヘリヤが琥珀を抱きしめて、ご褒美だとばかりに頭をナデナデしてくれた。
それだけで頑張った甲斐がある。特別、頑張って努力したわけでもないのに報われたような気分だ。
(気配察知のおかげだな……新しいスキル、さっそく役に立ったみたいだ)
今回、召喚された際に修得していた『気配察知』。
文字通りに、敵の気配を察することができるスキルのようだ。
草原エリアは拓けて見通しが良いが、先ほどのように茂みに隠れる魔物がいるのであれば役に立つことだろう。
「その召喚獣は魔物の気配に敏感なようだな。だったら、その子を先頭にして進んだ方が良さそうだ」
「賛成。ヘリヤさん、お願いできるかしら?」
「Ja。もちろんおっけー」
ヘリヤが頷いて、琥珀と一緒に前に出る。
五人はペンギンを先頭にして、ダンジョン下層の草原エリアの探索を開始したのであった。
前に進み出た揚羽が手にしているのは二メートル近い長さの槍である。
その槍は棒の先端に大型の刃物が付いており、それが『グレイブ』という名前の武器であることをゲームやマンガの知識から琥珀は思い出す。
揚羽の後ろに控えている柊木はショートソードを右手に装備しており、左腕にバックラーという盾をつけていた。
二人から少し後方に構えているヘリヤと甘井はどちらも杖を装備していた。
ただし、ヘリヤは背丈に近い長さの長杖、甘井は片手で振れるサイズの短杖と杖の種類は違っている。
装備から察するに……揚羽と柊木が戦士職の前衛、ヘリヤと甘井は魔法職の後衛のようだ。
「炎弾」
こちらに走ってくるボルトドッグめがけて、甘井が杖を向ける。
杖の先端から野球ボール程度の大きさの炎が飛んでいく。
「キュッ!」
(おお……魔法だ!)
甘井が発動させた攻撃魔法がボルトドッグめがけて飛んでいくが、わずかに外れて地面に当たって小さく爆ぜる。
「……難しいわね。動く的に当てるのは」
「任せてくれ!」
いよいよ接近してきたボルトドッグに揚羽が槍を振るう。
回転による加速を加えた刃が襲いかかる。
「フンッ!」
「ギャンッ!」
遠心力が乗った斬撃を喰らい、ボルトドッグが短く鳴く。
怯んで動きを止めたところに柊木が斬りかかった。
「ヤッ!」
「ギャウッ……」
ショートソードで深々と首を斬られ、ボルトドッグが地面に倒れて絶命する。
大型犬と同じサイズの身体がすぐに光の粒になって崩れ落ち、小さな宝石のようなものが残された。
「エクセレント。よく出来ました」
魔物が倒れたのを見て、シャーロットが小さく拍手をする。
「危なくなったら助けるつもりだったけど、必要なかったようですね。とても素晴らしい戦いでした」
「ま、倒したのはアタシで後ろの二人は何もやってないけどねー」
柊木が落ちていた宝石を拾って、小馬鹿にするように後衛の二人を見る。
「甘井ちゃんはめっちゃ外してるし、ヘリヤちゃんも出る幕がなかったし……これじゃあ、先が思いやられるじゃん?」
「柊木さん、煽らないでくれ。今回はたまたまだろう?」
揚羽が柊木に注意しつつ、後衛二人にフォローを入れる。
「甘井さんの攻撃が牽制になって、相手の動きが鈍って斬りやすかった。ヘリヤさんは回復と補助が専門だから、強い敵が出てきたら頼む」
「ええ、次は頑張るわ」
「ん、がんばる。アンバーも」
「キュイ」
ヘリヤが頭を撫でてきたので、琥珀は小さく鳴いて返事をしておいた。
(やっぱり思った通り。村上さんと柊木が戦士で前衛。ヘリヤさんと甘井が魔法使いで後衛か。甘井の方は攻撃魔法ができるみたいだけど、ヘリヤさんは回復とか補助が得意の僧侶系の魔法使いみたいだね)
そして、四人だけではどうにもならなかった際に、指導教官であるシャーロットが出てくるのだろう。
(実際に目にした魔物はゲームと違って怖いけど……ダンジョンでは死んでも生き返ることができるみたいだからな。だったら、どうにかなるか)
この世界のダンジョンはト〇ネコやシ〇ンのように死んでも大丈夫なタイプだったらしい。
それならば、琥珀だって怖がることなく戦うことができるだろう。
(次の戦いからは、入れる隙があったら戦闘に参加しよう。最低でもヘリヤさんだけは守らないとな!)
「キュッ!」
琥珀は覚悟を決めて、力強く鳴いた。
ヘリヤに恩義があるわけではないが……彼女はクラスで唯一に近い友人だ。
絶対に死なせるわけにはいかない。
(とは言っても、僕にできるのは『フロストバースト』による攻撃だけだからな。他にできることなんて……)
そういえば、さっきステータスを確認した際にスキルが増えていたような。
増えていたスキルはたしか……。
「キュウッ!」
琥珀はザワリと羽毛を撫でる悪寒を感じて、咄嗟に口を開く。
開かれた嘴から氷の息吹が放たれて、近くの茂みに突き刺さった。
「ギャウッ!」
短い悲鳴を上げて、茂みからヨロヨロと何かが出てきた。
茂みから現れたのは全身に草葉をまとわり付けた小さな猿だった。
猿はそのまま倒れて動かなくなり、黒い鉱石のようなドロップアイテムを残して消える。
「シーフモンキー……草原エリアにいる猿の魔物ですね」
倒れている猿を見て、シャーロットが大きく目を見開いた。
「姿を隠して不意打ちをしたり、武器や食料を盗んだりする魔物ですが……よく気がつきましたね。そっちの召喚獣は索敵能力があるようです」
「ん。アンバー、強い」
召喚獣を褒められて、ヘリヤが得意げに大きな胸を張った。
「かわいい。よい子」
「ピュイ」
ヘリヤが琥珀を抱きしめて、ご褒美だとばかりに頭をナデナデしてくれた。
それだけで頑張った甲斐がある。特別、頑張って努力したわけでもないのに報われたような気分だ。
(気配察知のおかげだな……新しいスキル、さっそく役に立ったみたいだ)
今回、召喚された際に修得していた『気配察知』。
文字通りに、敵の気配を察することができるスキルのようだ。
草原エリアは拓けて見通しが良いが、先ほどのように茂みに隠れる魔物がいるのであれば役に立つことだろう。
「その召喚獣は魔物の気配に敏感なようだな。だったら、その子を先頭にして進んだ方が良さそうだ」
「賛成。ヘリヤさん、お願いできるかしら?」
「Ja。もちろんおっけー」
ヘリヤが頷いて、琥珀と一緒に前に出る。
五人はペンギンを先頭にして、ダンジョン下層の草原エリアの探索を開始したのであった。
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