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第一章 AIとの出会い
アイの知らない事、知りたいんです。
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「『都市』って何ですか?」
アイは突然ウチたちに質問してきた。
◇◇◇
アイはあの名付けた日からウチとアスカと一緒に暮らし始めた。
そもそもアイの活動に必要な物がよく分からなかったが、奇跡的にウチら人間と同じように飲食で活動を続けることが出来るようだ。
アスカの知識やネットのアンドロイドの情報でもそんな個体は聞いたことが無いが、実際にそうなのだから受け入れるしかない。
おかげで新たなに何か用意する必要もないが、同時に食料が一人分多く減ってしまうのは早くどうにかしないと…………。
とか考えてる時の、アイの質問だった。
「そういや知らないっけ?」
「はい。私の記憶データベースは破損していたり、閲覧権限が不足していたり、何かと不都合が発生しているので。この二日間この家から出てないですし」
「あ、あぁ……確かにね」
まだアイを外に出すのは危険じゃないかなと考えてしまい、アイもウチもアスカも家から出れてない。
せっかくなので色々教えても良いかもしれない。
「じゃあ教えちゃいます!!!アイちゃんにウチらの住む『都市』の事を!!」
「はい。よろしくお願いします」
「まず、この街って壁に覆われてるんだけどその理由は『全世界に危険な存在が溢れてしまった』から、です!」
「危険な存在とは?」
「うーん。正直知らない。ウチは元から学が無かったし、別にその時に生きていたわけじゃないからね。ただ……」
「ただ?」
「なんか、ネットの噂とかだと研究所から怪物が逃げ出したとか、寄生虫のパンデミックが起こったとか、異世界から形容のしがたい『何か』が現れた……まぁ、大半がろくでもないお話しか無いけど」
「はぁ……。つまり分からないと」
「あっはは。ゴメンねアイちゃん」
「では、その他に何か情報は?」
「あーと、えーと、この街は何というか、そうだ!階級ってやつの影響が強い!クソったれ!!!」
「かい、きゅうですか?」
「そうそう」
そうだ。階級。クッソ食らえってんだ。
「この街の人間は大きく分けて二種類。『上流階級』か『下流階級』の二つ。ウチたちは後者。
上流の連中は食べる物は様々、野菜果物に動物の肉とか色々。今壁に覆われたこの『都市』では動物の肉は希少なんだ。だからそういう偉い連中しか食べれない。加えて、公共の交通手段をタダで使える。電車だのバスだの。それに対して働かなくても良いんだ。ま、何故か上流の連中には変な方向に勤勉な奴が多いけどね」
「なるほど…………」
「そしてその上流の『上』も居る。『タワー』の人間に『市長』、そして『市長』に直接仕える特殊な連中が何人か。そいつらの事はウチもアスカもよく分かってない。ゴメンね」
アイは再び「なるほど」と言い、私の話をよく聞いてくれた。
「そして下流はウチらみたいな漁り屋がほとんど。名前の通り、廃墟とか上流の連中が使ってる施設に潜り込んで物を漁って生活してる」
「それは、泥棒……では?」
「どろぼう、ね。なんか久々に聞いたわね」
少し離れた場所からずっとウチとアイの話を聞いていたアスカが口を開いた。その表情には、曇りが見えた。
「確かに、私たちの漁り屋活動は非合法。紛れもない泥棒――犯罪者だし、どうしても避けられない時にはアイちゃんを奪取した時のように人を殺すこともするわ。上流の時の私も親や教育機関からそう教わってた。『下流の人々は漁りという非合法行為を正当化しようとする屑の集まりだ』ってね。
でも、家出して下流に堕ちてから実感したわ。もう、そういう風にしなければ生きる事さえ困難だと」
「…………」
アイちゃんは、黙ってしまう。申し訳ないとか、そういう風ではなく『考えている』のだ。AIの彼女なりに。
「……他のお話を一旦聞かせて貰っても、良いですか?」
「良いわよ。リアラ、続けてね」
「お、おっけーー!!!」
ちょっと重い空気をなんとか変えたかった。アイちゃんの返答にはちょっと感謝したい。えへへ。
「ウチらのような漁り屋以外にも『便利屋』という存在も居る。こいつらは、関わらない方が良い」
「え。どうしてですか?リアラ?」
「とにかく!!!!関わらない方が良いの!!あいつらは金や報酬を積んでくれれば文字通り何でもする、『便利』な奴ら。上流の連中を目の敵にしてるのはウチらと一緒だけど、何というか、変な奴らが多いの。
あんな仕事、気が違ってなきゃ続けられないよ」
「な、なるほ…………ど」
ありがとうございます、と一言言うとアイは深々とお辞儀してしまった。もしかしてついさっきの『泥棒発言』の事を気に病んでる……?
少しづつ、少しづつだけどアイ――――アイちゃんは人間らしくなってきてる気がする。やっぱりこれは、アイちゃんにとっての良い成長の機会になるはず。
アスカの耳元に近づき、耳打ちする。
「アスカ」
「何?リアラ。なんかシリアスな顔つきだけど」
「明日、漁りに行くことにして、アイちゃんも連れて行こう。三人で外の活動をしよう」
「…………そう。私も思ってたところよ」
「おっけ。なら決まりだね」
アイの方に振り向き、伝える。アイの表情は少しきょとんとしていた。
「アイちゃん!!!!!!!」
「はい!?なんでしょうか?リアラ」
「一緒に『漁り』やってみよっか」
「あ、さりですか?」
「はい!私は、アイは、アイの知らない事、知りたいんです。私はリアラやアスカの事、もっと知りたいです」
思わずウチとアスカはにんまりとした笑みを浮かべてしまった。
これは、しっかりと準備をしなければ。そう気を引き締める良いきっかけになった。
「ヨシ!!じゃあ今度はウチからアイちゃんに質問しても良い?」
「答えられる範囲であれば」
「アイちゃんは何の目的で作られたのか分かる?」
「…………すみません。思い出そうとしても思い出せず、恐らくデータの破損か予備の人格で動いてるのが原因の権限不足かと」
「やっぱそうかぁ」
アイの事はただただ謎に包まれている。戦えるのかどうかも分からない。何のために生まれたのかも。
明日の漁りは、アイの成長も大事だけどそれ以上に
アイ自身の謎を解く必要がありそうだ。
アイは突然ウチたちに質問してきた。
◇◇◇
アイはあの名付けた日からウチとアスカと一緒に暮らし始めた。
そもそもアイの活動に必要な物がよく分からなかったが、奇跡的にウチら人間と同じように飲食で活動を続けることが出来るようだ。
アスカの知識やネットのアンドロイドの情報でもそんな個体は聞いたことが無いが、実際にそうなのだから受け入れるしかない。
おかげで新たなに何か用意する必要もないが、同時に食料が一人分多く減ってしまうのは早くどうにかしないと…………。
とか考えてる時の、アイの質問だった。
「そういや知らないっけ?」
「はい。私の記憶データベースは破損していたり、閲覧権限が不足していたり、何かと不都合が発生しているので。この二日間この家から出てないですし」
「あ、あぁ……確かにね」
まだアイを外に出すのは危険じゃないかなと考えてしまい、アイもウチもアスカも家から出れてない。
せっかくなので色々教えても良いかもしれない。
「じゃあ教えちゃいます!!!アイちゃんにウチらの住む『都市』の事を!!」
「はい。よろしくお願いします」
「まず、この街って壁に覆われてるんだけどその理由は『全世界に危険な存在が溢れてしまった』から、です!」
「危険な存在とは?」
「うーん。正直知らない。ウチは元から学が無かったし、別にその時に生きていたわけじゃないからね。ただ……」
「ただ?」
「なんか、ネットの噂とかだと研究所から怪物が逃げ出したとか、寄生虫のパンデミックが起こったとか、異世界から形容のしがたい『何か』が現れた……まぁ、大半がろくでもないお話しか無いけど」
「はぁ……。つまり分からないと」
「あっはは。ゴメンねアイちゃん」
「では、その他に何か情報は?」
「あーと、えーと、この街は何というか、そうだ!階級ってやつの影響が強い!クソったれ!!!」
「かい、きゅうですか?」
「そうそう」
そうだ。階級。クッソ食らえってんだ。
「この街の人間は大きく分けて二種類。『上流階級』か『下流階級』の二つ。ウチたちは後者。
上流の連中は食べる物は様々、野菜果物に動物の肉とか色々。今壁に覆われたこの『都市』では動物の肉は希少なんだ。だからそういう偉い連中しか食べれない。加えて、公共の交通手段をタダで使える。電車だのバスだの。それに対して働かなくても良いんだ。ま、何故か上流の連中には変な方向に勤勉な奴が多いけどね」
「なるほど…………」
「そしてその上流の『上』も居る。『タワー』の人間に『市長』、そして『市長』に直接仕える特殊な連中が何人か。そいつらの事はウチもアスカもよく分かってない。ゴメンね」
アイは再び「なるほど」と言い、私の話をよく聞いてくれた。
「そして下流はウチらみたいな漁り屋がほとんど。名前の通り、廃墟とか上流の連中が使ってる施設に潜り込んで物を漁って生活してる」
「それは、泥棒……では?」
「どろぼう、ね。なんか久々に聞いたわね」
少し離れた場所からずっとウチとアイの話を聞いていたアスカが口を開いた。その表情には、曇りが見えた。
「確かに、私たちの漁り屋活動は非合法。紛れもない泥棒――犯罪者だし、どうしても避けられない時にはアイちゃんを奪取した時のように人を殺すこともするわ。上流の時の私も親や教育機関からそう教わってた。『下流の人々は漁りという非合法行為を正当化しようとする屑の集まりだ』ってね。
でも、家出して下流に堕ちてから実感したわ。もう、そういう風にしなければ生きる事さえ困難だと」
「…………」
アイちゃんは、黙ってしまう。申し訳ないとか、そういう風ではなく『考えている』のだ。AIの彼女なりに。
「……他のお話を一旦聞かせて貰っても、良いですか?」
「良いわよ。リアラ、続けてね」
「お、おっけーー!!!」
ちょっと重い空気をなんとか変えたかった。アイちゃんの返答にはちょっと感謝したい。えへへ。
「ウチらのような漁り屋以外にも『便利屋』という存在も居る。こいつらは、関わらない方が良い」
「え。どうしてですか?リアラ?」
「とにかく!!!!関わらない方が良いの!!あいつらは金や報酬を積んでくれれば文字通り何でもする、『便利』な奴ら。上流の連中を目の敵にしてるのはウチらと一緒だけど、何というか、変な奴らが多いの。
あんな仕事、気が違ってなきゃ続けられないよ」
「な、なるほ…………ど」
ありがとうございます、と一言言うとアイは深々とお辞儀してしまった。もしかしてついさっきの『泥棒発言』の事を気に病んでる……?
少しづつ、少しづつだけどアイ――――アイちゃんは人間らしくなってきてる気がする。やっぱりこれは、アイちゃんにとっての良い成長の機会になるはず。
アスカの耳元に近づき、耳打ちする。
「アスカ」
「何?リアラ。なんかシリアスな顔つきだけど」
「明日、漁りに行くことにして、アイちゃんも連れて行こう。三人で外の活動をしよう」
「…………そう。私も思ってたところよ」
「おっけ。なら決まりだね」
アイの方に振り向き、伝える。アイの表情は少しきょとんとしていた。
「アイちゃん!!!!!!!」
「はい!?なんでしょうか?リアラ」
「一緒に『漁り』やってみよっか」
「あ、さりですか?」
「はい!私は、アイは、アイの知らない事、知りたいんです。私はリアラやアスカの事、もっと知りたいです」
思わずウチとアスカはにんまりとした笑みを浮かべてしまった。
これは、しっかりと準備をしなければ。そう気を引き締める良いきっかけになった。
「ヨシ!!じゃあ今度はウチからアイちゃんに質問しても良い?」
「答えられる範囲であれば」
「アイちゃんは何の目的で作られたのか分かる?」
「…………すみません。思い出そうとしても思い出せず、恐らくデータの破損か予備の人格で動いてるのが原因の権限不足かと」
「やっぱそうかぁ」
アイの事はただただ謎に包まれている。戦えるのかどうかも分からない。何のために生まれたのかも。
明日の漁りは、アイの成長も大事だけどそれ以上に
アイ自身の謎を解く必要がありそうだ。
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