ペンギン転生 異世界でペンギンになったが美少女に飼われたので別に良い

レオナール D

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第16話 知らない天井からのレベルアップ

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「……知らない天井だ」

 オタク男子が一度は言ってみたいセリフをつぶやき、琥珀は身体を起こす。
 目を覚ますと、草原の真ん中から見知らぬ部屋の中に移動していた。
 あちらの世界の……中世ヨーロッパ風の建築物ではない。白いベッドとカーテン、事務机と金属のラックが置かれている、ごく一般的な学校の保健室といった部屋である。

(元の世界に戻ってきた? 死んだら、ダンジョンの外に飛ばされるんじゃなかったのか?)

「ああ、目を覚ましたのね。気分はどう?」

「えっと……?」

「すぐに動かない方が良いわ。どこか痛いところはある?」

 声をかけてきたのは白衣を身に付けた女性。
 名前は知らないが、確か高校の養護教諭の先生だ。

「あなた、空き教室で倒れていたのよ。何があったか思い出せる?」

「僕は……」

 覚えている。
 坂木と仲間達によって空き教室に引きずり込まれ、言いがかりをかけられて突き飛ばされたのだ。
 そのまま壁に頭をぶつけて、気を失ってしまったらしい。

「……誰が僕をここに?」

「たまたま、空き教室に荷物を運んできた先生よ。一人で教室に倒れていて驚いたって」

「そうですか……」

「救急車を呼ぼうかとも話したんだけど、呼吸も血圧も安定していて、外傷もなかったみたいだから、とりあえず保健室で様子を見ることにしたのよ」

「…………」

「大事なことだから聞いておくけど……誰かに暴力を受けたんじゃないわよね?」

 真剣な顔で問われて、琥珀は迷う。
 坂木らを庇う理由はない。
 彼らがしたことを告発してもいっこうに構わないだろう。

「いえ、ただの貧血です。気にしないでください」

「そう? だったら良いんだけど……」

 保険医の先生はやや納得していない表情だったが、断言した琥珀に食い下がることなく引き下がった
 坂木を庇ったわけではない。
 ただ、イジメやら何やらを告発したところで手間と時間を取られるだけで、大して解決にはつながらないことを経験から知っていた。

 学校側はイジメなんてなかったと揉み消しにかかるだろうし、当事者の生徒には注意して終わり。
 そして、すぐにまたイジメが再開される。告げ口をしたことへの報復も含めて、より苛烈になって。

(本気で解決を目指すのであれば、カメラとかレコーダーとか使って有無を言わせぬ証拠を作ったうえで、警察とか弁護士とか巻き込んで全面戦争するしかないんだよな。あとはネットにイジメの動画を流して実名さらして、社会的に抹殺するとか?)

 本気で……それこそ命を賭けるだけの覚悟があれば、引きこもる以外にも方法があったのかもしれない。
 ただ、かつての琥珀にはそれだけの意思がなかった。刺し違える覚悟で戦い抜くほどの闘争心が無かったのだ。

(それに……今の僕には他にやりたいこともある。アイツらになんて構ってられないよね)

 琥珀は無言でステータスを表示させた。

―――――――――――――――
水島 琥珀(アンバー)

年齢:16
種族:人間(フロストフェニックス幼体)
職業:ヘリヤ・アールヴェントの召喚獣
召喚回数:3

レベル 11→17 UP!
体力 D→C
魔力 C
攻撃 E→D
防御 F→D
速度 E→C
器用 E
知力 D
魅力 A

スキル
・異世界言語
・フロストバースト(中)UP!
・気配察知
―――――――――――――――

 何故だろうか、大きくレベルが上昇している。
 ステータスの変動も大きい。特に『防御』と『速度』が2段階も上がっていた。ついでにフロストバーストが『弱』から『中』になっている。

(どんな基準で上昇するんだろうね、コレは。ステータスの上がり方がまったくわからない。ランダムなのかな?)

「すいません、今日は早退しても構いませんか?」

「ええ、いいわよ。担任の先生……はいなくなってたわね。学年主任の先生には私の方から連絡をしておくから。もしも気分が悪くなるようだったら病院に行くのよ。無理をしないようにね」

「ありがとうございます。それでは、失礼いたします」

 琥珀は養護教諭に頭を下げて、保健室から出ていった。
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